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第2章 35 初めての自己紹介
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「何か困ったことがあったら、土日はたいてい家にいるからいつでも大丈夫だし、それ以外は夜7時には部屋に帰っているから、相談に乗ってあげるよ?」
にこやかな笑みを浮かべて卓也に声を掛ける彩花。
俺はそんな彩花に思わず見惚れていると…。
「あの~…何でしょうか…?」
彩花が俺に視線を移した。
「え?何かって?」
「いえ、先程から…私を見ているので…」
「あ!す、すみません!そ、その…親切な人だなと思って。ひょっとして子供好きなんですか?」
慌てて誤魔化すために、咄嗟に質問した。
「ええ。子供は好きですよ。ところで…たっくん。その怪我、大丈夫?治療してあげようか?」
彩花は心配そうに卓也の顔を覗き込んできた。
そうだ、卓也。彩花に治療してもらえ!
そうすればもっと早く彩花と親しくなれるぞっ!
しかし俺の心の願いも虚しく、卓也は首を振った。
「ううん、これくらい平気だよ。大丈夫」
「そう…?ならいいけど…」
彩花は心配そうな顔で卓也を見ている。
「うん、本当に大丈夫だから」
卓也は笑顔で返事をする。
…全く何やってるんだ?俺。子供なんだから遠慮することは無いのに…。
「それじゃ、私行くね。又ね、たっくん」
彩花は笑顔で卓也に手を振る。
「うん、またね。お姉ちゃん」
「それでは失礼します」
彩花は俺に視線を向け、頭を下げると外階段を登っていこうとする。
えっ?!そんな…!行ってしまうのか?まだ俺の名前すら教えていないのにっ?!
「あっ!ちょっと待って!」
気づけば彩花を呼び止めていた。
「はい?何か?」
振り向く彩花に俺の思考が止まる。
「あ…」
しまった!何も考えず…呼び止めてしまった!
「あの…?」
彩花が訝しげな目で俺を見る。ま、まずい…!このままでは以前の二の舞いだ…!
その時、俺の目に彩花が手にしているレジ袋が目に止まった。
そうだ…!
「あの…実は俺、今日またこの近くに引っ越してきたんですけど、この町に戻って来たのは10年ぶり位なので、どこかお勧めのスーパーがあったら教えてもらえませんか?」
「え?スーパーですか?う~ん…そうですね…。あ、そう言えば冷凍食品だけが売っている、ちょっと変わったスーパーがあるんです。野菜もカット済みですぐ調理できるし…とにかく安くて便利です。駅前にあるのですぐに行けば分かりますよ」
「本当ですか?それは助かります。一人暮らしなので生鮮食品を買ってもすぐに駄目にしてしまうので」
さり気なく一人暮らしであることをアピールする。
「え?お兄ちゃんも今日引っ越してきたの?」
卓也が話に食いついてきた。よし!でかしたぞ!子供時代の俺っ!
「ああ、このアパートからすぐ側のワンルームマンションに越してきたんだ」
そしてチラリと彩花の様子を伺うも、反応は薄く、彼女は余り興味なさげに俺の話を聞いている。
…ひょっとして…まさか実は椎名と恋人同士に…?
「だから何かあったら俺にも相談してくれ」
…本当はこの台詞は彩花に言いたかった。
「うん、ありがとう」
卓也は頷いた。
「良かったわね、たっくん。このお兄さんも相談に乗ってくれるって」
お兄さん…。せめて名前を呼んでもらいたいものだ。
そこで俺はここで初めて自己紹介することにした。
「俺は上条拓也。これから宜しく、2人とも」
タイムトラベルで今回初めて俺は2人に偽の名前を告げることが出来た。
大丈夫、今度こそ彩花の命を救える。
俺は自信があった。
けれど、この先…俺は何度も絶望を味わい、何度も初めからやり直すことになるとは、このときの俺は思いもしていなかったのだ―。
にこやかな笑みを浮かべて卓也に声を掛ける彩花。
俺はそんな彩花に思わず見惚れていると…。
「あの~…何でしょうか…?」
彩花が俺に視線を移した。
「え?何かって?」
「いえ、先程から…私を見ているので…」
「あ!す、すみません!そ、その…親切な人だなと思って。ひょっとして子供好きなんですか?」
慌てて誤魔化すために、咄嗟に質問した。
「ええ。子供は好きですよ。ところで…たっくん。その怪我、大丈夫?治療してあげようか?」
彩花は心配そうに卓也の顔を覗き込んできた。
そうだ、卓也。彩花に治療してもらえ!
そうすればもっと早く彩花と親しくなれるぞっ!
しかし俺の心の願いも虚しく、卓也は首を振った。
「ううん、これくらい平気だよ。大丈夫」
「そう…?ならいいけど…」
彩花は心配そうな顔で卓也を見ている。
「うん、本当に大丈夫だから」
卓也は笑顔で返事をする。
…全く何やってるんだ?俺。子供なんだから遠慮することは無いのに…。
「それじゃ、私行くね。又ね、たっくん」
彩花は笑顔で卓也に手を振る。
「うん、またね。お姉ちゃん」
「それでは失礼します」
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えっ?!そんな…!行ってしまうのか?まだ俺の名前すら教えていないのにっ?!
「あっ!ちょっと待って!」
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「はい?何か?」
振り向く彩花に俺の思考が止まる。
「あ…」
しまった!何も考えず…呼び止めてしまった!
「あの…?」
彩花が訝しげな目で俺を見る。ま、まずい…!このままでは以前の二の舞いだ…!
その時、俺の目に彩花が手にしているレジ袋が目に止まった。
そうだ…!
「あの…実は俺、今日またこの近くに引っ越してきたんですけど、この町に戻って来たのは10年ぶり位なので、どこかお勧めのスーパーがあったら教えてもらえませんか?」
「え?スーパーですか?う~ん…そうですね…。あ、そう言えば冷凍食品だけが売っている、ちょっと変わったスーパーがあるんです。野菜もカット済みですぐ調理できるし…とにかく安くて便利です。駅前にあるのですぐに行けば分かりますよ」
「本当ですか?それは助かります。一人暮らしなので生鮮食品を買ってもすぐに駄目にしてしまうので」
さり気なく一人暮らしであることをアピールする。
「え?お兄ちゃんも今日引っ越してきたの?」
卓也が話に食いついてきた。よし!でかしたぞ!子供時代の俺っ!
「ああ、このアパートからすぐ側のワンルームマンションに越してきたんだ」
そしてチラリと彩花の様子を伺うも、反応は薄く、彼女は余り興味なさげに俺の話を聞いている。
…ひょっとして…まさか実は椎名と恋人同士に…?
「だから何かあったら俺にも相談してくれ」
…本当はこの台詞は彩花に言いたかった。
「うん、ありがとう」
卓也は頷いた。
「良かったわね、たっくん。このお兄さんも相談に乗ってくれるって」
お兄さん…。せめて名前を呼んでもらいたいものだ。
そこで俺はここで初めて自己紹介することにした。
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大丈夫、今度こそ彩花の命を救える。
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