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7-19 オズワルドの腹心
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パタン…
アリアドネは扉を閉じて、顔を上げるとそこには人形のように美しい顔立ちの騎士…ロイの姿があった。
「要件は済んだのだな?」
感情の伴わない声で尋ねてきた。
「はい…終わりました」
「なら仕事場まで送る」
それだけ告げるとロイはアリアドネに背を向けて足音を立てて廊下を歩き始めた。
アリアドネは黙ってその後をついて行く。
カツーン
カツーン
(それにしても…何故この場所は人の気配が感じられないのかしら…)
あまりにも静まり返っているのがアリアドネには不思議であり…少しだけ怖かったので何か会話をしようと思い、前方を歩くロイに話しかけた。
「あの…」
「何だ?」
振り返ることも無く返事をするロイ。
「このお部屋の周囲は…何だかとても…その、静かなのですね…」
「そうだ。オズワルド様は騒がしい環境がお嫌いだからな」
「そうですか…それでオズワルド様は一体どのようなお方なのでしょうか?」
すると…。
それまで振り返ることも無く前方を歩いていたロイが突如足を止めるとアリアドネに向き直った。
「そんなことを尋ねてどうするのだ?」
まだ年若いロイにすごまれて、アリアドネは息を飲んだ。
「あ…い、いえ…その…これから色々と接点が出来るお方になるのではないかと思いまして…それで少しお尋ねしただけなのですが…申し訳ございません。余計なことを口にしてしまいました」
アリアドネは素直に謝った。しかし、ロイの口から言葉が紡ぎ出された。
「…オズワルド様は…寡黙なお方だ」
「寡黙な…」
アリアドネが呟いたその時、前方から数名の兵士たちがこちらへ向かってやってきた。
(あ…!あの方たちは…もしやランベール様にお仕えしていた兵士の方たち…!)
途端にアリアドネの頭の中に以前兵士たちに絡まれた時の記憶が蘇る。あの時はエルウィンが偶然現れて助けてくれたが、今回はそうはいかない。
アリアドネは目の前に立つロイが自分を助けてくれそうには到底思えなかったからだ。
何しろ彼はオズワルドの忠実な部下なのだ。そのような人物がわざわざ仲間を敵に回すようなことはしないだろう。
(ど、どうしよう…。どうかそのまま私の事を無視してくれますように…)
アリアドネはうつむいた。
「…?」
そしてそんな様子のアリアドネを不思議そうに首を傾げて見るロイ。
「どうした?」
ロイがアリアドネに声を掛けたその時―。
「ん?その金の髪…お前、ロイじゃないか?」
1人の若い兵士が声を掛けてきた。
「…」
ロイは黙って兵士たちを振り返る。
「お前、ここを通っていたってことは…オズワルド様に呼ばれたのか?」
「ロイは女みたいな顔してるからな。オズワルド様に気に入られているんだろう?」
「…」
しかし、ロイは聞こえているのかいないのか無言で兵士隊の言葉を聞いている。
「チッ!全く綺麗な顔していやがるくせに、相変わらず何考えているが分からない奴だな…ん?」
その時、1人の兵士が俯くアリアドネの姿に気付いた。
「へ~…女。お前汚い身なりのわりに、ずいぶん美人じゃないか…」
「!」
アリアドネにあの時の恐怖の体験が蘇る。
「確かにそうだな?どれ、俺たちとちょっと付き合えよ」
別の兵士がアリアドネに手を伸ばそうとした時…。
ヒュッ!
鋭い音と同時に悲鳴が上がった。
「ギャアッ!!」
え…?
アリアドネは目を見張った。
何とアリアドネに手を出そうとした兵士の手からは血がほとばしり、無表情で血の付いたダガーを握りしめるロイがそこに立っていたのであった―。
アリアドネは扉を閉じて、顔を上げるとそこには人形のように美しい顔立ちの騎士…ロイの姿があった。
「要件は済んだのだな?」
感情の伴わない声で尋ねてきた。
「はい…終わりました」
「なら仕事場まで送る」
それだけ告げるとロイはアリアドネに背を向けて足音を立てて廊下を歩き始めた。
アリアドネは黙ってその後をついて行く。
カツーン
カツーン
(それにしても…何故この場所は人の気配が感じられないのかしら…)
あまりにも静まり返っているのがアリアドネには不思議であり…少しだけ怖かったので何か会話をしようと思い、前方を歩くロイに話しかけた。
「あの…」
「何だ?」
振り返ることも無く返事をするロイ。
「このお部屋の周囲は…何だかとても…その、静かなのですね…」
「そうだ。オズワルド様は騒がしい環境がお嫌いだからな」
「そうですか…それでオズワルド様は一体どのようなお方なのでしょうか?」
すると…。
それまで振り返ることも無く前方を歩いていたロイが突如足を止めるとアリアドネに向き直った。
「そんなことを尋ねてどうするのだ?」
まだ年若いロイにすごまれて、アリアドネは息を飲んだ。
「あ…い、いえ…その…これから色々と接点が出来るお方になるのではないかと思いまして…それで少しお尋ねしただけなのですが…申し訳ございません。余計なことを口にしてしまいました」
アリアドネは素直に謝った。しかし、ロイの口から言葉が紡ぎ出された。
「…オズワルド様は…寡黙なお方だ」
「寡黙な…」
アリアドネが呟いたその時、前方から数名の兵士たちがこちらへ向かってやってきた。
(あ…!あの方たちは…もしやランベール様にお仕えしていた兵士の方たち…!)
途端にアリアドネの頭の中に以前兵士たちに絡まれた時の記憶が蘇る。あの時はエルウィンが偶然現れて助けてくれたが、今回はそうはいかない。
アリアドネは目の前に立つロイが自分を助けてくれそうには到底思えなかったからだ。
何しろ彼はオズワルドの忠実な部下なのだ。そのような人物がわざわざ仲間を敵に回すようなことはしないだろう。
(ど、どうしよう…。どうかそのまま私の事を無視してくれますように…)
アリアドネはうつむいた。
「…?」
そしてそんな様子のアリアドネを不思議そうに首を傾げて見るロイ。
「どうした?」
ロイがアリアドネに声を掛けたその時―。
「ん?その金の髪…お前、ロイじゃないか?」
1人の若い兵士が声を掛けてきた。
「…」
ロイは黙って兵士たちを振り返る。
「お前、ここを通っていたってことは…オズワルド様に呼ばれたのか?」
「ロイは女みたいな顔してるからな。オズワルド様に気に入られているんだろう?」
「…」
しかし、ロイは聞こえているのかいないのか無言で兵士隊の言葉を聞いている。
「チッ!全く綺麗な顔していやがるくせに、相変わらず何考えているが分からない奴だな…ん?」
その時、1人の兵士が俯くアリアドネの姿に気付いた。
「へ~…女。お前汚い身なりのわりに、ずいぶん美人じゃないか…」
「!」
アリアドネにあの時の恐怖の体験が蘇る。
「確かにそうだな?どれ、俺たちとちょっと付き合えよ」
別の兵士がアリアドネに手を伸ばそうとした時…。
ヒュッ!
鋭い音と同時に悲鳴が上がった。
「ギャアッ!!」
え…?
アリアドネは目を見張った。
何とアリアドネに手を出そうとした兵士の手からは血がほとばしり、無表情で血の付いたダガーを握りしめるロイがそこに立っていたのであった―。
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