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2.第一幕
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「だれなのよ、貴方は」
私は頑く閉ざした口びるを僅かに開いて、振り絞るように声を出しました。
ここで、大声を叫んで助けを呼んだところで、相手の身分は王子。私の屋敷の者は誰も王子に逆らうことはできません。
せめて、塁がこの事態に気づいて助けに来てくれたらいいのですが……。
そう考えてると、王子は私から取り上げた指輪をしげしげと眺めて、
「この指輪のせいで僕は前回君に逃げられたんだよね、君の恋人もろとも」
そう憎々しげに呟くと、私の部屋の窓を開けて、その指輪を外へと放り投げてしまいました。
彼のその行動を呆気にとられて眺めていた私をみて、
王子はにこりと笑いかけると、
「ようやく、これで君と塁とのつながりを断ち切れたよ」
そう言いながらこちらへと近づいてきます。
「最初は仕事の休憩時間にずっと君の話をする塁がすごく鬱陶しかったんだ……だけど、ある日塁に君の写真を見せてもらってから私はずっと君に会いたかった」
そして、私の顎を掴むと無理やり自分の方を見るように、私の顔を上げさせます。
「ねえ、覚えてる?私たちが最初に出会った日のこと」
そう言いながら、王子は現実世界で、私たちが最初に出会った日のことを話出しました。
「あの日はほんとは長井さんと別れた君の跡を追いかけて、もっと話をしたかったんだ」
そのために急用で呼ばれた仕事を別の同僚に代わってもらったこと、そして、私が大切そうに指輪を撫でていたことを見たことを王子は話しました。
「どうして、初対面の私にそこまでこだわるのよ」
わたしは、王子――もとい海斗に尋ねました。
すると、彼は、
「君は私が愛した幼なじみに瓜二つなんだ」
と少し悲しそうに呟いたのでした。
そのとき、部屋のドアが勢いよくバンと音を立てて開きました。
バタバタと入ってきたのは塁で、私と海斗を見つけるとこちらへと剣を抜きながら走ってきました。
そして、私の前に立ちはだかると、
「お前には渡さないぞ、海斗」
そういうと、王子の喉元に剣を突きつけます。
その時、塁は突きつけられた剣に少し視線を落とした王子の隙を見計らって、
もう片方の手で私にきらりと光る銀色のものを渡しました。
そんな近衛騎士の行動に気付かない王子は、薄ら笑いを浮かべながら、
「君の身分の分際で、私に対抗できるとでも?」
そういうとパチンと指を鳴らしました。
すると、先程近衛騎士が開けたドアから次々と騎士が入ってきたのです。
そして、彼らは入ってくるや否や、近衛騎士を取り囲みました。
「今回は君は魔法使いじゃないし、この状況でどうやって彼女を守るんだ?」
そういうと、入ってきた騎士に命じて塁を連れていくよう王子は命令したのでした。
「待って、塁」
連れていかれそうになる、塁の元へ駆け寄ろうとした私の腕を王子は掴みます。
「君は私と一緒に来るんだ」
そう言いながら、王子は手早く支持を出して、魔法使いを呼び寄せるように言いました。
そして、先ほどとはローブの色が少し違う魔法使いが入ってきたかと思えば、
王子は困惑する魔法使いに向かって私たちに消滅の魔法をかけるように言い放ったのでした。
私は頑く閉ざした口びるを僅かに開いて、振り絞るように声を出しました。
ここで、大声を叫んで助けを呼んだところで、相手の身分は王子。私の屋敷の者は誰も王子に逆らうことはできません。
せめて、塁がこの事態に気づいて助けに来てくれたらいいのですが……。
そう考えてると、王子は私から取り上げた指輪をしげしげと眺めて、
「この指輪のせいで僕は前回君に逃げられたんだよね、君の恋人もろとも」
そう憎々しげに呟くと、私の部屋の窓を開けて、その指輪を外へと放り投げてしまいました。
彼のその行動を呆気にとられて眺めていた私をみて、
王子はにこりと笑いかけると、
「ようやく、これで君と塁とのつながりを断ち切れたよ」
そう言いながらこちらへと近づいてきます。
「最初は仕事の休憩時間にずっと君の話をする塁がすごく鬱陶しかったんだ……だけど、ある日塁に君の写真を見せてもらってから私はずっと君に会いたかった」
そして、私の顎を掴むと無理やり自分の方を見るように、私の顔を上げさせます。
「ねえ、覚えてる?私たちが最初に出会った日のこと」
そう言いながら、王子は現実世界で、私たちが最初に出会った日のことを話出しました。
「あの日はほんとは長井さんと別れた君の跡を追いかけて、もっと話をしたかったんだ」
そのために急用で呼ばれた仕事を別の同僚に代わってもらったこと、そして、私が大切そうに指輪を撫でていたことを見たことを王子は話しました。
「どうして、初対面の私にそこまでこだわるのよ」
わたしは、王子――もとい海斗に尋ねました。
すると、彼は、
「君は私が愛した幼なじみに瓜二つなんだ」
と少し悲しそうに呟いたのでした。
そのとき、部屋のドアが勢いよくバンと音を立てて開きました。
バタバタと入ってきたのは塁で、私と海斗を見つけるとこちらへと剣を抜きながら走ってきました。
そして、私の前に立ちはだかると、
「お前には渡さないぞ、海斗」
そういうと、王子の喉元に剣を突きつけます。
その時、塁は突きつけられた剣に少し視線を落とした王子の隙を見計らって、
もう片方の手で私にきらりと光る銀色のものを渡しました。
そんな近衛騎士の行動に気付かない王子は、薄ら笑いを浮かべながら、
「君の身分の分際で、私に対抗できるとでも?」
そういうとパチンと指を鳴らしました。
すると、先程近衛騎士が開けたドアから次々と騎士が入ってきたのです。
そして、彼らは入ってくるや否や、近衛騎士を取り囲みました。
「今回は君は魔法使いじゃないし、この状況でどうやって彼女を守るんだ?」
そういうと、入ってきた騎士に命じて塁を連れていくよう王子は命令したのでした。
「待って、塁」
連れていかれそうになる、塁の元へ駆け寄ろうとした私の腕を王子は掴みます。
「君は私と一緒に来るんだ」
そう言いながら、王子は手早く支持を出して、魔法使いを呼び寄せるように言いました。
そして、先ほどとはローブの色が少し違う魔法使いが入ってきたかと思えば、
王子は困惑する魔法使いに向かって私たちに消滅の魔法をかけるように言い放ったのでした。
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