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第2話
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いくら女子学生たちから絶大な人気を誇る僕でも、1人になりたいときはある。
それが食事の時間だ。
出来れば僕は、食事の時間は料理を楽しむことに集中したい。女子学生たちに囲まれて話をしながら食事なんてすれば折角の食事を堪能することが出来ないからだ……。
――昼休み
ひと気の無い裏庭のベンチで食事をしていると、幼稚部の頃から知りあいのステファニー・ベルモンドが現れた。
ホワイト・ブロンドの長い髪に緑の大きな瞳の彼女は絶世の美女なのだが……少々性格に難があり、周囲の受けはあまり良くない。
「あら? 誰もいないと思ってここに来たのに……まさかレオニーがいたとは思わなかったわ。私も一緒にここで食事をしていいかしら?」
彼女は、女子学生の中でも珍しく僕に普通に接してくれる。いわゆる友人に近い存在で気遣う必要は全く無い相手だ。当然、同席を断るはずもない。
「あぁ別に構わないよ」
「ありがとう。助かるわ」
ステファニーは隣のベンチに座ると尋ねてきた。
「いつもレオニーを食堂で見かけないと思っていたけど、まさかこんなところで1人で食事をしているとは思わなかったわ。どうしてここで食べているの?」
「簡単なことだよ。僕は食事の時間を大切に思っているんだ。出来れば静かな環境で料理を楽しみたい。だからここで食事をしているんだよ」
そして家から持参したバゲットサンドを口にした。
「え? そうだったの? だったら私も邪魔かしら? 他に行ったほうがいい?」
「ステファニーなら別に構わないよ。君なら他の女子生徒たちのように騒ぐこともないし、男子生徒たちみたいに決闘を申し込んでくることもないからね」
その話にステファニーはピンときたのだろう。
「……そう言えば、最近すごく女子生徒たちから人気があるわね。やっぱり今年行われた剣術大会で優勝したからじゃないの?」
「うん……まぁ、確かにそれが原因かもしれないな」
「だからと言って、決闘なんてやりすぎよね? 女子生徒たちにとってレオニーは単なる憧れのような存在なのに。第一、あなたには婚約者がいるのにね」
「婚約者かぁ……」
そう言えば、最近互いに忙しくて中々会う時間が取れていない。やはり学校が違うせいだろう。
そして、ふと思い出した。
「そうだ。ステファニーも最近サイラスと婚約したじゃないか。2人は幼稚部から交際していたからな~。当時はすごく話題になったのを思い出すよ。 何しろステファニーは人付き合いが嫌いでクールビューティなんて呼ばれていたからね」
すると僕の言葉にステファニーの白い顔が赤くなる。
「ちょ、ちょっとやめてよ! あれは、ほんの冗談で付き合っていたのよ! だからすぐにサイラスのことを振ったもの!」
「でも結局婚約者になったじゃないか?」
「う……それはいくら交際を断っても、何度もサイラスが申し込んでくるから仕方なくよ」
ステファニーは照れ隠しの為か、自分の長い髪をクルクル人差し指に巻き付けている。
結局、何だかんだ言ってもステファニーはサイラスのことが好きなのは分かっている。
「そう言えば、婚約者をほっておいてここで食事をしても良かったのかい?」
「ええ、いいのよ。だってサイラスったら婚約した途端、私にべったするようになったのだもの。私は昼休みは1人で食事をして、その後は読書をするって決めているのよ。13年経ってもそれ変わらないわ。でも放課後は2人でデートする予定だけどね」
そしてステファニーはサンドイッチを口にした。
「デートか……」
考えてみれば、婚約者とデートらしいデートをしたことが無い。週末にでもこちらからデートに誘ってみようか……?
そんなことを考えながら、僕は再びバゲットサンドを口にした――
それが食事の時間だ。
出来れば僕は、食事の時間は料理を楽しむことに集中したい。女子学生たちに囲まれて話をしながら食事なんてすれば折角の食事を堪能することが出来ないからだ……。
――昼休み
ひと気の無い裏庭のベンチで食事をしていると、幼稚部の頃から知りあいのステファニー・ベルモンドが現れた。
ホワイト・ブロンドの長い髪に緑の大きな瞳の彼女は絶世の美女なのだが……少々性格に難があり、周囲の受けはあまり良くない。
「あら? 誰もいないと思ってここに来たのに……まさかレオニーがいたとは思わなかったわ。私も一緒にここで食事をしていいかしら?」
彼女は、女子学生の中でも珍しく僕に普通に接してくれる。いわゆる友人に近い存在で気遣う必要は全く無い相手だ。当然、同席を断るはずもない。
「あぁ別に構わないよ」
「ありがとう。助かるわ」
ステファニーは隣のベンチに座ると尋ねてきた。
「いつもレオニーを食堂で見かけないと思っていたけど、まさかこんなところで1人で食事をしているとは思わなかったわ。どうしてここで食べているの?」
「簡単なことだよ。僕は食事の時間を大切に思っているんだ。出来れば静かな環境で料理を楽しみたい。だからここで食事をしているんだよ」
そして家から持参したバゲットサンドを口にした。
「え? そうだったの? だったら私も邪魔かしら? 他に行ったほうがいい?」
「ステファニーなら別に構わないよ。君なら他の女子生徒たちのように騒ぐこともないし、男子生徒たちみたいに決闘を申し込んでくることもないからね」
その話にステファニーはピンときたのだろう。
「……そう言えば、最近すごく女子生徒たちから人気があるわね。やっぱり今年行われた剣術大会で優勝したからじゃないの?」
「うん……まぁ、確かにそれが原因かもしれないな」
「だからと言って、決闘なんてやりすぎよね? 女子生徒たちにとってレオニーは単なる憧れのような存在なのに。第一、あなたには婚約者がいるのにね」
「婚約者かぁ……」
そう言えば、最近互いに忙しくて中々会う時間が取れていない。やはり学校が違うせいだろう。
そして、ふと思い出した。
「そうだ。ステファニーも最近サイラスと婚約したじゃないか。2人は幼稚部から交際していたからな~。当時はすごく話題になったのを思い出すよ。 何しろステファニーは人付き合いが嫌いでクールビューティなんて呼ばれていたからね」
すると僕の言葉にステファニーの白い顔が赤くなる。
「ちょ、ちょっとやめてよ! あれは、ほんの冗談で付き合っていたのよ! だからすぐにサイラスのことを振ったもの!」
「でも結局婚約者になったじゃないか?」
「う……それはいくら交際を断っても、何度もサイラスが申し込んでくるから仕方なくよ」
ステファニーは照れ隠しの為か、自分の長い髪をクルクル人差し指に巻き付けている。
結局、何だかんだ言ってもステファニーはサイラスのことが好きなのは分かっている。
「そう言えば、婚約者をほっておいてここで食事をしても良かったのかい?」
「ええ、いいのよ。だってサイラスったら婚約した途端、私にべったするようになったのだもの。私は昼休みは1人で食事をして、その後は読書をするって決めているのよ。13年経ってもそれ変わらないわ。でも放課後は2人でデートする予定だけどね」
そしてステファニーはサンドイッチを口にした。
「デートか……」
考えてみれば、婚約者とデートらしいデートをしたことが無い。週末にでもこちらからデートに誘ってみようか……?
そんなことを考えながら、僕は再びバゲットサンドを口にした――
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