7年ぶりに帰国した美貌の年下婚約者は年上婚約者を溺愛したい。

ラドルフとの文通

ラドルフ視点

愛してます。この一言が言いたかった。でも彼女から見たらただの弟のような存在。手紙からも恋愛的な感情は伝わってこない。アドバイスをくれたり気遣う様子は見せてくれる。嫌いな様子はない。ただ俺も15歳。意識してほしい。俺だって何回も愛してると書きたかった。だけど指南書には優しいキャラで紳士的にゆくべしと書いてあったので手紙の一人称は僕にし敬語にしジューン姉さんとずっと心地よい距離を保っていられるように努力した。でも俺の周りには香水をプンプン撒き散らし胸元の大きく開いたドレスを着て媚を売る女達がわんさかいる。まだ14.15の令息、令嬢達はとにかく家のために必死だ。俺も少なからずアプローチを受けている。そのたびに「婚約者がいる」
と断ってきた。だって俺はジューン姉さんと結婚するためだけに生まれてきたんだから。皇太子の婚約者を過保護なこの国の国王から許しを得て結婚させる。それが俺の任務だった。つまり俺は人質だ。こっちの騎士団に入っているし良くしてもらっているけどもしもの時は俺は真っ先に殺される。だからジューン姉さんを愛していると気づいたときに思わず自分の鈍感さに嫌気が差した。俺が気持ちに気づいたのは留学の決まった頃だったから。だからジューン姉さんとの文通で留学から帰るまでの期間に婚約破棄されないように必死に繋ぎ止めた。姉さんの全てが好きだ。愛していると書く勇気がなかったけれど関係をステップアップさせるためにも愛していると書こう。そう思った。