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第2章 41 教授の考え
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彩花が逃げるように出勤してしまったことが少なからずショックだった。
「まずかったな…調子に乗りすぎてしまった…」
俺には余り時間が残されていない。
その焦りが、つい距離を詰めそうになってしまったんだ。
「仕方ない…。明日は彩花の出勤時間に合わせて出るのはやめよう。そして、一度現代に戻ってみるかな…」
決めた。朝食を食べたら一度現代に戻り、教授と相談してみよう。
長くこの時代にいるよりも数日後にこの世界に戻ってきたほうが得策だ。
「よし、それじゃマンションに戻るか」
俺はマンションへ足を向けた―。
****
10時―
俺は時巡り神社へとやってきた。
「今回は短い滞在だったけど…卓也は養護施設に預けたし、彩花は椎名と付き合っているような雰囲気には見えなかった。大丈夫…きっとうまくいくはずだ」
磁場発生装置を元いた時代に設定すると、早速画面をタップした。
途端に霧が辺りに満ちてくる。
「よし、まずは現代に戻って…彩花が無事か確認しよう」
そして鳥居をくぐり抜けた…。
****
戻って来た時間はこの世界を出た時間と同時刻だった。
教授はまだ戻っていないかも知れなけれど、とりあえず研究所へ戻ろう。
そして南彩花の未来がどうなったのか、確認してみるんだ。
俺は急ぎ足で駅を目指した―。
研究室に辿り着いたのは11時半を少し過ぎたところだった。
「教授…いらっしゃいますか…?」
教授の姿は無かった。おそらくは講義に出ているのだろう。
「よし、教授が戻ってくる前に南彩花がどうなったか調べてみるか」
早速机の上に山積みになった資料やら本をどかすと、無造作に椅子の上に置かれていたPCを机の上に乗せた。
「よし、まずは6月9日に事件が起きたか調べてみよう…」
緊張の面持ちで早速検索を開始した―。
検索を開始して30分が経過した。
いくら探しても、南彩花の事件は載っていなかった。それどころか6月9日は殺人事件など起こっていなかったのだ。
「良かった…。彩花は…彩花は生きているんだ…」
目頭に思わず涙が浮かびかけた時…。
ガチャッ!
研究室の扉がいきなり開かれた。
「うわぁっ!な、なんだっ?!上野っ!お前、いつの間にこっちに戻っていたんだ?!ん…?何だ?お前…ベソかいていたのか?」
「ちょ、ちょっとっ!やめて下さいっ!ベソかくなんて…!そんなんじゃありませんからっ!」
「だったら何故泣いてるんだ?ん?調べ物をしていたのか?」
「ええ、勿論15年前の6月9日の南彩花の件についてですよ」
「ひょっとして…又…失敗してしまったのか?お前、過去を変えてきたのだろう?」
教授の表情が険しくなる。
「ええ、そうです。でも、聞いて下さい教授。今回はネットで検索しても何も事件が出てこなかったんですよ?つまり…彩花は無事だったということです。きっと今も何処か元気に暮らしているはずです」
「上野…」
しかしそれでも教授の表情は浮かない。
「一体…何故そんなに浮かない顔をしているのですか?」
「上野…お前、ネットに載っていないからって…本当に上野彩花が無事だと思っているのか?」
「え…?一体どういうことですか?」
「つまり、俺が言いたいのは…ネットに載るのは何か特別出来事があったからだろう?ネットに載っていないなら南彩花が無事かどうは実際に過去に戻らなければ確認しようがないんじゃないか?」
「あ…」
その言葉に自分の顔が青ざめていくのを感じた。
「す、すぐに戻らないと…!」
立ち上がった俺を教授が止めた。
「待てっ!上野!一体いつの時代に戻るつもりだっ?!」
「あ…」
「いいか?もし戻るなら…6月10日に戻ってみるんだ。分かったな?」
「は、はい…」
こうして俺は初めて15年前の6月10日に戻ることになった―。
「まずかったな…調子に乗りすぎてしまった…」
俺には余り時間が残されていない。
その焦りが、つい距離を詰めそうになってしまったんだ。
「仕方ない…。明日は彩花の出勤時間に合わせて出るのはやめよう。そして、一度現代に戻ってみるかな…」
決めた。朝食を食べたら一度現代に戻り、教授と相談してみよう。
長くこの時代にいるよりも数日後にこの世界に戻ってきたほうが得策だ。
「よし、それじゃマンションに戻るか」
俺はマンションへ足を向けた―。
****
10時―
俺は時巡り神社へとやってきた。
「今回は短い滞在だったけど…卓也は養護施設に預けたし、彩花は椎名と付き合っているような雰囲気には見えなかった。大丈夫…きっとうまくいくはずだ」
磁場発生装置を元いた時代に設定すると、早速画面をタップした。
途端に霧が辺りに満ちてくる。
「よし、まずは現代に戻って…彩花が無事か確認しよう」
そして鳥居をくぐり抜けた…。
****
戻って来た時間はこの世界を出た時間と同時刻だった。
教授はまだ戻っていないかも知れなけれど、とりあえず研究所へ戻ろう。
そして南彩花の未来がどうなったのか、確認してみるんだ。
俺は急ぎ足で駅を目指した―。
研究室に辿り着いたのは11時半を少し過ぎたところだった。
「教授…いらっしゃいますか…?」
教授の姿は無かった。おそらくは講義に出ているのだろう。
「よし、教授が戻ってくる前に南彩花がどうなったか調べてみるか」
早速机の上に山積みになった資料やら本をどかすと、無造作に椅子の上に置かれていたPCを机の上に乗せた。
「よし、まずは6月9日に事件が起きたか調べてみよう…」
緊張の面持ちで早速検索を開始した―。
検索を開始して30分が経過した。
いくら探しても、南彩花の事件は載っていなかった。それどころか6月9日は殺人事件など起こっていなかったのだ。
「良かった…。彩花は…彩花は生きているんだ…」
目頭に思わず涙が浮かびかけた時…。
ガチャッ!
研究室の扉がいきなり開かれた。
「うわぁっ!な、なんだっ?!上野っ!お前、いつの間にこっちに戻っていたんだ?!ん…?何だ?お前…ベソかいていたのか?」
「ちょ、ちょっとっ!やめて下さいっ!ベソかくなんて…!そんなんじゃありませんからっ!」
「だったら何故泣いてるんだ?ん?調べ物をしていたのか?」
「ええ、勿論15年前の6月9日の南彩花の件についてですよ」
「ひょっとして…又…失敗してしまったのか?お前、過去を変えてきたのだろう?」
教授の表情が険しくなる。
「ええ、そうです。でも、聞いて下さい教授。今回はネットで検索しても何も事件が出てこなかったんですよ?つまり…彩花は無事だったということです。きっと今も何処か元気に暮らしているはずです」
「上野…」
しかしそれでも教授の表情は浮かない。
「一体…何故そんなに浮かない顔をしているのですか?」
「上野…お前、ネットに載っていないからって…本当に上野彩花が無事だと思っているのか?」
「え…?一体どういうことですか?」
「つまり、俺が言いたいのは…ネットに載るのは何か特別出来事があったからだろう?ネットに載っていないなら南彩花が無事かどうは実際に過去に戻らなければ確認しようがないんじゃないか?」
「あ…」
その言葉に自分の顔が青ざめていくのを感じた。
「す、すぐに戻らないと…!」
立ち上がった俺を教授が止めた。
「待てっ!上野!一体いつの時代に戻るつもりだっ?!」
「あ…」
「いいか?もし戻るなら…6月10日に戻ってみるんだ。分かったな?」
「は、はい…」
こうして俺は初めて15年前の6月10日に戻ることになった―。
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