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第2章 72 車内で盛り上がる2人
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『 児童養護施設こども園』にはタクシーに乗って行くことにした。
2人で駅前にあるタクシーの待合所から乗り込むと、俺は早速運転手に行先を告げた。
「すみません。『児童養護施設こども園』までお願いします」
「承知致しました」
男性ドライバーは返事をすると、すぐにタクシーは走り出した。
「あの、上条さんは運転免許を持っているんですか?」
彩花が不意に尋ねて来た。
「ええ、持っていますよ」
「そうなんですか……いいですね。私もお金に余裕があれば免許を取りたいのですけど…うちの会社って薄給なんですよ。でも贅沢言えないですけどね。この不景気の中で高卒の私を事務員として雇ってくれているのですから」
「でも中にはフリーターで終わってしまう人もいますから…ちゃんと正社員として働けているのは良い事ですよ?福利厚生もあるでしょうし」
そうだ、彩花。
お前は頑張り屋だよ。立派だと思う。
「ええ。言われて見れば確かにそうですね。頑張ってお金を貯めて、いずれは免許を取って駐車場付きのマンションで暮らすのが私のささやかな夢なんです」
笑みを浮かべながら自分の夢を語る彩花に俺はふと思った。
彩花には結婚願望は無いのだろか……?
よし、さりげなく尋ねてみることにしよう。
「南さんは将来結婚は考えていないのですか?」
「え?け、結婚ですか?」
途端に真っ赤になる彩花。
「ええ、そうです。先ほどの話だと、南さんは独身主義なのかと思ってしまいまして」
「い、いえ。そんなことは無いです。誰か良い人がいたら結婚したいなとは思いますけど……生憎そのような対象の相手が全くいないので」
「全くいない……のですか?会社とかにもですか?」
その言葉を念押ししてみた。
「え?ええ…そうですけど…?大体男性社員は全員既婚者ですし、年も大分離れていますから」
今の言い方だと、きっと彩花は既婚者である椎名には全く興味が無いととらえて大丈夫だろう。
その気持ちを知ることが出来ただけでも良かった……。
「あの、上条さんには誰かお付き合いしている女性とかいるのですか?」
1人、心の中で喜んでいると彩花が尋ねて来た。
「え?俺ですか?勿論俺もそんな女性なんかいませんよ。でも気になる女性はいますけどね」
「え?ほ、本当ですか?!」
彩花が目を見開いて尋ねて来た。
その反応を見て、俺は確信した。
間違いない。
彩花は俺のことを確実に意識してくれている。このまま少しずつ2人の距離を詰めていけば……。
こうして俺と彩花は場所がタクシーの中であるにも関わらず、『 児童養護施設こども園』に到着するまでの間、恋愛の話で盛り上がった。
そして、到着する頃には2人ともすっかり砕けた話し方へと変わっていた――。
2人で駅前にあるタクシーの待合所から乗り込むと、俺は早速運転手に行先を告げた。
「すみません。『児童養護施設こども園』までお願いします」
「承知致しました」
男性ドライバーは返事をすると、すぐにタクシーは走り出した。
「あの、上条さんは運転免許を持っているんですか?」
彩花が不意に尋ねて来た。
「ええ、持っていますよ」
「そうなんですか……いいですね。私もお金に余裕があれば免許を取りたいのですけど…うちの会社って薄給なんですよ。でも贅沢言えないですけどね。この不景気の中で高卒の私を事務員として雇ってくれているのですから」
「でも中にはフリーターで終わってしまう人もいますから…ちゃんと正社員として働けているのは良い事ですよ?福利厚生もあるでしょうし」
そうだ、彩花。
お前は頑張り屋だよ。立派だと思う。
「ええ。言われて見れば確かにそうですね。頑張ってお金を貯めて、いずれは免許を取って駐車場付きのマンションで暮らすのが私のささやかな夢なんです」
笑みを浮かべながら自分の夢を語る彩花に俺はふと思った。
彩花には結婚願望は無いのだろか……?
よし、さりげなく尋ねてみることにしよう。
「南さんは将来結婚は考えていないのですか?」
「え?け、結婚ですか?」
途端に真っ赤になる彩花。
「ええ、そうです。先ほどの話だと、南さんは独身主義なのかと思ってしまいまして」
「い、いえ。そんなことは無いです。誰か良い人がいたら結婚したいなとは思いますけど……生憎そのような対象の相手が全くいないので」
「全くいない……のですか?会社とかにもですか?」
その言葉を念押ししてみた。
「え?ええ…そうですけど…?大体男性社員は全員既婚者ですし、年も大分離れていますから」
今の言い方だと、きっと彩花は既婚者である椎名には全く興味が無いととらえて大丈夫だろう。
その気持ちを知ることが出来ただけでも良かった……。
「あの、上条さんには誰かお付き合いしている女性とかいるのですか?」
1人、心の中で喜んでいると彩花が尋ねて来た。
「え?俺ですか?勿論俺もそんな女性なんかいませんよ。でも気になる女性はいますけどね」
「え?ほ、本当ですか?!」
彩花が目を見開いて尋ねて来た。
その反応を見て、俺は確信した。
間違いない。
彩花は俺のことを確実に意識してくれている。このまま少しずつ2人の距離を詰めていけば……。
こうして俺と彩花は場所がタクシーの中であるにも関わらず、『 児童養護施設こども園』に到着するまでの間、恋愛の話で盛り上がった。
そして、到着する頃には2人ともすっかり砕けた話し方へと変わっていた――。
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