6月9日はきっと晴れるから

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第2章 97 警察からの尋問

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「彩花っ!しっかりしろっ!」

頭から血を流し続けている彩花はピクリとも動かない。
助け起こそうとして、考え直した。

そうだ、頭を強打しているのだから変に動かしたりしたら駄目だ!

そこでスマホを取り出すと、救急車を呼ぶことにした――。



****


 40分後――

彩花は市内一の一番大きな病院に搬送され‥‥すぐに緊急オペを受けることになった。
そして俺は何故か3人の警察官に囲まれていた。
そのうちの1人の警察官からまるで取り調べのような聞き取り調査をオペ室の廊下の椅子に腰かけた状態で受けていたのである。


「つまり南彩花さんは貴女の恋人であり、会社の同僚にストーカーされていたと言う事ですか?」

男性警官は何故か疑い深げな目で俺の話をメモしている。

「ええ、そうですよ。さっきっからそう言ってるじゃありませんか?」

苛立ちを押さえながら返事をする。

「それで、その椎名という男が昨夜も南さんのアパートに現れたので上条さんが追い払ったと言う事ですね?」

「そうです。それなのにあの男は彩花にまた嫌がらせメールを送って来たので俺が彼のストーカー行為を会社の人間に知らせる為に転送したんです。そして彩花には念の為に会社を休ませました」

「成程……」

警察官はすらすらとボールペンを手帳の上で走らせている。

それにしても……。
俺は自分を監視するかのような視線でこちらを見ている2人の警察官が気になって仕方が無かった。

何故こんな敵意の込められた目で睨まれなければならないのだ?一体俺が何をしたというのだろう?

「それで会社で休みを取った南さんと一緒に温泉へ行こうと車で出掛け……途中で、部屋のガスの元栓を閉めたか心配になった南さんを乗せてアパートへ戻ったと…」

どこか他人事のように話をしながら、メモを取る警察官にも苛立ちが募ってくる。

「ええ、そうですよ。そうしたらあの椎名がアパートから飛び出して来て俺は追いかけて奴を捕まえたんです。追いかけのはまた彩花にストーカーをしていると思ったからですよ。すると椎名から彩花が階段から落ちたと聞かされて、すぐに彼女の元へ駆けつけたんです」

「なるほど…つまり貴方が駆けつけたときには南さんはアパートの階段下に転げ落ちていた…ということですか?」

「だからそうだと言ってるじゃありませんかっ!そんなことよりも早く椎名を逮捕してくださいっ!あいつが彩花をストーキングしていたことは彼女のスマホを見れば分かることでしょう?!椎名がアパートに現れたりさえしなければ……彩花はこんな大怪我をすることだって無かったんですよっ?!」

手術室を指さしながら俺は叫んだ。

「ふむ…確かに貴方の仰るとおりかもしれませんがね……ただ、目撃情報が無いんですよ。今別の警察官たちが南さんのアパート付近を捜索していますが、椎名の姿も見つからない。本当に貴方の言葉を信じていいものかどうか…ね?」

そして警察官は冷たい視線で俺を見た――。

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