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秘密

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次の日も、帰宅時間になるとキースが一緒に帰ろうと教室にやってきた。ただし、この日は少し表情を硬くして、
「大切な話があるので、帰りに家に来てほしい。」と言ってきた。

(大切な話って、なにかしら。)と思いながら、少し身構えて彼とともに帰宅した。
彼の寮に入ると、彼は「今度の王族主催のパーティーに来てほしい。そこで君との婚約を正式に発表する。」と言った。

婚約に関しては、まだ両家の間で内々に成立しているだけで、まだ正式に発表をしていない。なぜならば、以前セイン側がバロン家の令嬢との婚約を二人の幼少時に正式に発表していたものの、セインが継承争いに敗れたからだ。

つまりは、婚約の正式発表を持って次期王を暗に世に示す、ということなのだが、セインのことがあり(もちろん継承争いを起こしたのはキース自身だが)、キースは少し慎重になっていた。

「わかりました。」私はどう返事したら良いのか、わからなかったため、そう答えた。

「もちろん、継承争いを起こした僕を、君がよく思っていないのは承知済みだ。あのパーティーの夜も君に逃げられたからね。」彼はそういうと悲しそうに笑った。

「でも、君のことは必ず大切にする。」キースはそう言って、真剣な顔で私を見つめた。

(私は...。どちらのことが本当に好きなのか)彼の瞳を見つめかえすことができなかった。

「正式発表した後は、ここに住んでもらうからね。何しろ未来の王妃様だもの。十分に警護がされている下にいてもらわないと。」彼はそう付け足した。

(そんな...。セインとは学校で会えるよね?でもエドワードは?)私は思わず「あの、執事は連れてきても構わないのですか。」と聞いていた。

「エドワードのことかい?」彼はくすくす笑うと、「君はたいそう彼がお気に入りだな。昨夜も、綺麗にしてもらったんだろ?」と急に声を低くして、聞いてきた。

(どうして、そんなこと知ってるの? あの場にキースなんていなかった。)私は驚愕の表情で彼を見ると
窓から差し込む夕日が、彼の髪を照らしており、銀髪のはずの髪色が赤銅色に見た。


「なんでもお見通しなんだよ。僕のかわいい婚約者さん。」彼はそういうと、ふわりと私の髪を撫でた。
いつかと同じムスクの香がする。甘く柔らかい香り。私はその場で気を失うようにして眠ってしまったのだった。
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