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5-17 護衛騎士オズワルド
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翌朝―
アイゼンシュタット城に激震が走った―。
午前7時―
エルウィンがシュミットと共に、執務室で食後のコーヒーを飲んでいた時の事だった。
「た、大変ですっ!大将っ!!」
突如、スティーブがノックもせずに部屋に飛び込んできた。
「何だ?スティーブ…朝から騒がしいな。コーヒー位静かに飲ませてくれ」
朝があまり強くないエルウィンは不機嫌そうにスティーブを見た。
「それどころじゃないですっ!大将っ!ランベール様が…殺されましたっ!」
スティーブは大声で叫ぶように言った。
「な、何だってっ?!それは本当の話かっ?!」
エルウィンは立ち上がった。
「ま、まさか…」
シュミットも驚きの表情を浮かべている。
「ええ、とにかく地下牢へ行きましょうっ!
「分かったっ!」
「急ぎましょうっ!」
そして3人は大急ぎで地下牢へ向かった―。
****
3人が地下牢へ到着すると、そこには既にランベールの重臣達が揃っていた。
「これはエルウィン様…のんびりしたお着きでしたね…」
頭がツルリと禿げ上がったランベールの重臣の1人、ドミニコがジロリとエルウィンを睨みつけてきた。
「まぁまぁ…エルウィン様は朝が弱い方ですから仕方ないでしょう」
含み笑いをしながらエルウィンを見る痩せぎすの男はランベールの参謀とも呼ばれるバルド、そしてランベールの護衛として、常に彼に付き従っていたオズワルドは無言でエルウィン達3人を見つめている。
「何だと…貴様…俺に喧嘩を売っているのか?」
怒気を含んだ声でエルウィンはバルドを睨みつけた。
「…ランベール様のご遺体はどちらにあるのです?」
シュミットは静かな声で3人に尋ねた。
「…こちらだ」
オズワルドは相変わらず無表情で答えると踵を返し、歩き始めた。
「「「「「…」」」」」
足音を響かせながら5人の男達は無言でオズワルドの後をついていった。
****
そこはランベールが入れられていた地下牢だった。血溜まりの中にランベールは死体となって冷たい床の上に横たわっていた。
地下牢は血の匂いが充満している。
「うぐ…」
「これはたまらんな…」
エルウィン達と違って戦場に出て血の匂いを嗅いだことことすらないドミニコとバルドは自身のマントで鼻を覆い隠しながらランベールの遺体を離れたところから見ている。
「ふん…お前たちはランベールの腰巾着だったくせに、少しもアイツの死をかなしんだりしていないのだな?」
エルウィンは腕組みしながら言う。
「な、何ですとっ?!そういうエルウィン様はどうなのだっ?!」
「そうですっ!たった1人きりの血を分けた肉親ではありませんか?!それなのに、悲しむ素振りもしないで!」
ドミニコとバルドが噛みつくように喚く。
「もしや、エルウィン様が犯人ですか?ランベール様を殺した…」
低い声でオズワルドがエルウィンを見る。
「何?貴様…今、何と言った?」
エルウィンの眉が上がった。
「言葉通りの意味ですよ。ランベール様を殺害したのはエルウィン様では無いのですかと申し上げているのです」
今度は、はっきり通る声でオズワルドが言った。
「面白い…俺を…疑っていると言うのか?」
エルウィンは腕組みしたまま口角を上げた。
「いいえ、疑っているのはあなたがた全員だ」
オズワルドはエルウィンの傍らに立つ、シュミット、スティーブを順番に見る。
「何だと…?オズワルド…貴様、俺を疑っているのか?」
隊は違えど、同じ騎士団長であるスティーブは殺気をみなぎらせてオズワルドを見る。
「あいにく、私は剣を握るより、ペンを握る方が得意なのですが?」
シュミットは冷静に答える。
「言っておくが、俺達は犯人では無い。俺だったらわざわざ地下牢へ忍び込み…牢屋番を殺すような真似はしないからな」
エルウィンは牢屋番が殺害されている話をここに来るまでにスティーブから聞いていた。
「何しろ、俺はこのアイゼンシュタットの城主だ。その城主がわざわざ罪人を殺害するために牢屋番を殺害する必要があるか?」
「確かに…それは言えるな」
「ああ、牢屋番を殺害する必要は無いだろう」
ドミニコとバルドはヒソヒソと話し合っている。するとオズワルドは言った。
「自分に疑いの目が向けられないようにわざと牢屋番を殺害したかもしれないではありませんか?何しろ貴方は血に飢えた暴君だ。越冬期間に入り、戦が無くなって…人を殺したくてさぞやウズウズしていたのではありませんか?」
「なんだと…?貴様…人を何だと思っているのだっ!!」
カッとなったエルウィンは腰の剣を抜こうとし…そこをシュミットとスティーブに止められた―。
アイゼンシュタット城に激震が走った―。
午前7時―
エルウィンがシュミットと共に、執務室で食後のコーヒーを飲んでいた時の事だった。
「た、大変ですっ!大将っ!!」
突如、スティーブがノックもせずに部屋に飛び込んできた。
「何だ?スティーブ…朝から騒がしいな。コーヒー位静かに飲ませてくれ」
朝があまり強くないエルウィンは不機嫌そうにスティーブを見た。
「それどころじゃないですっ!大将っ!ランベール様が…殺されましたっ!」
スティーブは大声で叫ぶように言った。
「な、何だってっ?!それは本当の話かっ?!」
エルウィンは立ち上がった。
「ま、まさか…」
シュミットも驚きの表情を浮かべている。
「ええ、とにかく地下牢へ行きましょうっ!
「分かったっ!」
「急ぎましょうっ!」
そして3人は大急ぎで地下牢へ向かった―。
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3人が地下牢へ到着すると、そこには既にランベールの重臣達が揃っていた。
「これはエルウィン様…のんびりしたお着きでしたね…」
頭がツルリと禿げ上がったランベールの重臣の1人、ドミニコがジロリとエルウィンを睨みつけてきた。
「まぁまぁ…エルウィン様は朝が弱い方ですから仕方ないでしょう」
含み笑いをしながらエルウィンを見る痩せぎすの男はランベールの参謀とも呼ばれるバルド、そしてランベールの護衛として、常に彼に付き従っていたオズワルドは無言でエルウィン達3人を見つめている。
「何だと…貴様…俺に喧嘩を売っているのか?」
怒気を含んだ声でエルウィンはバルドを睨みつけた。
「…ランベール様のご遺体はどちらにあるのです?」
シュミットは静かな声で3人に尋ねた。
「…こちらだ」
オズワルドは相変わらず無表情で答えると踵を返し、歩き始めた。
「「「「「…」」」」」
足音を響かせながら5人の男達は無言でオズワルドの後をついていった。
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そこはランベールが入れられていた地下牢だった。血溜まりの中にランベールは死体となって冷たい床の上に横たわっていた。
地下牢は血の匂いが充満している。
「うぐ…」
「これはたまらんな…」
エルウィン達と違って戦場に出て血の匂いを嗅いだことことすらないドミニコとバルドは自身のマントで鼻を覆い隠しながらランベールの遺体を離れたところから見ている。
「ふん…お前たちはランベールの腰巾着だったくせに、少しもアイツの死をかなしんだりしていないのだな?」
エルウィンは腕組みしながら言う。
「な、何ですとっ?!そういうエルウィン様はどうなのだっ?!」
「そうですっ!たった1人きりの血を分けた肉親ではありませんか?!それなのに、悲しむ素振りもしないで!」
ドミニコとバルドが噛みつくように喚く。
「もしや、エルウィン様が犯人ですか?ランベール様を殺した…」
低い声でオズワルドがエルウィンを見る。
「何?貴様…今、何と言った?」
エルウィンの眉が上がった。
「言葉通りの意味ですよ。ランベール様を殺害したのはエルウィン様では無いのですかと申し上げているのです」
今度は、はっきり通る声でオズワルドが言った。
「面白い…俺を…疑っていると言うのか?」
エルウィンは腕組みしたまま口角を上げた。
「いいえ、疑っているのはあなたがた全員だ」
オズワルドはエルウィンの傍らに立つ、シュミット、スティーブを順番に見る。
「何だと…?オズワルド…貴様、俺を疑っているのか?」
隊は違えど、同じ騎士団長であるスティーブは殺気をみなぎらせてオズワルドを見る。
「あいにく、私は剣を握るより、ペンを握る方が得意なのですが?」
シュミットは冷静に答える。
「言っておくが、俺達は犯人では無い。俺だったらわざわざ地下牢へ忍び込み…牢屋番を殺すような真似はしないからな」
エルウィンは牢屋番が殺害されている話をここに来るまでにスティーブから聞いていた。
「何しろ、俺はこのアイゼンシュタットの城主だ。その城主がわざわざ罪人を殺害するために牢屋番を殺害する必要があるか?」
「確かに…それは言えるな」
「ああ、牢屋番を殺害する必要は無いだろう」
ドミニコとバルドはヒソヒソと話し合っている。するとオズワルドは言った。
「自分に疑いの目が向けられないようにわざと牢屋番を殺害したかもしれないではありませんか?何しろ貴方は血に飢えた暴君だ。越冬期間に入り、戦が無くなって…人を殺したくてさぞやウズウズしていたのではありませんか?」
「なんだと…?貴様…人を何だと思っているのだっ!!」
カッとなったエルウィンは腰の剣を抜こうとし…そこをシュミットとスティーブに止められた―。
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