許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

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77 エピローグ あなたの事が好きだから

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「キャロル・・・。」

さすがにいくら鈍い私でもここまでくればキャロルの気持ちが分かってしまった。

「テア・・・私ね・・ずっとずっと・・貴女の事が好きだったの。親友としてじゃなくて・・貴女を愛していたの。だから・・テアの好意を独り占めしているヘンリーが憎くて・・・大好きなテアを苦しめるヘンリーがずっと・・・許せなかったのよ・・・。ごめんなさい・・。気持ち悪いわよね・・こんな私・・・。」

キャロルは涙目で私を見つめる。私の事を心から心配してくれて・・私を助けるためにここまでの事をしてくれた美しいキャロル・・・。私の自慢の親友で、そして大切な存在・・・。だから私は・・・。

「キャロル。私も・・貴女の事が大好きよ。」

そっとキャロルの手に自分の手を重ね・・・戸惑っているキャロルの頬に手を触れるとキスをした。

「!」

キャロルは驚いたように目を見開いけれども、次の瞬間私の首に腕を巻き付け、さらに強く唇を押し付けてきた。
キャロル・・・。
私は目を閉じた。

「ええええええっ?!う、嘘だよねっ?!テアッ!キャロルッ!」

抱き合ってキスする私たちの傍でカルロスがパニックになって大騒ぎする。
するとキャロルが唇を話すと言った。

「何よ、うるさいわね。私たちの邪魔をしないでくれる?!」

「テア・・・君は女性じゃなくて男性が好きなんだろう?」

カルロスが私に訴えてきた。だから私は自分の今の正直な気持ちを言った。

「私は・・・キャロルの事は・・性別を超えて好きよ?」

「本当っ?!テアッ!」

キャロルは再び唇を重ねてきた。そして私たちはカルロスの前で・・飽きるまで抱き合ってキスをした―。




****

あれから半年が経過した―。

「おーい、キャロル、テアーッ!」

2人で並んで教室へ向かって歩いていると、ニコルが後から追いかけてきた。

「あら、ニコル。おはよう。」

キャロルが笑顔で言う。

「おはよう、ニコル。」

するとニコルがキャロルに言った。

「あ、あのさ・・・キャロル。実は最近、大学の近くにビリヤードの店がオープンしたんだよ。放課後一緒に行かないかい?」

「え・・?でも・・・。」

キャロルが私をチラリと見た。

「あら、私の事は気にしないで2人で行ってきて?私はビリヤードの事は、まったく分からないから。」

笑顔でキャロルに言う。

「でも・・。」

「いいから、いいから。ほら、ニコル。キャロルをよろしくね。それじゃ私は先に教室へ行ってるから。」

そして私は2人に手を振ると、教室へ向かって歩きながら窓の外を眺めた。

 あれからヘンリーは大学を辞めた。理由は簡単。両親が警察にとらえられたせいで居心地が悪くなったからだ。そして・・私とキャロルの関係は微妙だ。
世間でいう・・いわば、友達以上、恋人未満?のような関係を続けていたが・・最近はその関係が変わりつつある。原因はニコルだ。何かのきっかけでニコルとキャロルの趣味が同じビリヤードだと言う事が分かり、急接近することになったのだ。ニコルは明らかにキャロルに気があることがはっきり分かるし、キャロルもまんざらでもない様子だけども、それでも私が2人に気を使って、その場を外れようとすると切ない目で見つめてくるし、誰もいない2人きりの時は、私たちはキスしあって恋人同士のように過ごすこともある。でも・・その関係もそろそろ終わるかもしれない。何故ならキャロルはニコルと過ごしているとき、とても女性らしくなるし、まんざらでもないような態度を見せている。
そして私には・・・。


「テアーッ!」

背後で私を呼ぶ声が聞こえた。振り向くとこちらに向かって走ってくるのはカルロスだった。

「おはよう、カルロス。」

「ああ・・おはよう、テア。それにしても・・酷いじゃないか。またキャロルと2人で大学へ来るなんて・・・。」

カルロスは不満げに言う。

「だって、週末はキャロルは私の家に泊まるんだもの・・、無理言わないでよ。」

私はカルロスをなだめるように言う。
実はあの事件の後・・カルロスもすぐにこの大学へ編入してきたのだ。一時は私をめぐってキャロルと激しく対立してきたこともあったけれど・・・キャロルがニコルと急接近してきた為、その関係も変わりつつある。

「だけどさ・・・もう少し僕との時間を作ってくれてもいいんじゃないかな?」

だから私は言った。

「なら・・放課後、一緒に帰らない?行ってみたい雑貨屋さんがあるんだけど・・。」

「本当かいっ?!よし、行こう!」

そしてカルロスは私の手を握ってきた。

カルロスと教室に向かいながら私は思った。

私とキャロルはこの先、どうなっていくのか・・まだ先の事は分からないけど、何があっても2人の友情は永遠に続くと私は信じている―。

キャロル・・・貴女の事が大好きだから―。


<終>

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