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第1章 42 貴方に会いたい
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「お姉ちゃん、何処に行くの?」
隣の座席のたっくんが尋ねてきた。
「うん、これからね…市が運営している水族館と博物館に行こうと思ってるんだ」
「え?そんなのがあるの?」
たっくんが目をキラキラさせながら私を見た。
「うん、HPで調べたらね、とても良さそうな場所だったの。しかも同じ敷地内に水族館と博物館があるなんて素敵でしょう?大きな公園もあるみたいだし、コンビニやカフェもあるみたいだから遊びに行くにはもってこいだと思わない?」
「うん、楽しそうっ!」
そしてたっくんは嬉しそうに笑った―。
****
市営バスで約30分乗り継いで、私たちは市が運営する『プレジャーランド』に到着した。
今日は日曜日と言う事もあり、おおぜいの家族連れで賑わっていた。
この『プレジャーランド』は東京ドーム約3個分の広大な敷地内に水族館、博物館、公園にカフェやコンビニが併設されている施設で、しかも市が運営しているので格安で利用出来ることになっていた。
入り口で2人分の入場券を買っても大人が2000円で子供は1000円。プラネタリウムを観るには別途料金がかかるけれども、水族館や博物館の展示物が無料で観れるのだから、あまり予算を掛けられない私にとってはお出かけするのに絶好の場所だった。
「たっくん、最初にどこに行きたい?」
「僕…水族館に行きたいっ!いい?行っても?」
「うん、勿論!それじゃ行こう?」
「うん!」
左手を差し出すと、すぐにたっくんが手を繋いできた。たっくんの小さな手をキュッと握りしめると私は言った。
「しゅぱーつ」
そして私たちは手を繋いで水族館へ向かった―。
****
水族館で、たっくんは大きな水槽の中で群れを成して泳ぐイワシの大群に目を見張っていた。
「お姉ちゃん!群れが丸くなって泳いでいるよっ!すごいね~」
「ふふふ…あれは、『ベイト・ボール』っていうのよ。天敵から身を守るために固まって泳ぐんですって」
聞きかじったうんちく?をたっくんに説明する。
「へ~お姉ちゃんてすごいね~」
「よし、次、どんどん見に行こう?」
「うん!」
その後も私とたっくんは様々なコーナーを見て回った。優雅に泳ぐウミガメや真っ白な体が美しいマンタの水槽…。薄暗い室内に青く光る水槽の中の魚たちは本当に幻想的で美しかった。
水族館に来るのがお互い初めてだった私とたっくんは時間も忘れて、魚の泳ぐ様を眺めていた。
「…お兄ちゃんも一緒だったらもっとよかったね」
「たっくん…」
不意にたっくんが私の手を握りしめながら声を掛けてきた。
「きっと、拓也さんは色々忙しいんだよ。でもほら、たっくんの誕生日には絶対に会えるから」
「うん、そうだね」
そしてたっくんは再び水槽に目を移す。
拓也さん…。
私もずっとそのことを考えていた。
彼もそばにいればどんなにか…良かったのに。
拓也さん、貴方に…会いたい―。
隣の座席のたっくんが尋ねてきた。
「うん、これからね…市が運営している水族館と博物館に行こうと思ってるんだ」
「え?そんなのがあるの?」
たっくんが目をキラキラさせながら私を見た。
「うん、HPで調べたらね、とても良さそうな場所だったの。しかも同じ敷地内に水族館と博物館があるなんて素敵でしょう?大きな公園もあるみたいだし、コンビニやカフェもあるみたいだから遊びに行くにはもってこいだと思わない?」
「うん、楽しそうっ!」
そしてたっくんは嬉しそうに笑った―。
****
市営バスで約30分乗り継いで、私たちは市が運営する『プレジャーランド』に到着した。
今日は日曜日と言う事もあり、おおぜいの家族連れで賑わっていた。
この『プレジャーランド』は東京ドーム約3個分の広大な敷地内に水族館、博物館、公園にカフェやコンビニが併設されている施設で、しかも市が運営しているので格安で利用出来ることになっていた。
入り口で2人分の入場券を買っても大人が2000円で子供は1000円。プラネタリウムを観るには別途料金がかかるけれども、水族館や博物館の展示物が無料で観れるのだから、あまり予算を掛けられない私にとってはお出かけするのに絶好の場所だった。
「たっくん、最初にどこに行きたい?」
「僕…水族館に行きたいっ!いい?行っても?」
「うん、勿論!それじゃ行こう?」
「うん!」
左手を差し出すと、すぐにたっくんが手を繋いできた。たっくんの小さな手をキュッと握りしめると私は言った。
「しゅぱーつ」
そして私たちは手を繋いで水族館へ向かった―。
****
水族館で、たっくんは大きな水槽の中で群れを成して泳ぐイワシの大群に目を見張っていた。
「お姉ちゃん!群れが丸くなって泳いでいるよっ!すごいね~」
「ふふふ…あれは、『ベイト・ボール』っていうのよ。天敵から身を守るために固まって泳ぐんですって」
聞きかじったうんちく?をたっくんに説明する。
「へ~お姉ちゃんてすごいね~」
「よし、次、どんどん見に行こう?」
「うん!」
その後も私とたっくんは様々なコーナーを見て回った。優雅に泳ぐウミガメや真っ白な体が美しいマンタの水槽…。薄暗い室内に青く光る水槽の中の魚たちは本当に幻想的で美しかった。
水族館に来るのがお互い初めてだった私とたっくんは時間も忘れて、魚の泳ぐ様を眺めていた。
「…お兄ちゃんも一緒だったらもっとよかったね」
「たっくん…」
不意にたっくんが私の手を握りしめながら声を掛けてきた。
「きっと、拓也さんは色々忙しいんだよ。でもほら、たっくんの誕生日には絶対に会えるから」
「うん、そうだね」
そしてたっくんは再び水槽に目を移す。
拓也さん…。
私もずっとそのことを考えていた。
彼もそばにいればどんなにか…良かったのに。
拓也さん、貴方に…会いたい―。
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