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3.第二幕
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シャンデリアに照らされて、美しい絹のようなピンクブロンドの髪に縁取られた、優しげな顔の令嬢が僕に最敬礼をしました。
ルクス王国特有のピンクブロンドの髪は、彼女が平民上がりの貴族だということを物語っていました。
なぜならば、ルクス王国の王侯貴族の髪はみなチョコレートブラウン色だからです。
(この前の昼食会の令嬢か)
そう思いながら、彼女が目を伏せてることをいいことにじっとギルバート男爵令嬢を観察します。
(この前初めて会ったのに)
なぜか、彼女のことがなんでもわかるような不思議な気持ちです。
とにかく、僕はこの前の自分の婚約者の無礼を謝らないといけないと思い、
「この前は、僕の婚約者のリリーが面倒をかけたみたいだね」
と言いました。
僕の言葉にギルバート男爵令嬢は、淡いサファイアのような瞳をちらりと僕の方に向けて、
「いえいえ、わたくしの不徳の致すところです」
と言い深々とお辞儀をします。
言葉は丁寧なのに、突き放すような言い方に、
これ以上私を面倒事に巻き込まないでと言われてるみたいで、僕はますます心が苦しくなりました。
そんな僕達のやり取りをじっと見てるレオが、僕に目配せしました。
僕がハッとして振り返ると、
「もう、ルイったら、どこにいるのかとおもえば」
とすかさず僕の腕に、婚約者のリリーが腕を絡ませてきました。
彼女の指には僕が幼い頃あげた母の形見の指輪がキラキラと光っています。
僕達は幼なじみで、幼い頃から彼女の美しさや天真爛漫さに夢中だった僕は、父上に懇願して将来の妃はリリーがいいと頼み込んだのです。
ただし、なぜそこまで夢中だったのか僕自身にもよく分からないところがありました。
僕はそんな考えを慌てて頭から振り払って、
「リリーが、少し夜風にあたってくると言って僕から離れていったんだろう?」
そう言いながら、少しふくれっ面をした愛らしい婚約者の頬を僕はつつきました。
そんな僕の行動に彼女は機嫌を直したのか、僕に微笑みました。が、ふと前にいるギルバート男爵令嬢に気づいたのか、
「あら、この前の令嬢ね」
とギルバート男爵令嬢に声をかけました。
(あの昼食会の後、やけにリリーは不機嫌だったよな)
もうギルバート男爵令嬢に下手に絡むのはさすがに王族の品位として、まずいと思った僕がレオに目配せすると、
「リリー公爵令嬢、以前の昼食会で渡し忘れた婚約祝いがあるのですが」
と、彼女の気を引くような発言をしてくれたのでした。
ルクス王国特有のピンクブロンドの髪は、彼女が平民上がりの貴族だということを物語っていました。
なぜならば、ルクス王国の王侯貴族の髪はみなチョコレートブラウン色だからです。
(この前の昼食会の令嬢か)
そう思いながら、彼女が目を伏せてることをいいことにじっとギルバート男爵令嬢を観察します。
(この前初めて会ったのに)
なぜか、彼女のことがなんでもわかるような不思議な気持ちです。
とにかく、僕はこの前の自分の婚約者の無礼を謝らないといけないと思い、
「この前は、僕の婚約者のリリーが面倒をかけたみたいだね」
と言いました。
僕の言葉にギルバート男爵令嬢は、淡いサファイアのような瞳をちらりと僕の方に向けて、
「いえいえ、わたくしの不徳の致すところです」
と言い深々とお辞儀をします。
言葉は丁寧なのに、突き放すような言い方に、
これ以上私を面倒事に巻き込まないでと言われてるみたいで、僕はますます心が苦しくなりました。
そんな僕達のやり取りをじっと見てるレオが、僕に目配せしました。
僕がハッとして振り返ると、
「もう、ルイったら、どこにいるのかとおもえば」
とすかさず僕の腕に、婚約者のリリーが腕を絡ませてきました。
彼女の指には僕が幼い頃あげた母の形見の指輪がキラキラと光っています。
僕達は幼なじみで、幼い頃から彼女の美しさや天真爛漫さに夢中だった僕は、父上に懇願して将来の妃はリリーがいいと頼み込んだのです。
ただし、なぜそこまで夢中だったのか僕自身にもよく分からないところがありました。
僕はそんな考えを慌てて頭から振り払って、
「リリーが、少し夜風にあたってくると言って僕から離れていったんだろう?」
そう言いながら、少しふくれっ面をした愛らしい婚約者の頬を僕はつつきました。
そんな僕の行動に彼女は機嫌を直したのか、僕に微笑みました。が、ふと前にいるギルバート男爵令嬢に気づいたのか、
「あら、この前の令嬢ね」
とギルバート男爵令嬢に声をかけました。
(あの昼食会の後、やけにリリーは不機嫌だったよな)
もうギルバート男爵令嬢に下手に絡むのはさすがに王族の品位として、まずいと思った僕がレオに目配せすると、
「リリー公爵令嬢、以前の昼食会で渡し忘れた婚約祝いがあるのですが」
と、彼女の気を引くような発言をしてくれたのでした。
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