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3.第二幕
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「さ、さむい……」
寝言のように呟いた自分の言葉に驚いて、ハッと私は目覚めました。
けれども、視界に映った風景は自分の見慣れた風景ではありませんでした。天井は自分の部屋とは違って、木造の造りとなっています。
(ここはどこ?)
突然起きたせいなのか、ズキズキと痛む頭を押さえて私はベットから立ち上がりました。
自分の着衣を見てみると、ゆったりとしてレースがあしらわれた薄水色のネグリジェを着ていました。
しかし、そのネグリジェは着古されて、袖口のレースは解れかけでした。
(暖房もなしでこんな格好で寝てるから寒いんだわ)
そう思いながら、暖炉の火を起こそうと暖炉に近づくと、
「お嬢様、入りますよ」
トントンというノックとともに、メイドのアデールが入ってきました。彼女は暖炉の火を起こそうとした私をみて、慌ててこちらに駆け寄ってきました。
「お嬢様!いくら、我が男爵家が人手不足といっても、お嬢様の手を煩わせるようなことは致しません!」
そう言って、私を暖炉から追いやると彼女はテキパキと朝の支度を始めます。
アデールは、私の母が父に嫁ぐ前から私たち親子に仕えてくれているメイドでした。
私は髪の毛をセットしようと、ドレッサーの前に座りました。
鏡に映ったストロベリーブロンドの髪の毛は緩やかにカーブしており、わざわざまとめなくてもそれはそれは綺麗に輝いておりました。
(ストロベリーブロンド……)
果たして自分の髪の毛はこんな色だったかしらと思いながら、私は髪の毛を手早く編み込んでいきます。
綺麗に髪の毛を結い上げると、母から譲り受けた真珠のピアスを耳につけました。
「お嬢様、本日もいつもと変わらずお綺麗ですね」
にこにこしながら、アデールは昨日仕立て屋から届いた新調したてのドレスをこちらに持ってきてくれました。
それは空色のところどころに宝石が縫い付けられたそれはそれは美しいドレスでした。
アデールにお礼を言って着替えると、
「まぁ、お嬢様の美しい青い瞳と合わさってほんとにお似合いですわよ」
とすぐさまアデールは私をみて褒めてくれます。
「もう、アデールったら褒めてくれるのは嬉しいけど、そんなに褒められたら照れちゃうじゃない」
アデールの服をつつきながら、私はちょっと照れた真似をしてみます。
そんな私をみてアデールは、
「いえいえ、世辞なんかじゃないですよ。お嬢さまは隣国で一番綺麗だと言われてるリリー・バロン伯爵令嬢にも引けを取らないとわたくしは思っておりますから」
そう言いながら、アデールは大袈裟に胸を張ってみせました。
その様子がおかしくて、私はくすくすと思わず笑います。
「おやおや、私の姫君は朝から元気だね」
微笑みを浮かびながら、部屋に入ってきたのは、大量の封筒を小脇に抱えたお父様でした。
私はすぐさまアデールとともにお父様に一礼します。
「おはようございます、お父様」
「今日は大切な昼食会だ、くれぐれも粗相のないようにね」
まぁローズなら大丈夫だろう、お父様はそう付け加えると、私の肩をぽんぽんと叩いて部屋を出ていきました。
「昼食会?」
お父様が部屋を出ていった後、ふと私が昼食会の予定なんて今日あったかなと思いポツリと呟きました。
「お嬢様、隣国のルイ王子とリリー公爵令嬢の婚約祝いの昼食会ですよ、まさかお忘れじゃないですよね?」
少し心配そうな顔をして、アデールが私に説明してくれます。
(そっか、そうだった。そこで私は初めて隣国での社交界デビューするんだったわ)
それでようやく、私は貴重な大金を叩いてドレスを新調したことを思い出したのでした。
寝言のように呟いた自分の言葉に驚いて、ハッと私は目覚めました。
けれども、視界に映った風景は自分の見慣れた風景ではありませんでした。天井は自分の部屋とは違って、木造の造りとなっています。
(ここはどこ?)
突然起きたせいなのか、ズキズキと痛む頭を押さえて私はベットから立ち上がりました。
自分の着衣を見てみると、ゆったりとしてレースがあしらわれた薄水色のネグリジェを着ていました。
しかし、そのネグリジェは着古されて、袖口のレースは解れかけでした。
(暖房もなしでこんな格好で寝てるから寒いんだわ)
そう思いながら、暖炉の火を起こそうと暖炉に近づくと、
「お嬢様、入りますよ」
トントンというノックとともに、メイドのアデールが入ってきました。彼女は暖炉の火を起こそうとした私をみて、慌ててこちらに駆け寄ってきました。
「お嬢様!いくら、我が男爵家が人手不足といっても、お嬢様の手を煩わせるようなことは致しません!」
そう言って、私を暖炉から追いやると彼女はテキパキと朝の支度を始めます。
アデールは、私の母が父に嫁ぐ前から私たち親子に仕えてくれているメイドでした。
私は髪の毛をセットしようと、ドレッサーの前に座りました。
鏡に映ったストロベリーブロンドの髪の毛は緩やかにカーブしており、わざわざまとめなくてもそれはそれは綺麗に輝いておりました。
(ストロベリーブロンド……)
果たして自分の髪の毛はこんな色だったかしらと思いながら、私は髪の毛を手早く編み込んでいきます。
綺麗に髪の毛を結い上げると、母から譲り受けた真珠のピアスを耳につけました。
「お嬢様、本日もいつもと変わらずお綺麗ですね」
にこにこしながら、アデールは昨日仕立て屋から届いた新調したてのドレスをこちらに持ってきてくれました。
それは空色のところどころに宝石が縫い付けられたそれはそれは美しいドレスでした。
アデールにお礼を言って着替えると、
「まぁ、お嬢様の美しい青い瞳と合わさってほんとにお似合いですわよ」
とすぐさまアデールは私をみて褒めてくれます。
「もう、アデールったら褒めてくれるのは嬉しいけど、そんなに褒められたら照れちゃうじゃない」
アデールの服をつつきながら、私はちょっと照れた真似をしてみます。
そんな私をみてアデールは、
「いえいえ、世辞なんかじゃないですよ。お嬢さまは隣国で一番綺麗だと言われてるリリー・バロン伯爵令嬢にも引けを取らないとわたくしは思っておりますから」
そう言いながら、アデールは大袈裟に胸を張ってみせました。
その様子がおかしくて、私はくすくすと思わず笑います。
「おやおや、私の姫君は朝から元気だね」
微笑みを浮かびながら、部屋に入ってきたのは、大量の封筒を小脇に抱えたお父様でした。
私はすぐさまアデールとともにお父様に一礼します。
「おはようございます、お父様」
「今日は大切な昼食会だ、くれぐれも粗相のないようにね」
まぁローズなら大丈夫だろう、お父様はそう付け加えると、私の肩をぽんぽんと叩いて部屋を出ていきました。
「昼食会?」
お父様が部屋を出ていった後、ふと私が昼食会の予定なんて今日あったかなと思いポツリと呟きました。
「お嬢様、隣国のルイ王子とリリー公爵令嬢の婚約祝いの昼食会ですよ、まさかお忘れじゃないですよね?」
少し心配そうな顔をして、アデールが私に説明してくれます。
(そっか、そうだった。そこで私は初めて隣国での社交界デビューするんだったわ)
それでようやく、私は貴重な大金を叩いてドレスを新調したことを思い出したのでした。
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