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4−1 2人の距離は遠く…
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平民学生達の待ち望んでいた日がやってきた―。
授業終了のチャイムと共に、学生達は大喜びで帰り支度を始める。
「うふふ…嬉しいわ。今週は3日間実家に帰れるのですもの」
アニータは嬉しそうに帰り支度をしながら私に話しかけてきた。
「そう、良かったわね。実家でおもいきり羽根を伸ばしてきてね」
すると途端にアニータの顔が曇る。
「あ…ごめんなさい、ロザリー」
「何を謝るの?」
不思議に思って尋ねると、アニータが申し訳なさげに言う。
「だって…ロザリーは帰省せずに1人で寮に残るのに、私一人浮かれてしまったわ。貴女の気持ちを考えもせずに」
「何言ってるの?そんな事少しも考えること無いのに。私の事は気にしないで。これでも1人で寮に残っても色々楽しみがあるのだから」
「楽しみ?どんな?」
「そうね…週末は基本、門限も就寝時間の規則も無いから自由気ままに過ごせるのよ。その日は遅く帰ってもいいし、寝る時間も何も気にしなくて良いから楽しいわよ?」
心にも無いことを言った。本当は誰もいない寮に1人残るのはとても寂しいし、夜はしんと静まり返った寮に1人で一晩中過ごすのは怖い。でもそんな事は決して口に出すことは出来ない。
「そう…なの?」
「ええ、そうよ。ほら、急ぐんでしょう?私の事はいいから、早く寮に戻ったら?」
「ええ、それじゃお先にごめんね!」
そしてアニータは元気よく教室を出て行った。
「…ふぅ…」
小さくため息をつくと、私もノロノロと帰り支度を始めた―。
気づけば教室には生徒の姿は1人もいなかった。皆楽しみにしていた週末がやってきたのでさっさと帰って行ったのだ。
私も帰ろう…。
カバンを持って立ち上がると、重い足取りで教室を出た―。
廊下にはまだ何人もの生徒たちが残っていた。しかし、廊下で話をしている生徒達は全員が貴族の生徒達ばかりで平民学生は残っていない。
私は邪魔にならないように廊下の端を歩きながら昇降口を目指した―。
「あれ、ロザリーじゃないか」
昇降口を出ようとすると、丁度職員室から出てきたレナート様に出会った。
「あ、レナート様。…そう言えば本日は日直でしたね」
「うん、そうなんだ。今日誌を先生の所においてきたところだよ。ロザリーはまだ教室に残っていたのかい?」
「はい、少し帰り支度に手間取ってしまって」
「そうなのか…そうだ、途中まで一緒に帰らないかい?」
レナート様が笑顔で語りかけてくる。
「いいえ…やめたほうがいいと思います。何処で誰に見られるか…」
「大丈夫だよ、もう校舎に残っている学生は殆どいないから」
「ですが、フランシスカ様に見られたら…」
するとレナート様は言った。
「それなら大丈夫だよ。フランシスカはロザリーの事は特別の目で見てるから。だから僕とロザリーが一緒にいてもフランシスカは何も気にしないよ」
「そう…なのですか?」
私はレナート様の話を複雑な気持ちで聞いていた。つまり、それは私がレナート様と一緒にいても…気にも止める必要の無い存在ということではないだろうか?
「よし、それじゃ一緒に帰ろう」
「はい」
そして私はレナート様と一緒に校舎を出た。
遠い…。
こうして一緒にいるのに。
レナート様の隣を歩いているのに、すごく私との距離が遠く感じる。
きっとこの先、私とレナート様はもっと距離が遠くなっていくに違いない。
その事実がとても悲しかった―
授業終了のチャイムと共に、学生達は大喜びで帰り支度を始める。
「うふふ…嬉しいわ。今週は3日間実家に帰れるのですもの」
アニータは嬉しそうに帰り支度をしながら私に話しかけてきた。
「そう、良かったわね。実家でおもいきり羽根を伸ばしてきてね」
すると途端にアニータの顔が曇る。
「あ…ごめんなさい、ロザリー」
「何を謝るの?」
不思議に思って尋ねると、アニータが申し訳なさげに言う。
「だって…ロザリーは帰省せずに1人で寮に残るのに、私一人浮かれてしまったわ。貴女の気持ちを考えもせずに」
「何言ってるの?そんな事少しも考えること無いのに。私の事は気にしないで。これでも1人で寮に残っても色々楽しみがあるのだから」
「楽しみ?どんな?」
「そうね…週末は基本、門限も就寝時間の規則も無いから自由気ままに過ごせるのよ。その日は遅く帰ってもいいし、寝る時間も何も気にしなくて良いから楽しいわよ?」
心にも無いことを言った。本当は誰もいない寮に1人残るのはとても寂しいし、夜はしんと静まり返った寮に1人で一晩中過ごすのは怖い。でもそんな事は決して口に出すことは出来ない。
「そう…なの?」
「ええ、そうよ。ほら、急ぐんでしょう?私の事はいいから、早く寮に戻ったら?」
「ええ、それじゃお先にごめんね!」
そしてアニータは元気よく教室を出て行った。
「…ふぅ…」
小さくため息をつくと、私もノロノロと帰り支度を始めた―。
気づけば教室には生徒の姿は1人もいなかった。皆楽しみにしていた週末がやってきたのでさっさと帰って行ったのだ。
私も帰ろう…。
カバンを持って立ち上がると、重い足取りで教室を出た―。
廊下にはまだ何人もの生徒たちが残っていた。しかし、廊下で話をしている生徒達は全員が貴族の生徒達ばかりで平民学生は残っていない。
私は邪魔にならないように廊下の端を歩きながら昇降口を目指した―。
「あれ、ロザリーじゃないか」
昇降口を出ようとすると、丁度職員室から出てきたレナート様に出会った。
「あ、レナート様。…そう言えば本日は日直でしたね」
「うん、そうなんだ。今日誌を先生の所においてきたところだよ。ロザリーはまだ教室に残っていたのかい?」
「はい、少し帰り支度に手間取ってしまって」
「そうなのか…そうだ、途中まで一緒に帰らないかい?」
レナート様が笑顔で語りかけてくる。
「いいえ…やめたほうがいいと思います。何処で誰に見られるか…」
「大丈夫だよ、もう校舎に残っている学生は殆どいないから」
「ですが、フランシスカ様に見られたら…」
するとレナート様は言った。
「それなら大丈夫だよ。フランシスカはロザリーの事は特別の目で見てるから。だから僕とロザリーが一緒にいてもフランシスカは何も気にしないよ」
「そう…なのですか?」
私はレナート様の話を複雑な気持ちで聞いていた。つまり、それは私がレナート様と一緒にいても…気にも止める必要の無い存在ということではないだろうか?
「よし、それじゃ一緒に帰ろう」
「はい」
そして私はレナート様と一緒に校舎を出た。
遠い…。
こうして一緒にいるのに。
レナート様の隣を歩いているのに、すごく私との距離が遠く感じる。
きっとこの先、私とレナート様はもっと距離が遠くなっていくに違いない。
その事実がとても悲しかった―
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