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19-9 笑うスティーブ
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「何ぃぃぃぃ?!大将が恋に狂っただと?!」
エルウィンの執務室にスティーブの声が響き渡る。
「シッ!騒ぎ立てるな。スティーブ。万一誰かに聞かれたらどうする?」
シュミットは扉を開けると、廊下に人の気配がないか辺りを見渡し……安堵のため息をつくと扉を閉めた。
「一体どういうことなんだよ?詳しく説明しろ」
スティーブは執務室のソファにドサリと座ると膝と腕を組んだ。
「ああ、実は……」
シュミットもスティーブの向かい側のソファに座ると、これまでの経緯を説明した。
エルウィンがアリアドネを膝の膝の上に乗せたことや、いきなり結婚式の話を持ち出したこと。挙げ句にアリアドネを取られたらどうすると言って、自分の目の前でアリアドネを抱きしめたこと全てを。
「な、何だって?!大将はお前の前で『また俺のアリアドネを他の輩に奪われるか分かったものではないだろう?!』と言い切ったのか?!」
「ああ、そうだ。はっきり仰った。全く耳を疑った……ってどうした?スティーブ」
見ると、スティーブは俯いて肩を震わしている。
「スティーブ……」
(スティーブはアリアドネ様にかなり本気だったからな……やはりショックが大きかったのかもしれない……)
シュミットはスティーブに同情したのだが……。
「プハッハッハッ……ッ!!」
突然スティーブは天井を見上げると大笑いした。
「あ、あの大将が……!!ヒィ~……く、苦しい!そ、そんな嫉妬に狂ったようになってしまうなんて……!『戦場の暴君』と呼ばれる大将が……わ、笑い死にしそうだ……!」
「笑死するのは勝手だが、こちらはそれどころではないんだぞ?!エルウィン様は結婚式の準備から段取りまで全て丸投げしてきたんだぞ!ただでさえ他の業務で忙しいと言うのに……」
シュミットは左手で頭を抑えるとため息をついた。
「そ、それで?肝心の大将とアリアドネは何処へ行ったんだ?折角カルタン族の残党共を全員捕らえて鉱山送りに出来たことを報告しに来たのに」
「何だ、そうだったのか?いつの間にそんなことを行っていたのだ?」
「エデルガルト様の指示で、かつてオズワルドの直属の部下だった騎士たちが討伐したのさ。奴らも最近出番が無くて血が騒いでいたから、残党狩りをさせるにはもってこいだったようだ」
「なるほどな……」
「まぁそれはいいとして……それで?大将は何処へ行ったんだよ」
「あ、ああ。実は……」
****
その頃――。
エルウィンはアリアドネを連れて自分の部隊の訓練を行う為に地下の稽古場にやってきていた。
「いいかっ!お前たち!越冬期間は開けた!またいつ何時、『レビアス』王国を狙って、敵が襲って来るか分からない!だから決して怠ること無く、鍛錬を続けるのだ!いいかっ!」
エルウィンは自分の前に整列する騎士たちを見渡した。
『はい!!』
騎士たちが声を揃えて返事をすると、エルウィンは満足そうに頷いた。
「よし、ではお前たち少しこのまま待っていろ」
そして騎士たちに背を向けると、防護柵の奥で椅子に座っているアリアドネの方へ向かって歩いていく。
その後姿を見つめながら騎士たちが囁きあった。
「あの方はアリアドネ様だろう?」
「何故、わざわざここに来られたのだ?」
「ここに来るのは初めてだよな?」
そしてエルウィンはアリアドネの前にやってくると笑みを浮かべた。
『!!』
その姿を見て騎士たちが驚愕したのは言うまでも無かった――。
エルウィンの執務室にスティーブの声が響き渡る。
「シッ!騒ぎ立てるな。スティーブ。万一誰かに聞かれたらどうする?」
シュミットは扉を開けると、廊下に人の気配がないか辺りを見渡し……安堵のため息をつくと扉を閉めた。
「一体どういうことなんだよ?詳しく説明しろ」
スティーブは執務室のソファにドサリと座ると膝と腕を組んだ。
「ああ、実は……」
シュミットもスティーブの向かい側のソファに座ると、これまでの経緯を説明した。
エルウィンがアリアドネを膝の膝の上に乗せたことや、いきなり結婚式の話を持ち出したこと。挙げ句にアリアドネを取られたらどうすると言って、自分の目の前でアリアドネを抱きしめたこと全てを。
「な、何だって?!大将はお前の前で『また俺のアリアドネを他の輩に奪われるか分かったものではないだろう?!』と言い切ったのか?!」
「ああ、そうだ。はっきり仰った。全く耳を疑った……ってどうした?スティーブ」
見ると、スティーブは俯いて肩を震わしている。
「スティーブ……」
(スティーブはアリアドネ様にかなり本気だったからな……やはりショックが大きかったのかもしれない……)
シュミットはスティーブに同情したのだが……。
「プハッハッハッ……ッ!!」
突然スティーブは天井を見上げると大笑いした。
「あ、あの大将が……!!ヒィ~……く、苦しい!そ、そんな嫉妬に狂ったようになってしまうなんて……!『戦場の暴君』と呼ばれる大将が……わ、笑い死にしそうだ……!」
「笑死するのは勝手だが、こちらはそれどころではないんだぞ?!エルウィン様は結婚式の準備から段取りまで全て丸投げしてきたんだぞ!ただでさえ他の業務で忙しいと言うのに……」
シュミットは左手で頭を抑えるとため息をついた。
「そ、それで?肝心の大将とアリアドネは何処へ行ったんだ?折角カルタン族の残党共を全員捕らえて鉱山送りに出来たことを報告しに来たのに」
「何だ、そうだったのか?いつの間にそんなことを行っていたのだ?」
「エデルガルト様の指示で、かつてオズワルドの直属の部下だった騎士たちが討伐したのさ。奴らも最近出番が無くて血が騒いでいたから、残党狩りをさせるにはもってこいだったようだ」
「なるほどな……」
「まぁそれはいいとして……それで?大将は何処へ行ったんだよ」
「あ、ああ。実は……」
****
その頃――。
エルウィンはアリアドネを連れて自分の部隊の訓練を行う為に地下の稽古場にやってきていた。
「いいかっ!お前たち!越冬期間は開けた!またいつ何時、『レビアス』王国を狙って、敵が襲って来るか分からない!だから決して怠ること無く、鍛錬を続けるのだ!いいかっ!」
エルウィンは自分の前に整列する騎士たちを見渡した。
『はい!!』
騎士たちが声を揃えて返事をすると、エルウィンは満足そうに頷いた。
「よし、ではお前たち少しこのまま待っていろ」
そして騎士たちに背を向けると、防護柵の奥で椅子に座っているアリアドネの方へ向かって歩いていく。
その後姿を見つめながら騎士たちが囁きあった。
「あの方はアリアドネ様だろう?」
「何故、わざわざここに来られたのだ?」
「ここに来るのは初めてだよな?」
そしてエルウィンはアリアドネの前にやってくると笑みを浮かべた。
『!!』
その姿を見て騎士たちが驚愕したのは言うまでも無かった――。
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