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16-4 酔いどれダンス
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「ダンス……?俺にダンスを教えるというのか?」
「は、はい……もしご迷惑でなければ……ですが……」
俯くアリアドネを見つめながらエルウィンは考えた。
(剣を握る方が得意な俺に、女の手を握ってダンスを踊れだと?……でもまぁいいか。どうせこれは夢だし、相手は他ならぬアリアドネなのだからな……)
「よし、ならアリアドネ。俺にダンスを教えてくれるか?」
「はい。勿論です」
半分断られるのではないかと思っていたアリアドネはエルウィンが自分の誘いを受けてくれたことが嬉しく、笑みを浮かべた。
「それで?俺はどうすればいいのだ?」
「はい。ではまず、左手で私の手を握り……右手で私の左肩下を支えて下さい」
言われた通り、エルウィンはアリアドネの身体を支えた。
「こうか?」
「はい、そうです。それでは足の動きは……」
こうしてアリアドネはアルコールに酔い、完全にこれは夢だと思い込んでいるエルウィンとダンスを踊り始めた――。
「はい、ここでターンです」
言われるままにアリアドネと踊るエルウィンはますます酔いが回ってくる。
(うう……目が回る……これは夢だと言うのに、何故目が回るんだ……も、もう駄目だ……)
ガクンと急にエルウィンがアリアドネの身体によりかかる。
「え……キャア!!」
ドサッ!!
小柄なアリアドネが当然身体の大きなエルウィンを支えきれるはずもなく、2人はそのまま床の上に転倒してしまった。
「う……」
自分の身体の上にのしかかるように倒れているエルウィンの身体の下から何とか這いずるように抜け出したアリアドネ。そして床の上にうつ伏せに伸びているエルウィンに気づいた。
「エルウィン様……?」
声を掛けながら覗き込むと、赤い顔で目を閉じて倒れているエルウィンに驚いた。
「エルウィン様!ど、どうしたのですかっ?!」
「うぅ……」
しかし、エルウィンは呻くだけだった。
「た、大変……!」
未だに状況が分からないアリアドネは意識のないエルウィンに声を掛けた。
「待っていて下さいね。エルウィン様。今、皆さんを呼んで参りますから!」
そして一目散にアリアドネは騎士たちの元へ向かった――。
その頃、談話室では騎士たちがアルコールを飲みながら、カードゲームやダーツを楽しんでいた。そこへアリアドネが慌てた様子で駆け込んできた。
「み、皆さん!どうか手を貸して下さい!エルウィン様が倒れました!」
その言葉は一瞬のうちに騎士たちに衝撃を与えた。
「何っ?!エルウィン様が?!」
「大変だ!」
「皆、行くぞ!」
談話室にいた騎士全員はアリアドネと共にエルウィンの部屋へ急いだ――。
アリアドネに部屋に連れてこられた騎士たち。床に倒れているエルウィンを見て、真っ先に口を開いたのはマティアスだった。
「こ、これは……酔っ払っているようですね……」
「え?」
その言葉にアリアドネは耳を疑った。
「あ、あの……今、何とおっしゃいましたか?」
「はい、どうやらエルウィン様は完全に酔っておられるようです」
別の騎士が応える。
更に奥では別の騎士の驚きの声が上がった。
「あっ!このアルコールは……この地方特産品の度数70度超えのアルコールだ!しかも2瓶も空だぞっ!」
「何だって?そんな物を口にされのたのか?!」
「そ、そんな……!」
騎士たちの言葉に青ざめたのはアリアドネだ。
「アリアドネ様?どうかされたのですか?」
青ざめるアリアドネにカインが尋ねた。
「わ、私……。エルウィン様がいつもと変わらない様子だったので……ダンスを教えて差し上げようと思い、一緒に踊ったのです……」
『え……?』
騎士たちがその言葉に絶句したのは……言うまでも無かった――。
「は、はい……もしご迷惑でなければ……ですが……」
俯くアリアドネを見つめながらエルウィンは考えた。
(剣を握る方が得意な俺に、女の手を握ってダンスを踊れだと?……でもまぁいいか。どうせこれは夢だし、相手は他ならぬアリアドネなのだからな……)
「よし、ならアリアドネ。俺にダンスを教えてくれるか?」
「はい。勿論です」
半分断られるのではないかと思っていたアリアドネはエルウィンが自分の誘いを受けてくれたことが嬉しく、笑みを浮かべた。
「それで?俺はどうすればいいのだ?」
「はい。ではまず、左手で私の手を握り……右手で私の左肩下を支えて下さい」
言われた通り、エルウィンはアリアドネの身体を支えた。
「こうか?」
「はい、そうです。それでは足の動きは……」
こうしてアリアドネはアルコールに酔い、完全にこれは夢だと思い込んでいるエルウィンとダンスを踊り始めた――。
「はい、ここでターンです」
言われるままにアリアドネと踊るエルウィンはますます酔いが回ってくる。
(うう……目が回る……これは夢だと言うのに、何故目が回るんだ……も、もう駄目だ……)
ガクンと急にエルウィンがアリアドネの身体によりかかる。
「え……キャア!!」
ドサッ!!
小柄なアリアドネが当然身体の大きなエルウィンを支えきれるはずもなく、2人はそのまま床の上に転倒してしまった。
「う……」
自分の身体の上にのしかかるように倒れているエルウィンの身体の下から何とか這いずるように抜け出したアリアドネ。そして床の上にうつ伏せに伸びているエルウィンに気づいた。
「エルウィン様……?」
声を掛けながら覗き込むと、赤い顔で目を閉じて倒れているエルウィンに驚いた。
「エルウィン様!ど、どうしたのですかっ?!」
「うぅ……」
しかし、エルウィンは呻くだけだった。
「た、大変……!」
未だに状況が分からないアリアドネは意識のないエルウィンに声を掛けた。
「待っていて下さいね。エルウィン様。今、皆さんを呼んで参りますから!」
そして一目散にアリアドネは騎士たちの元へ向かった――。
その頃、談話室では騎士たちがアルコールを飲みながら、カードゲームやダーツを楽しんでいた。そこへアリアドネが慌てた様子で駆け込んできた。
「み、皆さん!どうか手を貸して下さい!エルウィン様が倒れました!」
その言葉は一瞬のうちに騎士たちに衝撃を与えた。
「何っ?!エルウィン様が?!」
「大変だ!」
「皆、行くぞ!」
談話室にいた騎士全員はアリアドネと共にエルウィンの部屋へ急いだ――。
アリアドネに部屋に連れてこられた騎士たち。床に倒れているエルウィンを見て、真っ先に口を開いたのはマティアスだった。
「こ、これは……酔っ払っているようですね……」
「え?」
その言葉にアリアドネは耳を疑った。
「あ、あの……今、何とおっしゃいましたか?」
「はい、どうやらエルウィン様は完全に酔っておられるようです」
別の騎士が応える。
更に奥では別の騎士の驚きの声が上がった。
「あっ!このアルコールは……この地方特産品の度数70度超えのアルコールだ!しかも2瓶も空だぞっ!」
「何だって?そんな物を口にされのたのか?!」
「そ、そんな……!」
騎士たちの言葉に青ざめたのはアリアドネだ。
「アリアドネ様?どうかされたのですか?」
青ざめるアリアドネにカインが尋ねた。
「わ、私……。エルウィン様がいつもと変わらない様子だったので……ダンスを教えて差し上げようと思い、一緒に踊ったのです……」
『え……?』
騎士たちがその言葉に絶句したのは……言うまでも無かった――。
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