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第2章 49 運命の分岐点
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研究室に戻った俺と教授は途中の自販機で購入した缶コーヒーを前に話し合いを始めた。
「どれ、上野。まずは『磁場発生装置』の充電をしておこう」
「はい」
教授に言われて腕にはめていた『磁場発生装置』を外すと机の上に置いた。
「どれどれ…」
教授は机の上に置いた『磁場発生装置』を手に取ると、机の上に乱雑に置かれているケーブルから充電器を探し出してセットした。
「しかし、教授…よくもこんなゴチャゴチャなケーブルから目的の物を探せますね…と言うか、少しは片づけましょうよ?いくら何でもだらしなさすぎます」
コーヒーを飲みながら俺はつい教授に文句を言ってしまった。
「何、大丈夫だ上野」
「何が大丈夫なんですか?」
「今にお前もこうなるから大丈夫ってことだ」
「なりませんよ。俺は…絶対に教授みたいにだらしなくは」
「いや、絶対なる。何なら俺は自分の貯金を掛けてもいいぞ?」
教授はとんでもないことを言い始めた。
「よして下さいよ!そんなくだらない事の為に自分の大事な貯金を掛けるなんて馬鹿馬鹿しい」
「冗談だ。気にするな。さて…」
充電されている磁場発生装置に教授は別のケーブルを差し込むとPCに繋いだ。
教授は次にキーボードで何かを打ち込むと、青白く光り輝く画面に何やら幾何学的な光り輝く線が右から左へと枝分かれして伸びている画像が映し出された。
それはまるであみだくじをデジタル化した画像のようにも見える。
「え?ちょ、ちょっと何ですか?その裏技的なものは!」
何げなく画面を眺めていた俺は突然見たことも無い映像が映し出されて仰天した。
「ん?ああ、これはな…今までお前が過去にさかのぼって辿って来た道筋をデータ化したものだ。ほら、途中から枝分かれしているのはお前が違う行動をたどった過去のラインだ」
「なるほど…」
教授の背後からデータを眺めながらうなずいた。
「だが見て見ろ。今までのお前は大した行動を取っていない…。だから枝分かれだってそんなにしていないだろう?本来であれば平行世界なんて無数にあるのに。それこそ網の目のように張り巡らされた運命の分岐点があってもいいのに…僅かこれだけだ」
「…」
俺は何とも言えず黙ってしまった。
「従って、わずかしかない運命の分岐点は…最終的に一つの終息地点へと向かっている…」
教授は画面をスクロールさせると、青白く光る点がある同じ時点で終わっている。
「まさか…この意味は…?」
震えながら教授に尋ねた。
「終息地点とは…文字通り、全ての終わり。15年前の6月9日…南彩花の死だ…」
「!」
「色々考えたんだが…お前の過去でとる行動は少なすぎる。だからじゃないか?まずは南彩花にとって信頼できる相手にならなければ…彼女を救えないんじゃないのか?」
「そ、そんな…」
教授の言葉に息を呑んだ―。
「どれ、上野。まずは『磁場発生装置』の充電をしておこう」
「はい」
教授に言われて腕にはめていた『磁場発生装置』を外すと机の上に置いた。
「どれどれ…」
教授は机の上に置いた『磁場発生装置』を手に取ると、机の上に乱雑に置かれているケーブルから充電器を探し出してセットした。
「しかし、教授…よくもこんなゴチャゴチャなケーブルから目的の物を探せますね…と言うか、少しは片づけましょうよ?いくら何でもだらしなさすぎます」
コーヒーを飲みながら俺はつい教授に文句を言ってしまった。
「何、大丈夫だ上野」
「何が大丈夫なんですか?」
「今にお前もこうなるから大丈夫ってことだ」
「なりませんよ。俺は…絶対に教授みたいにだらしなくは」
「いや、絶対なる。何なら俺は自分の貯金を掛けてもいいぞ?」
教授はとんでもないことを言い始めた。
「よして下さいよ!そんなくだらない事の為に自分の大事な貯金を掛けるなんて馬鹿馬鹿しい」
「冗談だ。気にするな。さて…」
充電されている磁場発生装置に教授は別のケーブルを差し込むとPCに繋いだ。
教授は次にキーボードで何かを打ち込むと、青白く光り輝く画面に何やら幾何学的な光り輝く線が右から左へと枝分かれして伸びている画像が映し出された。
それはまるであみだくじをデジタル化した画像のようにも見える。
「え?ちょ、ちょっと何ですか?その裏技的なものは!」
何げなく画面を眺めていた俺は突然見たことも無い映像が映し出されて仰天した。
「ん?ああ、これはな…今までお前が過去にさかのぼって辿って来た道筋をデータ化したものだ。ほら、途中から枝分かれしているのはお前が違う行動をたどった過去のラインだ」
「なるほど…」
教授の背後からデータを眺めながらうなずいた。
「だが見て見ろ。今までのお前は大した行動を取っていない…。だから枝分かれだってそんなにしていないだろう?本来であれば平行世界なんて無数にあるのに。それこそ網の目のように張り巡らされた運命の分岐点があってもいいのに…僅かこれだけだ」
「…」
俺は何とも言えず黙ってしまった。
「従って、わずかしかない運命の分岐点は…最終的に一つの終息地点へと向かっている…」
教授は画面をスクロールさせると、青白く光る点がある同じ時点で終わっている。
「まさか…この意味は…?」
震えながら教授に尋ねた。
「終息地点とは…文字通り、全ての終わり。15年前の6月9日…南彩花の死だ…」
「!」
「色々考えたんだが…お前の過去でとる行動は少なすぎる。だからじゃないか?まずは南彩花にとって信頼できる相手にならなければ…彼女を救えないんじゃないのか?」
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教授の言葉に息を呑んだ―。
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