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10-22 病室の私達

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 レナート様が運ばれたのは救急医療室の隣にある特別個室だった。

広い部屋に大きなベッド。
応接室にシャワールームまで完備していた。

レナート様は麻酔で眠らされた状態で看護婦さん達にベッドの上に寝かされた。
一方、意識を失っているフランシスカ様はルペルト様が抱き上げてソファに寝かせあげた。

「患者さんは今は麻酔で眠っていますが、後2時間ほどで麻酔が切れます。その時は痛みで苦しむと思います。その際はまた処置しますので、2時間以内にはお帰り下さい」

私とルペルト様に担当看護婦さんが声を掛けてきた。

「はい、分かりました」
「ありがとうございます」

私とルペルト様は交互に挨拶をすると、看護婦さんは部屋を出ていった。

パタン…

扉が閉じられると、ベッドの上に青ざめた顔で横たわるレナート様にそっと近寄った。

「レナート様…」

左目を包帯でぐるぐる巻にされたレナート様はピクリとも動かずに眠っている。

「レナート様は…相手が刃物をを持っていても…フランシスカ様を助ける為に1人で助けようとしたのですね。…それ程フランシスカ様のことを…大切に思っていたということですね…?」

私は眠っているレナート様に語りかけた。

「ロザリー…」

私のつぶやきが聞こえたのか、背後からルペルト様が声を掛けてきたその時―。


ガチャッ!

扉が開けられ、息を切らせたイアソン王子が病室に入ってきた。


「イアソン王子」
「王子」

私とルペルト様は同時に声を上げた。

「レナートの家に電報を打ってきた。それでレナートの様子は?」

「麻酔で後2時間は目が覚めないそうですが、もし覚めた場合は痛み止めの処置をするそうなので、2時間以内には帰るように言われました」

ルペルト様が答えた。

「そうか…。ところでフランシスカの様子はどうだ?」

「フランシスカ様はまだ気を失ったままです…」

私は項垂れた。

「そうか…余程レナートのことがショックだったんだな…」

イアソン王子はレナート様のベッドに近づくと、顔を覗き込んだ。

「…ところでこれからどうしますか?」

ルペルト様がイアソン王子に声を掛けた。

「…俺たちは身内でも何でもないからな…長居をするわけにはいかないだろう。…帰るしかないな…」

イアソン王子は腕組みをした。

「フランシスカ様はどうしますか?まだ意識が戻りませんけど…?」

私はフランシスカ様のことが気がかりだった。

「…フランシスカはレナートの婚約者だからな。…このまま病室に置いておいても大丈夫だろう」

フランシスカ様はレナート様の婚約者…。

「確かに…そうですよね」

フランシスカ様の気持ちはどうあれ、まだ2人は婚約中なのだから。


「よし、それじゃ…俺たちは帰ろう」

「「はい」」

イアソン王子の言葉に私とルペルト様は返事をした―。

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