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9-19 同乗

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「随分重そうな荷物だね?僕が持ってあげるよ」

「え…でも…」

「大丈夫だって」

ルペルト様は私の手から紙袋を取り上げると、軽々と持った。

「それで?これから何処へ行くつもりだったんだい?」

笑顔で尋ねてくる。

「はい、ホテルに戻る為に辻馬車乗り場へ行こうと思っていました」

「え?ホテルに?辻馬車で?それなら僕が乗せてあげるよ。実は買い物があったから馬車で来ていたんだよ。ほら、あの馬車だよ」

ルペルト様の視線の先には街路樹の下に寄せるように1台の馬車が停まっている。

「でも…いいんですか?」

「勿論だよ。あの馬車には僕以外誰も乗っていないしね。さぁ、おいでよ」

「ありがとうございます」

それではお言葉に甘えることにしよう…。
私はルペルト様の後をついていった―。



****

「実は、明日帰国するからお土産を色々買いに来ていたんだ」

ルペルト様の傍らには箱に入った荷物が積まれている。

「偶然ですね…。私も明日、帰国するんです」

「そうだったのか。でもロザリーも僕も学生だからね。じきに新学期が始まるものね」

「はい、そうです」

「それで?ロザリーは何処の学校に通っているのかな?」

「セントラルシティにある『リーガル学園』です」

「『リーガル学園』か…。名門だね。貴族色が強い学園だけど…君はひょっとして…」

「…はい、平民の学生…です」

俯きながら返事をする。

「そうか、あの学園の理事長は上下関係に厳しいらしいから…大変だろうね」

妙にルペルト様は詳しい。

「ええ、そうですね。でも一流学園に通えているのですから…それだけでもありがた地と思っています」

「…偉いね、ロザリーは」

「そう言えば、改めてお礼を言わせて下さい。頂いたスケッチブック…大切に学園に持って帰りますから。私の宝物にしたいと思います」

「宝物…?そこまで大げさに思わなくてもいいよ。…だけど、ありがとう」

優しい瞳でじっと私を見つめるルペルト様に思わず心臓が高鳴る。

その時、馬車が止まった。
ホテルに到着したのだ。

「どうやら、到着したようだね」

「はい」

御者の男性が馬車の扉を開けた。

「到着致しました」

「彼女の荷物をホテルまで運んでくるから、ここで待っていてくれるかな?」

ルペルト様が御者の男性に声を掛ける。

「かしこまりました」

「え?そんな…1人で大丈夫ですよ?」

慌てて言うも、ルペルト様は笑って私を見る。

「遠慮なんかしなくていいよ」

私の荷物を抱えたルペルト様は馬車から降りると、私に言った。

「さ、行こう」

と―。
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