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第1章 19 胸に響く言葉
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食事が終わり、たっくんと拓也さんは帰宅する為に玄関に立っていた。
「あの…本当に大丈夫なのですか…?」
拓也さんを上目遣いに見ながら尋ねた。
「ああ、大丈夫だって。俺に任せなよ」
拓也さんはたっくんの両肩に手を置くと笑みを浮かべた。
「けれど、もし万一…たっくんのお父さんが帰ってきてしまったら…?たっくんだけでなく、拓也さんだってただではすまないかもしれませんよ?」
「…」
たっくんは私の言葉に俯いている。
「だから今夜は絶対に帰って来ることは無いから大丈夫だって言ってるだろう?あの人は明日の昼までは戻って来ないよ」
妙に自信ありげに答える拓也さん。
「どうして今夜は帰って来ないと言い切れるのですか?」
「そんなのは決まっているよ。俺は興信所の人間だからね。彼の動きは逐一把握できてるんだ」
その言葉にある一つの考え浮かんだ。
「あ…もしかして、たっくんの父親に盗聴器でも仕掛けてるんですか?それとも靴の中にGPSとか?」
「え…?アハハハハ…ッ!」
突然拓也さんが笑い出した。その姿に私もたっくんも驚いた様子で彼を見た。
「な、何がそこまでおかしいのですか…?私は本気で2人の事心配しているのに…」
すると拓也さんは笑いながら言った。
「うん、知ってるよ。君がとても俺達の事心配してくれているって言うのは。だからこそ、尚更俺の事信じてくれないかな?」
「え…?」
するとたっくんが話しかけて来た。
「お姉ちゃん…」
「うん?何?」
「このお兄ちゃん…とてもいい人だと思うよ。だから僕はお兄ちゃんを信じるよ」
「たっくん…」
すると拓也さんが私に声を掛けて来た。
「彩花」
「な、何?」
まだその呼ばれ方に慣れない私は狼狽えながらも返事をした。
「実は俺…。内緒にしていたけど、少しだけ予知能力があるんだ」
「…え?」
突然真顔で何を言い出すかと思えば…予知能力?そんなおかしなことを言い出すなんて…。
すると私の顔の表情で何か感じたのか、拓也さんが私に言った。
「あ、彩花のその顔…俺の話信じていないだろう?」
「だって、いきなり予知能力があるだなんて言われて、はい、そうですか?って答えられるはず無いでしょう?」
「う~ん…そうだよな…。彩花は現実主義者だから不可思議な話は信じないタイプだもんな」
「え?何故知ってるの?」
拓也さんの言う通り、私は現実主義者でミステリーや不思議な話…これらは一切信じたことが無い。けど何故拓也さんがその事を知っているのだろう?
「俺はね、調査員だからある程度は相手と会話をすればどんな人間か容易に想像がつくのさ」
「え…そうなの…?」
何ともにわかには信じられない話だ。けれどもたっくんはその話を完全に信じているようだった。
「本当?それじゃ、僕は?僕はどんな人間なの?」
すると拓也さんはじっとたっくんを見ると言った。
「文章を書くのが好きだろう?特に日記とか…勉強も好きそうだし」
えっ?!ほ、本当に分ったの?
私は驚いて拓也さんを見た。一方、たっくんも喜んでいる。
「えっ?!すごいね!よく分ったね?」
「ああ、言っただろう。俺は何でも分るって」
そして拓也さんはじっとたっくんを見つめると言った。
「いいか?これからも毎日欠かさず日記をつけるんだぞ?事細かに…。そして大切に取っておくんだ。後で読み返すと、あの時自分が何を考え…どんな行動を取ったのかを振り返ることが出来る。そうすれば、もう二度と同じ過ちは繰り返す事は無いからな?」
その言葉は…何故か私の胸にも染み入った―。
「あの…本当に大丈夫なのですか…?」
拓也さんを上目遣いに見ながら尋ねた。
「ああ、大丈夫だって。俺に任せなよ」
拓也さんはたっくんの両肩に手を置くと笑みを浮かべた。
「けれど、もし万一…たっくんのお父さんが帰ってきてしまったら…?たっくんだけでなく、拓也さんだってただではすまないかもしれませんよ?」
「…」
たっくんは私の言葉に俯いている。
「だから今夜は絶対に帰って来ることは無いから大丈夫だって言ってるだろう?あの人は明日の昼までは戻って来ないよ」
妙に自信ありげに答える拓也さん。
「どうして今夜は帰って来ないと言い切れるのですか?」
「そんなのは決まっているよ。俺は興信所の人間だからね。彼の動きは逐一把握できてるんだ」
その言葉にある一つの考え浮かんだ。
「あ…もしかして、たっくんの父親に盗聴器でも仕掛けてるんですか?それとも靴の中にGPSとか?」
「え…?アハハハハ…ッ!」
突然拓也さんが笑い出した。その姿に私もたっくんも驚いた様子で彼を見た。
「な、何がそこまでおかしいのですか…?私は本気で2人の事心配しているのに…」
すると拓也さんは笑いながら言った。
「うん、知ってるよ。君がとても俺達の事心配してくれているって言うのは。だからこそ、尚更俺の事信じてくれないかな?」
「え…?」
するとたっくんが話しかけて来た。
「お姉ちゃん…」
「うん?何?」
「このお兄ちゃん…とてもいい人だと思うよ。だから僕はお兄ちゃんを信じるよ」
「たっくん…」
すると拓也さんが私に声を掛けて来た。
「彩花」
「な、何?」
まだその呼ばれ方に慣れない私は狼狽えながらも返事をした。
「実は俺…。内緒にしていたけど、少しだけ予知能力があるんだ」
「…え?」
突然真顔で何を言い出すかと思えば…予知能力?そんなおかしなことを言い出すなんて…。
すると私の顔の表情で何か感じたのか、拓也さんが私に言った。
「あ、彩花のその顔…俺の話信じていないだろう?」
「だって、いきなり予知能力があるだなんて言われて、はい、そうですか?って答えられるはず無いでしょう?」
「う~ん…そうだよな…。彩花は現実主義者だから不可思議な話は信じないタイプだもんな」
「え?何故知ってるの?」
拓也さんの言う通り、私は現実主義者でミステリーや不思議な話…これらは一切信じたことが無い。けど何故拓也さんがその事を知っているのだろう?
「俺はね、調査員だからある程度は相手と会話をすればどんな人間か容易に想像がつくのさ」
「え…そうなの…?」
何ともにわかには信じられない話だ。けれどもたっくんはその話を完全に信じているようだった。
「本当?それじゃ、僕は?僕はどんな人間なの?」
すると拓也さんはじっとたっくんを見ると言った。
「文章を書くのが好きだろう?特に日記とか…勉強も好きそうだし」
えっ?!ほ、本当に分ったの?
私は驚いて拓也さんを見た。一方、たっくんも喜んでいる。
「えっ?!すごいね!よく分ったね?」
「ああ、言っただろう。俺は何でも分るって」
そして拓也さんはじっとたっくんを見つめると言った。
「いいか?これからも毎日欠かさず日記をつけるんだぞ?事細かに…。そして大切に取っておくんだ。後で読み返すと、あの時自分が何を考え…どんな行動を取ったのかを振り返ることが出来る。そうすれば、もう二度と同じ過ちは繰り返す事は無いからな?」
その言葉は…何故か私の胸にも染み入った―。
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