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第2章 68 お茶の誘い
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「え?俺と……一緒にですか?」
「はい。もし、ご迷惑でなければ……ですが……」
照れたようにはにかんだ笑みを見せる彩花を見ていると、どうしようもない愛しさが募り、思わず抱きしめたくなってしまう。
でも駄目だ。
そんなことをすれば、折角ここまでこぎつけて来た彩花との信頼が一気に崩れてしまう。
ここは焦らず、慎重にいかなければ……。
「本当ですか?誘ってもらえて嬉しいです」
笑みを浮かべながら彩花を見つめた。
「それで?何処で頂きましょうか?う~ん……俺の部屋じゃまずいでしょうし……」
本当はこの部屋で一緒にコーヒーとケーキを食べてもいいくらいだった。
けれど、殆ど面識も無い1人暮らしの男の部屋に上がるなんて生真面目な彩花には抵抗があるに決まっている。
第一、そんな事を口にしようものなら……間違いなく警戒されてしまうだろう。
すると彩花から提案された。
「あの、それでは近くの公園はいかがですかこのアパートの近くに公園があるんです。そこで頂きませんか?確か自販機もあるのでコーヒー位なら買えますから」
「いいですね。それじゃすぐに準備してくるので外で待っていてもらえますか?」
「はい、ではマンション前で待っています」
彩花はそれだけ言うと、マンション出口へ向って行く。その後姿を見届けると、扉を締めてすぐに出かける準備を始めた。
「日曜日に俺を誘ってくれるなんて……きっと彩花は恋人がいないに決まっているな……」
ウキウキした気持ちでジャケットをはおり……すぐに冷静になった。
「待てよ……?もし彩花の恋人が椎名なら奴は妻子持ちだ。ということは家族がいるから当然土日は会えるはず無いよな……?」
たちまち俺の心に不安がよぎる。
だが、今の俺には彩花に恋人がいるかどうかなんて確認出来る立場にはない。
「彩花……」
ポツリと愛しい彼女の名をつぶやき、ジャケットに財布とスマホを突っ込むと部屋の扉を開けた――。
マンションを出ると、建物前で彩花は道路の方を向いて立っていた。
彼女はスプリングコートにジーンズ、カジュアルシューズ姿をしていた。
「すみません、お待たせしました」
背後から声を掛けると彩花が振り向き、笑顔を見せた。
「いいえ、では行きましょうか?」
「ええ」
そして俺と彩花は並んで公園に向って歩き始めた。
「俺は大学を卒業して3年目で、今は大学教授の助手の仕事をしているんですよ」
相手の警戒心を解くには、まず自分の話をするべきだろう。
そう思った俺はすぐに彩花に自分の話を始めた。
「大学を卒業して3年…ということは今25歳ですか?」
彩花が小首を傾げながら尋ねてきた。その行動一つとっても可愛らしく、思わず自分の胸が高鳴った。
「ええ、そうです。25歳ですよ」
「それは奇遇ですね。私も25歳です。上条さんと同じ年齢ですね」
上条……出来れば名前で呼んでもらいたい。漢字こそ偽名だけれども、名前は拓哉と名乗っているのだから。
「あの、昨夜助けた少年…名前覚えていますよね?」
「ええ、勿論です。卓也くん…たっくんですよね?」
「そうです。俺も拓哉って名前なんですよ。漢字は違いますけどね」
「そうだったんですか?……そう言えばそんな話していたような気がします」
「俺、これから卓也と友達になろうかと思っているんですよ。同じ名前だから他人のような気がしなくて」
我なが白々しい台詞を言っていると思いつつ、彩花に語った。
「そうなんですか?それでは私もその仲間にいれてもらえますか?私も…たっくんとお友達になりたくて」
彩花は頬を染めながら俺を見上げた――。
「はい。もし、ご迷惑でなければ……ですが……」
照れたようにはにかんだ笑みを見せる彩花を見ていると、どうしようもない愛しさが募り、思わず抱きしめたくなってしまう。
でも駄目だ。
そんなことをすれば、折角ここまでこぎつけて来た彩花との信頼が一気に崩れてしまう。
ここは焦らず、慎重にいかなければ……。
「本当ですか?誘ってもらえて嬉しいです」
笑みを浮かべながら彩花を見つめた。
「それで?何処で頂きましょうか?う~ん……俺の部屋じゃまずいでしょうし……」
本当はこの部屋で一緒にコーヒーとケーキを食べてもいいくらいだった。
けれど、殆ど面識も無い1人暮らしの男の部屋に上がるなんて生真面目な彩花には抵抗があるに決まっている。
第一、そんな事を口にしようものなら……間違いなく警戒されてしまうだろう。
すると彩花から提案された。
「あの、それでは近くの公園はいかがですかこのアパートの近くに公園があるんです。そこで頂きませんか?確か自販機もあるのでコーヒー位なら買えますから」
「いいですね。それじゃすぐに準備してくるので外で待っていてもらえますか?」
「はい、ではマンション前で待っています」
彩花はそれだけ言うと、マンション出口へ向って行く。その後姿を見届けると、扉を締めてすぐに出かける準備を始めた。
「日曜日に俺を誘ってくれるなんて……きっと彩花は恋人がいないに決まっているな……」
ウキウキした気持ちでジャケットをはおり……すぐに冷静になった。
「待てよ……?もし彩花の恋人が椎名なら奴は妻子持ちだ。ということは家族がいるから当然土日は会えるはず無いよな……?」
たちまち俺の心に不安がよぎる。
だが、今の俺には彩花に恋人がいるかどうかなんて確認出来る立場にはない。
「彩花……」
ポツリと愛しい彼女の名をつぶやき、ジャケットに財布とスマホを突っ込むと部屋の扉を開けた――。
マンションを出ると、建物前で彩花は道路の方を向いて立っていた。
彼女はスプリングコートにジーンズ、カジュアルシューズ姿をしていた。
「すみません、お待たせしました」
背後から声を掛けると彩花が振り向き、笑顔を見せた。
「いいえ、では行きましょうか?」
「ええ」
そして俺と彩花は並んで公園に向って歩き始めた。
「俺は大学を卒業して3年目で、今は大学教授の助手の仕事をしているんですよ」
相手の警戒心を解くには、まず自分の話をするべきだろう。
そう思った俺はすぐに彩花に自分の話を始めた。
「大学を卒業して3年…ということは今25歳ですか?」
彩花が小首を傾げながら尋ねてきた。その行動一つとっても可愛らしく、思わず自分の胸が高鳴った。
「ええ、そうです。25歳ですよ」
「それは奇遇ですね。私も25歳です。上条さんと同じ年齢ですね」
上条……出来れば名前で呼んでもらいたい。漢字こそ偽名だけれども、名前は拓哉と名乗っているのだから。
「あの、昨夜助けた少年…名前覚えていますよね?」
「ええ、勿論です。卓也くん…たっくんですよね?」
「そうです。俺も拓哉って名前なんですよ。漢字は違いますけどね」
「そうだったんですか?……そう言えばそんな話していたような気がします」
「俺、これから卓也と友達になろうかと思っているんですよ。同じ名前だから他人のような気がしなくて」
我なが白々しい台詞を言っていると思いつつ、彩花に語った。
「そうなんですか?それでは私もその仲間にいれてもらえますか?私も…たっくんとお友達になりたくて」
彩花は頬を染めながら俺を見上げた――。
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