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2話
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「サイラス……?」
私は首を傾げる。
「ええ、そう。サイラス・レパート様よ」
「誰かしら?」
聞き覚えのない名前だ。
「何ですって!? とぼけないで頂戴!」
シビルは赤毛を逆立てんばかりの勢いで詰め寄ってきた。
「そうよそうよ!」
「あの方を知らない人がいるはずないわ!」
相変わらず騒がしい取り巻き女子。
「本当よ、嘘なんかつかないわ」
一体彼がどうしたというのだろう?
「嘘よ! あの方を知らない人間いるなんて、もはやこの学園のモグリに違いないわ! だって、サイラス様はこの学園の女子生徒たちの憧れの存在なのよ!」
先程から、図書室司書の女性がこちらをチラチラ見ている。彼女たちのせいで図書室に出禁されたら、たまったものではない。
とりあえず、適当に話を合わせることにしよう。
「知らないものは知らないもの。……まぁいいわ。この際100歩譲って、私がサイラス様を知っていたとする。それで手を引くとは一体どういうことなのかしら?」
「ふふん、やっと認めることにしたのね。私は彼が好きなの。だから正式に交際を申し込んで婚約まで持っていこうと考えていたのよ」
「そうなの」
交際から、婚約に持っていくとは……あまりにも飛躍的と言うか……無謀に感じる。
「なのに……彼は言ったのよ。僕は、ステファニー・ベルモンドと交際しているから、君とは付き合えないって!」
ビシッと私を指差すシビル。
「え?」
何それ? 初耳なんですけど。それどころかサイラスとかいう人物の顔すら知らないのに?
「あの~……ひょっとして勘違いしているんじゃないのかしら? 少なくとも私はサイラスとかいう人のことは全く知らないから付き合いようも無いでしょう」
「何ですって! たった今、サイラス様を知っていると言ったのは何処の誰なの!?」
「ま! この場になって開き直ったわ!」
「さすが、悪女!」
悪女? 一体誰が悪女だというのだ?
「はぁ~……」
私は大きくため息をつくと髪をかきあげて続けた。
「ちゃんと人の話を聞いていたのかしら? 百歩譲って知っていたとする、と言ったでしょう? 本当にそのサイラスとかいう人物が私を名指ししてきたわけ?」
「ええ、そうよ! とにかく別れて頂戴! 私はね、この学園に入学したときから彼を狙っていたんだから!」
するとそこへ、ツカツカと図書館司書の女性が近づいてきた。
「はい。そこのあなた達。もう約束の1分はとっくに過ぎましたよ? 人の読書の時間を邪魔するものではありません。さっさと出ておいきなさい」
「ええ!? そんな! まだ話は終わっていないのに!?」
「そうですよ!」
「その通りです!」
シビルに取り巻き女子生徒たちが文句を言うも、強引に司書の女性に追い出されてしまった。
「……ふぅ。やっと静かになったわ……」
けれど、サイラスとかいう人物が気になる。一体どういうつもりで私を名指ししてきたのだろう?
昼休み終了までは、後15分は残っている。多分、あの様子だとサイラスは同学年だろう。
「こうなったら、直接本人に会いに行くしか無いわね」
教室を訪ねて回ればすぐにでも分かるはずだ。
椅子から立ち上がり本を棚に戻すと、静けさを取り戻した図書室を後にした――
私は首を傾げる。
「ええ、そう。サイラス・レパート様よ」
「誰かしら?」
聞き覚えのない名前だ。
「何ですって!? とぼけないで頂戴!」
シビルは赤毛を逆立てんばかりの勢いで詰め寄ってきた。
「そうよそうよ!」
「あの方を知らない人がいるはずないわ!」
相変わらず騒がしい取り巻き女子。
「本当よ、嘘なんかつかないわ」
一体彼がどうしたというのだろう?
「嘘よ! あの方を知らない人間いるなんて、もはやこの学園のモグリに違いないわ! だって、サイラス様はこの学園の女子生徒たちの憧れの存在なのよ!」
先程から、図書室司書の女性がこちらをチラチラ見ている。彼女たちのせいで図書室に出禁されたら、たまったものではない。
とりあえず、適当に話を合わせることにしよう。
「知らないものは知らないもの。……まぁいいわ。この際100歩譲って、私がサイラス様を知っていたとする。それで手を引くとは一体どういうことなのかしら?」
「ふふん、やっと認めることにしたのね。私は彼が好きなの。だから正式に交際を申し込んで婚約まで持っていこうと考えていたのよ」
「そうなの」
交際から、婚約に持っていくとは……あまりにも飛躍的と言うか……無謀に感じる。
「なのに……彼は言ったのよ。僕は、ステファニー・ベルモンドと交際しているから、君とは付き合えないって!」
ビシッと私を指差すシビル。
「え?」
何それ? 初耳なんですけど。それどころかサイラスとかいう人物の顔すら知らないのに?
「あの~……ひょっとして勘違いしているんじゃないのかしら? 少なくとも私はサイラスとかいう人のことは全く知らないから付き合いようも無いでしょう」
「何ですって! たった今、サイラス様を知っていると言ったのは何処の誰なの!?」
「ま! この場になって開き直ったわ!」
「さすが、悪女!」
悪女? 一体誰が悪女だというのだ?
「はぁ~……」
私は大きくため息をつくと髪をかきあげて続けた。
「ちゃんと人の話を聞いていたのかしら? 百歩譲って知っていたとする、と言ったでしょう? 本当にそのサイラスとかいう人物が私を名指ししてきたわけ?」
「ええ、そうよ! とにかく別れて頂戴! 私はね、この学園に入学したときから彼を狙っていたんだから!」
するとそこへ、ツカツカと図書館司書の女性が近づいてきた。
「はい。そこのあなた達。もう約束の1分はとっくに過ぎましたよ? 人の読書の時間を邪魔するものではありません。さっさと出ておいきなさい」
「ええ!? そんな! まだ話は終わっていないのに!?」
「そうですよ!」
「その通りです!」
シビルに取り巻き女子生徒たちが文句を言うも、強引に司書の女性に追い出されてしまった。
「……ふぅ。やっと静かになったわ……」
けれど、サイラスとかいう人物が気になる。一体どういうつもりで私を名指ししてきたのだろう?
昼休み終了までは、後15分は残っている。多分、あの様子だとサイラスは同学年だろう。
「こうなったら、直接本人に会いに行くしか無いわね」
教室を訪ねて回ればすぐにでも分かるはずだ。
椅子から立ち上がり本を棚に戻すと、静けさを取り戻した図書室を後にした――
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