6月9日はきっと晴れるから

結城芙由奈@コミカライズ発売中

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第1章 57 恋人同士の時間

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 翌朝―

私と拓也さんは目覚めのコーヒを隣同士で一緒に飲んでいた。

「フフフ…」

夢にまで見た…目覚めのコーヒー。念願叶って思わず笑みが浮かんでしまう。

「どうしたんだ?」

そんな私を不思議そうに見る拓也さん。

「ううん、実は私ね…。ずっと夢だったんだ…」

「夢って?何が?」

「好きな人と一緒に朝を迎えた時に、こうして2人でコーヒーを飲むのが…」

自分で随分恥ずかしいことを言ってる気持ちになってしまい、思わず顔が赤くなる。

「彩花…」

拓也さんはポカンとした顔で私を見て…肩を抱き寄せてきた

「俺も夢みたいに幸せだよ。彩花と恋人同士になれたからな」

「拓也さん…」

そうして私達はキスをした―。


**


「今朝は俺が作るから、彩花は何もしないで座っていろよ?」

台所に立った拓也さんが私に言った。

「拓也さん…。料理出来るの?」

ベッドによりかかりながら尋ねた。

「当然だろう?任せとけって。今朝はパンでいいかな?冷凍庫にパンが入っているの見つけたんだ」

「うん。いいよ。楽しみにしてるね?」

「ああ、任せとけって」


そして拓也さんは鼻歌を歌いながらガス代に火をつけた―。


**


「はい、おまちどうさん」

拓也さんが出来上がった料理をテーブルに運んできた。お皿の上にはサラダにベーコンエッグ、そしてボイルソーセージ。そして別の皿にはチーズトーストが乗っている。

「ありがとう、美味しそうだね」

「だろう?それじゃ食べようか?」

「うん」

そして私達は向かい合わせで仲良く朝食を食べた―。



「美味しかった~。それじゃ片付けは私がするよ」

「いいから、彩花は座ってろって。片付けも俺がするから出かける準備しなよ」

「え…?でも…いいの?」

拓也さんを見上げる。

「ああ、俺が彩花の為にやってあげたいのさ」

私の為…。
その言葉に再び赤くなってしまう。

「ハハハ…。本当に彩花はすぐに赤くなって…可愛いな」

拓也さんは私の頭を撫でると言った。

「さ、準備してなよ」

「うん」

そして拓也さんは食器洗い、私は出かける準備を始めた―。


****


それから数時間後―

「あ~…素敵な映画だったな~…」

映画館を出ると、思わず言葉に出てしまった。
拓也さんと2人で観た恋愛映画はとても素晴らしかった。

「最後の方はちょっと泣いてたよな?」

手を繋いで歩いていた拓也さんがからかうように言う。

「や、やだ。観てたの?」

「うん、少しな。でも…俺も感動したよ。一緒に観た相手が彩花だったから尚更かな?」

拓也さんは私が欲しい言葉をくれる。

「あ、ありがとう…でも…最後は悲しい終わりだったね。折角恋人同士になれたのに…彼女が病気で死んでしまうなんて…」

「そうだな…でも、短い間だけでも恋人同士になれたんだから…悔いはなかったんじゃないかな…」

拓也さんは寂しげに言う。

「拓也さん…?」

すると繋いだ手に力が込められた。

「よし、次は本屋に行って図鑑を買うか?」

「そうだね」

そして私達は本屋さんへ向かった―。
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