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53 目が覚めた私
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「うわっ!怖っ!何・・あれ・・・。執拗なくらいこっちを見ているわよ?あの男が・・・ヘンリーでテアの許嫁なの・・?」
ダイアナが気持ち悪そうに私に尋ねてきた。
「ええ・・そうなんだけど・・・。」
言いかけるとキャロルが言った。
「それはついこの間までの話よ。もう2人の許嫁の関係は終わったのだから。」
キャロルの言葉に私以外の3人が一斉に声を揃えて驚く。
「「「え?そうなのっ?!」」」
そして全員の視線が私に集中する。
「そうよね?テア?」
キャロルがじっと私か目を離さずに尋ねてくる。
「え、ええ・・・まだ決まったわけではないけれども・・・。」
私はたじろぎながら言う。
「あら?何故?もう決まったんじゃないの?」
ダイアナが尋ねてくる。
「あの・・実はまだヘンリーには何も話していないのよ。だから・・・。」
私の言葉に気の強いレオナが言った。
「そう・・・なら私がヘンリーの元へ行ってテアの代わりに言ってきてあげるわよ。もうテアはヘンリーとは手を切るって。」
「なら私も言いに行くわっ!ヘンリーには前から言いたいことがあったのよ!知ってた?あいつね・・・爵位のない平民の人たちを高校時代、使い走りさせてたいたのよ?」
「ええっ?!そ、その話・・・本当なの?!」
私は驚きのあまり目を見開いた。
「テア・・やっぱり何も知らなかったのね?」
フリーダがため息をつきながら言う。
「え、ええ・・・。」
知らなかった。びっくりだ。
「とにかく、ヘンリーはね・・・自分よりも立場の低い人間を見下していたから皆から嫌われていたのよ?だから友達なんか1人もいないし・・。」
フリーダの話しが本当だとすると・・・私も彼に見下されていた事になるのかもしれない。
そしてフリーダは立ち上り、ハンバーガーを寂しく一人で食べているヘンリーを堂々と指さすと言った。
「だから見なさい!テアが相手をしてあげないから・・・ああやって、ヘンリーはボッチで食事をするしかないのよっ!」
フリーダの声はあまりに大きく・・・周りの学生達全員に筒抜けとなってしまった。呆気にとられる周囲の学生達。そしてヘンリーは自分の事を言われていることにはっきり気づき、顔を青ざめさせていた。
「おぉ~・・・よくぞ、言ってくれたわ!さすがはテアの友達ね!」
キャロルは感心したようにパチパチ手を叩くとレオナも手を叩き、挙句の果てにヘンリーの事をほとんど知らないダイアナまでもがフリーダに拍手を送る。
一方のヘンリーは身体をブルブル震わせてこちらを睨みつけていたが・・・私以外の全員に睨み返され、ビクリと肩を跳ね上げさせた。
あ~・・この分だと・・またしてもヘンリーのしゃっくりが始まったかもしれない。
そしてフリーダの言葉を皮切りに、周囲でもひそひそとヘンリーについての噂話をし始めた。・・・運の悪いことに・・・この時周囲の学生たちは半分以上が1年生で、当然見知った顔が並んでいたのだ。
「やっぱりな・・あいつ友達いないんだな・・。」
「ほら、テアが沢山友人がいたから・・ヘンリーは自分の友達だと勘違いしていただけだろう?」
「馬鹿ね・・・とんだ勘違い男だわ。ほんと、取柄っていえば顔だけよね?」
など等・・・どれも聞いていてヘンリーの評判は最悪だった。
「・・・!」
とうとうヘンリーはその場にいるのが耐え難くなったのか、ガタンと椅子から立ち上り、食べかけのハンバーガーが乗ったトレーを持つと足早に立ち去ってしまった。
その時・・・私は見てしまった。ヘンリーの目に涙が浮かんでいたことを・・。
「キャロル・・・。」
私はキャロルを見た。
「ありがとう、キャロル。貴女のお陰で私、はっきり目が覚めたわ。ヘンリーは・・・救いようの無い人だったと言う事が分かったわ。」
「本当?良かったわ・・・テア。」
「後・・・ごめんなさい。私、てっきりキャロルはヘンリーに気があると思って・・・。」
すると、キャロルはポカンとした顔で私を見ていたが・・・。
「アハハハッ何言ってるの?そんなはずないでしょう?」
大きな声で笑ってくれた。良かった・・・気を悪くしないでくれて。
私は安堵で胸を撫で下ろしたが・・・話しはこれで終わらなかった―。
ダイアナが気持ち悪そうに私に尋ねてきた。
「ええ・・そうなんだけど・・・。」
言いかけるとキャロルが言った。
「それはついこの間までの話よ。もう2人の許嫁の関係は終わったのだから。」
キャロルの言葉に私以外の3人が一斉に声を揃えて驚く。
「「「え?そうなのっ?!」」」
そして全員の視線が私に集中する。
「そうよね?テア?」
キャロルがじっと私か目を離さずに尋ねてくる。
「え、ええ・・・まだ決まったわけではないけれども・・・。」
私はたじろぎながら言う。
「あら?何故?もう決まったんじゃないの?」
ダイアナが尋ねてくる。
「あの・・実はまだヘンリーには何も話していないのよ。だから・・・。」
私の言葉に気の強いレオナが言った。
「そう・・・なら私がヘンリーの元へ行ってテアの代わりに言ってきてあげるわよ。もうテアはヘンリーとは手を切るって。」
「なら私も言いに行くわっ!ヘンリーには前から言いたいことがあったのよ!知ってた?あいつね・・・爵位のない平民の人たちを高校時代、使い走りさせてたいたのよ?」
「ええっ?!そ、その話・・・本当なの?!」
私は驚きのあまり目を見開いた。
「テア・・やっぱり何も知らなかったのね?」
フリーダがため息をつきながら言う。
「え、ええ・・・。」
知らなかった。びっくりだ。
「とにかく、ヘンリーはね・・・自分よりも立場の低い人間を見下していたから皆から嫌われていたのよ?だから友達なんか1人もいないし・・。」
フリーダの話しが本当だとすると・・・私も彼に見下されていた事になるのかもしれない。
そしてフリーダは立ち上り、ハンバーガーを寂しく一人で食べているヘンリーを堂々と指さすと言った。
「だから見なさい!テアが相手をしてあげないから・・・ああやって、ヘンリーはボッチで食事をするしかないのよっ!」
フリーダの声はあまりに大きく・・・周りの学生達全員に筒抜けとなってしまった。呆気にとられる周囲の学生達。そしてヘンリーは自分の事を言われていることにはっきり気づき、顔を青ざめさせていた。
「おぉ~・・・よくぞ、言ってくれたわ!さすがはテアの友達ね!」
キャロルは感心したようにパチパチ手を叩くとレオナも手を叩き、挙句の果てにヘンリーの事をほとんど知らないダイアナまでもがフリーダに拍手を送る。
一方のヘンリーは身体をブルブル震わせてこちらを睨みつけていたが・・・私以外の全員に睨み返され、ビクリと肩を跳ね上げさせた。
あ~・・この分だと・・またしてもヘンリーのしゃっくりが始まったかもしれない。
そしてフリーダの言葉を皮切りに、周囲でもひそひそとヘンリーについての噂話をし始めた。・・・運の悪いことに・・・この時周囲の学生たちは半分以上が1年生で、当然見知った顔が並んでいたのだ。
「やっぱりな・・あいつ友達いないんだな・・。」
「ほら、テアが沢山友人がいたから・・ヘンリーは自分の友達だと勘違いしていただけだろう?」
「馬鹿ね・・・とんだ勘違い男だわ。ほんと、取柄っていえば顔だけよね?」
など等・・・どれも聞いていてヘンリーの評判は最悪だった。
「・・・!」
とうとうヘンリーはその場にいるのが耐え難くなったのか、ガタンと椅子から立ち上り、食べかけのハンバーガーが乗ったトレーを持つと足早に立ち去ってしまった。
その時・・・私は見てしまった。ヘンリーの目に涙が浮かんでいたことを・・。
「キャロル・・・。」
私はキャロルを見た。
「ありがとう、キャロル。貴女のお陰で私、はっきり目が覚めたわ。ヘンリーは・・・救いようの無い人だったと言う事が分かったわ。」
「本当?良かったわ・・・テア。」
「後・・・ごめんなさい。私、てっきりキャロルはヘンリーに気があると思って・・・。」
すると、キャロルはポカンとした顔で私を見ていたが・・・。
「アハハハッ何言ってるの?そんなはずないでしょう?」
大きな声で笑ってくれた。良かった・・・気を悪くしないでくれて。
私は安堵で胸を撫で下ろしたが・・・話しはこれで終わらなかった―。
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