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第2章 18 現れた意外な人物
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「懐かしいな…。このアパート…」
俺はアパートの前に立ち、2階を見上げた。
一番左端の部屋…そこには俺の初恋の女性だった彩花が住んでいる。そして、その隣には…まだ10歳だった俺と、あいつの2人で暮らしていた…。
下の階には一番右端に高齢男性が確か1人で住んでいた。
8世帯住むことが出来る安アパートだったけれども、ほとんどの部屋が空き部屋だったのだ。
何しろ古いアパートだし、建物の建て方の向きが悪かったのだろう。日当たりも良くなかったので彩花はよく笑いながら言っていた。
『こんなにカビ臭い部屋なら今にキノコでも生えてきそうだよね?』
と…。
恐らく給料もあまり貰えていなかったので、引っ越ししたくても出来なかったのだろう。
彩花は日々の生活が大変だったはずなのに…俺の世話を一生懸命焼いてくれた。
食事を作ってくれたり、文房具が足りなくて困っていた俺の為に鉛筆やノートを買ってくれたし、一度は上履きを買ってくれたこともあった。
本当に…優しい素敵な女性だった。
だから俺は彼女を…好きになったんだ…。
彩花と過ごした幸せだった子供時代の思い出が次から次へと蘇り、思わず目尻に涙が浮かびそうになった。
「駄目だな、こんな感傷的な気持ちを引きずっていたら…。こんな調子ではまた彩花にあったら感極まって俺は彼女に何をしでかすか分かったもんじゃないな」
次に彩花に会ったときには前回のような失態を繰り返すわけにはいかない。
おまけに今は感傷に浸っている場合ではない。
これから子供時代の俺に対面し…興味を引く話題で信頼させなければ…。
「まずは、どうやって近づくかだが…」
宅配業者を装って、あのアパートを訪ねてみるか…。
そこで俺は適当な商品を買うために近くのコンビニへ向かった―。
****
「こんなんでごまかせるかな…?」
キャップをかぶり、手に持つのは包装紙にくるまれたせんべいの箱。
俺の計画では、この商品をお届け品だと言って訪ねるのだ。
「よし、一か八か…行ってみるか!」
そして俺はせんべいの箱を持ってアパートに向かった―。
「ここだな…」
緊張のあまり、ゴクリと息を呑む。
今の時間は17時半。
恐らくあいつは仕事でアパートを留守にしているはずだ。
俺は覚悟を決めて、インターホンを押した。
ピンポーン
すると…。
少しの間の後、扉がガチャリと開かれ…部屋から現れた人物を見て俺は目を見開いた。
何と俺の目の前に立つのは、ここにいるはずのない…奴が目の前に立っていたからであった―。
俺はアパートの前に立ち、2階を見上げた。
一番左端の部屋…そこには俺の初恋の女性だった彩花が住んでいる。そして、その隣には…まだ10歳だった俺と、あいつの2人で暮らしていた…。
下の階には一番右端に高齢男性が確か1人で住んでいた。
8世帯住むことが出来る安アパートだったけれども、ほとんどの部屋が空き部屋だったのだ。
何しろ古いアパートだし、建物の建て方の向きが悪かったのだろう。日当たりも良くなかったので彩花はよく笑いながら言っていた。
『こんなにカビ臭い部屋なら今にキノコでも生えてきそうだよね?』
と…。
恐らく給料もあまり貰えていなかったので、引っ越ししたくても出来なかったのだろう。
彩花は日々の生活が大変だったはずなのに…俺の世話を一生懸命焼いてくれた。
食事を作ってくれたり、文房具が足りなくて困っていた俺の為に鉛筆やノートを買ってくれたし、一度は上履きを買ってくれたこともあった。
本当に…優しい素敵な女性だった。
だから俺は彼女を…好きになったんだ…。
彩花と過ごした幸せだった子供時代の思い出が次から次へと蘇り、思わず目尻に涙が浮かびそうになった。
「駄目だな、こんな感傷的な気持ちを引きずっていたら…。こんな調子ではまた彩花にあったら感極まって俺は彼女に何をしでかすか分かったもんじゃないな」
次に彩花に会ったときには前回のような失態を繰り返すわけにはいかない。
おまけに今は感傷に浸っている場合ではない。
これから子供時代の俺に対面し…興味を引く話題で信頼させなければ…。
「まずは、どうやって近づくかだが…」
宅配業者を装って、あのアパートを訪ねてみるか…。
そこで俺は適当な商品を買うために近くのコンビニへ向かった―。
****
「こんなんでごまかせるかな…?」
キャップをかぶり、手に持つのは包装紙にくるまれたせんべいの箱。
俺の計画では、この商品をお届け品だと言って訪ねるのだ。
「よし、一か八か…行ってみるか!」
そして俺はせんべいの箱を持ってアパートに向かった―。
「ここだな…」
緊張のあまり、ゴクリと息を呑む。
今の時間は17時半。
恐らくあいつは仕事でアパートを留守にしているはずだ。
俺は覚悟を決めて、インターホンを押した。
ピンポーン
すると…。
少しの間の後、扉がガチャリと開かれ…部屋から現れた人物を見て俺は目を見開いた。
何と俺の目の前に立つのは、ここにいるはずのない…奴が目の前に立っていたからであった―。
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