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6話
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そっと図書室の扉を開けると、カウンターに向って座る司書の女性と目があった。
「あら、やはり来たのね? ステファニーさん」
「はい、来てしまいました。先程読書を邪魔されてしまったので」
「どうぞ、中にお入りなさい」
手招きされて、図書室の中に入ると司書の女性がカウンターの上に本を置いた。
「あ、その本は……」
「ええ、先程ステファニーさんが読んでいた本ですよ。多分来るだろうと思って本棚から抜き取っておきました」
「本当ですか? ありがとうございます」
早速司書さんから本を受け取ると、いつものお気に入りの席に座って午後の日程が終わるまで読書を続けた――
****
校舎に終了チャイムが鳴り響く頃、私はこっそり星組のクラスへ戻ってきた。
皆が帰り支度をして騒がしくしている。
そこでドサクサに紛れて自分の席に戻って、何食わぬ顔で私も帰り支度を始めた。
その様子をクラスメイト達が遠巻きに見ているが、話しかけてくる素振りはない。
だって、私は「クールビューティー」と呼ばれる存在。
騒がしいことを好まず、群れるのが嫌い。
そんな私をクラスメイト達は理解しているのだ。
先生だって、本当は私がいないことに気づいているし何処にいるのかも分かっている。
けれど、私が普通の生徒たちとは様子が違うので咎めることも出来ずにいる。
「……素敵な環境だわ」
思わずポツリと呟いた時、突然教室が騒がしくなった。
「キャア! サイラス様だわ!」
「星組にようこそ!」
「何の御用ですか?」
女子生徒たちのキャアキャア騒ぐ声に取り囲まれたサイラスの姿がある。そしてその様子を面白くなさそうに見つめる男子生徒たち。
「ふ~ん……サイラスはこの組でも人気があるのね」
そのとき。
サイラスは私に気づいたのか、笑顔で手を振ってきた。
「ステファニー! 言われた通り迎えに来たよ!」
すると、教室はさらに一層騒がしくなる。
「ええ!? ステファニーさんの迎え!?」
「信じられない!」
「そ、そんなバカな……」
「嘘だ……」
女子生徒も男子生徒も、かなり驚いている。
まぁ、こうなることを想定して私はサイラスに教室まで迎えに来てもらうようにお願いしたのだけれど。
「ありがとう、サイラス様」
私はにっこり笑って、リュックを背負うとサイラスの元へ向った。
「失礼」
私がサイラスに近づくと、群がっていた女子生徒たちがササッと避けて道をあける。
「お待たせしました」
「う、うん」
戸惑いながら返事をするサイラスの手を、これみよがしに皆の前で繋ぐとキャアキャアと黄色い悲鳴が上がる。
「さ、帰りましょう」
「そ……そうだね」
私はわざとらしく、サイラスにピッタリ寄り添うと教室を後にした。
クラスメイト達の視線を背後に受けながら……。
「ここまで来ればいいわね」
校舎を出て、生徒たちの姿が見えなくなった所で私はパッと離れて彼を見た。
「……ねぇ? どうしたの?」
何とサイラスは顔を真っ赤にさせているではないか。
「だ、だって……ステファニーが……僕にくっついてくるから……」
「まさか、それで照れてしまったの?」
すると黙ってコクリと頷く。
「全く……自分から私と交際しているってシビルに言ったのに、そんなに照れてどうするの? それでは恋人同士のフリが出来ないじゃない」
「だ、だって……そんなこと言われても……」
ますます赤くなるサイラス。
まさか、これほどシャイだとは思わなかった。
「仕方ないわねぇ。そんなんじゃ、シビルに嘘がバレてしまうじゃない。こうなったら、特訓するしかないわね」
「え? 特訓? 特訓て何?」
サイラスは目をパチパチさせた。
「もちろん、恋人同士に見える特訓よ」
「だけど特訓なんて……どうやってするの?」
「そんなの決まっているじゃない。デートよ!」
「ええええっ!? デ、デ、デートッ!?」
余程驚いたのか、サイラスが後ずさる。
「そう、デートよ。明日はお休みだから、早速デートをしましょう!」
私はビシッとサイラスを指さした――
「あら、やはり来たのね? ステファニーさん」
「はい、来てしまいました。先程読書を邪魔されてしまったので」
「どうぞ、中にお入りなさい」
手招きされて、図書室の中に入ると司書の女性がカウンターの上に本を置いた。
「あ、その本は……」
「ええ、先程ステファニーさんが読んでいた本ですよ。多分来るだろうと思って本棚から抜き取っておきました」
「本当ですか? ありがとうございます」
早速司書さんから本を受け取ると、いつものお気に入りの席に座って午後の日程が終わるまで読書を続けた――
****
校舎に終了チャイムが鳴り響く頃、私はこっそり星組のクラスへ戻ってきた。
皆が帰り支度をして騒がしくしている。
そこでドサクサに紛れて自分の席に戻って、何食わぬ顔で私も帰り支度を始めた。
その様子をクラスメイト達が遠巻きに見ているが、話しかけてくる素振りはない。
だって、私は「クールビューティー」と呼ばれる存在。
騒がしいことを好まず、群れるのが嫌い。
そんな私をクラスメイト達は理解しているのだ。
先生だって、本当は私がいないことに気づいているし何処にいるのかも分かっている。
けれど、私が普通の生徒たちとは様子が違うので咎めることも出来ずにいる。
「……素敵な環境だわ」
思わずポツリと呟いた時、突然教室が騒がしくなった。
「キャア! サイラス様だわ!」
「星組にようこそ!」
「何の御用ですか?」
女子生徒たちのキャアキャア騒ぐ声に取り囲まれたサイラスの姿がある。そしてその様子を面白くなさそうに見つめる男子生徒たち。
「ふ~ん……サイラスはこの組でも人気があるのね」
そのとき。
サイラスは私に気づいたのか、笑顔で手を振ってきた。
「ステファニー! 言われた通り迎えに来たよ!」
すると、教室はさらに一層騒がしくなる。
「ええ!? ステファニーさんの迎え!?」
「信じられない!」
「そ、そんなバカな……」
「嘘だ……」
女子生徒も男子生徒も、かなり驚いている。
まぁ、こうなることを想定して私はサイラスに教室まで迎えに来てもらうようにお願いしたのだけれど。
「ありがとう、サイラス様」
私はにっこり笑って、リュックを背負うとサイラスの元へ向った。
「失礼」
私がサイラスに近づくと、群がっていた女子生徒たちがササッと避けて道をあける。
「お待たせしました」
「う、うん」
戸惑いながら返事をするサイラスの手を、これみよがしに皆の前で繋ぐとキャアキャアと黄色い悲鳴が上がる。
「さ、帰りましょう」
「そ……そうだね」
私はわざとらしく、サイラスにピッタリ寄り添うと教室を後にした。
クラスメイト達の視線を背後に受けながら……。
「ここまで来ればいいわね」
校舎を出て、生徒たちの姿が見えなくなった所で私はパッと離れて彼を見た。
「……ねぇ? どうしたの?」
何とサイラスは顔を真っ赤にさせているではないか。
「だ、だって……ステファニーが……僕にくっついてくるから……」
「まさか、それで照れてしまったの?」
すると黙ってコクリと頷く。
「全く……自分から私と交際しているってシビルに言ったのに、そんなに照れてどうするの? それでは恋人同士のフリが出来ないじゃない」
「だ、だって……そんなこと言われても……」
ますます赤くなるサイラス。
まさか、これほどシャイだとは思わなかった。
「仕方ないわねぇ。そんなんじゃ、シビルに嘘がバレてしまうじゃない。こうなったら、特訓するしかないわね」
「え? 特訓? 特訓て何?」
サイラスは目をパチパチさせた。
「もちろん、恋人同士に見える特訓よ」
「だけど特訓なんて……どうやってするの?」
「そんなの決まっているじゃない。デートよ!」
「ええええっ!? デ、デ、デートッ!?」
余程驚いたのか、サイラスが後ずさる。
「そう、デートよ。明日はお休みだから、早速デートをしましょう!」
私はビシッとサイラスを指さした――
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