転生令嬢の推しは王子様の側近ですが、なぜか王子様が私を誘惑してきます…

雪入凛子

文字の大きさ
上 下
18 / 34
3.第二幕

1-8

しおりを挟む
シャンデリアに照らされて、美しい絹のようなピンクブロンドの髪に縁取られた、優しげな顔の令嬢が僕に最敬礼をしました。

 ルクス王国特有のピンクブロンドの髪は、彼女が平民上がりの貴族だということを物語っていました。

 なぜならば、ルクス王国の王侯貴族の髪はみなチョコレートブラウン色だからです。

 (この前の昼食会の令嬢か)  

 そう思いながら、彼女が目を伏せてることをいいことにじっとギルバート男爵令嬢を観察します。

 (この前初めて会ったのに)

 なぜか、彼女のことがなんでもわかるような不思議な気持ちです。

 とにかく、僕はこの前の自分の婚約者の無礼を謝らないといけないと思い、

「この前は、僕の婚約者のリリーが面倒をかけたみたいだね」

 と言いました。

 僕の言葉にギルバート男爵令嬢は、淡いサファイアのような瞳をちらりと僕の方に向けて、

「いえいえ、わたくしの不徳の致すところです」

 と言い深々とお辞儀をします。

 言葉は丁寧なのに、突き放すような言い方に、

これ以上私を面倒事に巻き込まないでと言われてるみたいで、僕はますます心が苦しくなりました。

 そんな僕達のやり取りをじっと見てるレオが、僕に目配せしました。

 僕がハッとして振り返ると、

「もう、ルイったら、どこにいるのかとおもえば」

 とすかさず僕の腕に、婚約者のリリーが腕を絡ませてきました。

 彼女の指には僕が幼い頃あげた母の形見の指輪がキラキラと光っています。

 僕達は幼なじみで、幼い頃から彼女の美しさや天真爛漫さに夢中だった僕は、父上に懇願して将来の妃はリリーがいいと頼み込んだのです。

 ただし、なぜそこまで夢中だったのか僕自身にもよく分からないところがありました。

 僕はそんな考えを慌てて頭から振り払って、

「リリーが、少し夜風にあたってくると言って僕から離れていったんだろう?」

 そう言いながら、少しふくれっ面をした愛らしい婚約者の頬を僕はつつきました。

そんな僕の行動に彼女は機嫌を直したのか、僕に微笑みました。が、ふと前にいるギルバート男爵令嬢に気づいたのか、

「あら、この前の令嬢ね」

 とギルバート男爵令嬢に声をかけました。

 (あの昼食会の後、やけにリリーは不機嫌だったよな)

 もうギルバート男爵令嬢に下手に絡むのはさすがに王族の品位として、まずいと思った僕がレオに目配せすると、

「リリー公爵令嬢、以前の昼食会で渡し忘れた婚約祝いがあるのですが」

 と、彼女の気を引くような発言をしてくれたのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

訳ありな家庭教師と公爵の執着

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝名門ブライアン公爵家の美貌の当主ギルバートに雇われることになった一人の家庭教師(ガヴァネス)リディア。きっちりと衣装を着こなし、隙のない身形の家庭教師リディアは素顔を隠し、秘密にしたい過去をも隠す。おまけに美貌の公爵ギルバートには目もくれず、五歳になる公爵令嬢エヴリンの家庭教師としての態度を崩さない。過去に悲惨なめに遭った今の家庭教師リディアは、愛など求めない。そんなリディアに公爵ギルバートの方が興味を抱き……。 ※設定などは独自の世界観でご都合主義。ハピエン🩷 さらりと読んで下さい。 ※稚拙ながらも投稿初日(2025.1.26)から、HOTランキングに入れて頂き、ありがとうございます🙂 最高で26位(2025.2.4)。

元妻からの手紙

きんのたまご
恋愛
家族との幸せな日常を過ごす私にある日別れた元妻から一通の手紙が届く。

婚約したら幼馴染から絶縁状が届きました。

黒蜜きな粉
恋愛
婚約が決まった翌日、登校してくると机の上に一通の手紙が置いてあった。 差出人は幼馴染。 手紙には絶縁状と書かれている。 手紙の内容は、婚約することを発表するまで自分に黙っていたから傷ついたというもの。 いや、幼馴染だからって何でもかんでも報告しませんよ。 そもそも幼馴染は親友って、そんなことはないと思うのだけど……? そのうち機嫌を直すだろうと思っていたら、嫌がらせがはじまってしまった。 しかも、婚約者や周囲の友人たちまで巻き込むから大変。 どうやら私の評判を落として婚約を破談にさせたいらしい。

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

処理中です...