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レベッカ一行の世界漫遊の旅 5 (母との再会 3)
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視界が真っ白に染まり、私は思わず眩しさのあまりに目を閉じた。
そしてゆっくりと目を開け……私は驚きのあまり固まってしまった。
「え……?こ、ここはどこ‥‥?」
さっきまで私は目の前にジャングル、背後には白い砂浜と言う場所で立っていたのに、今目の前に広がる光景はまるきり別物だった。
足元には美しい花々が咲き乱れた地平線が広がっている。
青く澄んだ空には虹がかかり、遠くの方には神殿らしきものが見えている。
「な、何‥‥この光景は‥‥?」
次の瞬間、私は大事なことに気付いた。
私以外、誰もこの場所にいないのだ。
私1人がこの場所に佇んでいる。ここにはミラージュもサミュエル王子もナージャさんやセネカさんの姿が無い。
そして私を追いかけて来たお父様たちやアレックス王子たちの姿も消えているのだ。
「一体ここは‥‥?」
思わずポツリと呟くと、背後で声が聞こえた。
「ここは『エデンの楽園』を模した疑似空間なのよ。あの無人島とは切り離された場所に存在しているの」
それはとても優し気な女性の声だった。
「え?!」
私は勢いよく振り向いた。
すると、金色に輝く長い髪に白いドレスを着た美しい女性が立っていて私をじっと見つめている。
ま、まさか……?
「お、お母様‥‥?」
声を震わせながら尋ねてみた。
「ええ、そうよ。レベッカ。私は貴女の母‥‥レイラよ」
「お母様……」
私の目に涙が浮かんだ。
今まで一度も涙なんか流したことが無かったのに、生まれて初めて私の目から涙が流れ落ちた。
「レベッカ」
お母様が私の名を呼ぶ。
「お母様ーっ!!」
次の瞬間、私は走り出していた。
そしてお母様の胸に飛び込むと、まるで子供の用に泣きじゃくった。
「お母様‥‥お母様‥‥会いたかった‥‥!」
するとお母様も私を強く抱きしめると涙を流した。
「私もよ、レベッカ。17年間‥‥一度も貴女のことを忘れたことは無かったわ。いつか必ず会える日が来ると信じて待っていて‥‥本当に良かったわ…」
その後、私とお母様は暫くの間互いの身体を抱きしめあって涙を流した――。
****
「お母様、ここは別の空間だと話していたけれど……他の人達はどうなったの?」
2人で神殿の階段に座ると、お母様に尋ねた。
「ええ、彼らは今もあの島にいるわ。ただ時を止めているけどね、何しろミラージュが超音波を使おうとしたから。流石にあの島でそれを使われたらただでは済まないと思ったからよ。ついでに貴女との感動の再会を邪魔されたくなかったからね?」
母は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「ええ、本当に助かりました。私、お父様たちだけではなく元・夫やその家族からも追われているみたいだったので」
「ええ、知っているわ。それにしても図々しい人達よね。皆レベッカの力を狙っているのよ。貴女がどれだけ凄い力を持っているか…失って初めてその重要性を知ったのだから」
お母様は少しだけ悔しそうな表情を浮かべた――。
そしてゆっくりと目を開け……私は驚きのあまり固まってしまった。
「え……?こ、ここはどこ‥‥?」
さっきまで私は目の前にジャングル、背後には白い砂浜と言う場所で立っていたのに、今目の前に広がる光景はまるきり別物だった。
足元には美しい花々が咲き乱れた地平線が広がっている。
青く澄んだ空には虹がかかり、遠くの方には神殿らしきものが見えている。
「な、何‥‥この光景は‥‥?」
次の瞬間、私は大事なことに気付いた。
私以外、誰もこの場所にいないのだ。
私1人がこの場所に佇んでいる。ここにはミラージュもサミュエル王子もナージャさんやセネカさんの姿が無い。
そして私を追いかけて来たお父様たちやアレックス王子たちの姿も消えているのだ。
「一体ここは‥‥?」
思わずポツリと呟くと、背後で声が聞こえた。
「ここは『エデンの楽園』を模した疑似空間なのよ。あの無人島とは切り離された場所に存在しているの」
それはとても優し気な女性の声だった。
「え?!」
私は勢いよく振り向いた。
すると、金色に輝く長い髪に白いドレスを着た美しい女性が立っていて私をじっと見つめている。
ま、まさか……?
「お、お母様‥‥?」
声を震わせながら尋ねてみた。
「ええ、そうよ。レベッカ。私は貴女の母‥‥レイラよ」
「お母様……」
私の目に涙が浮かんだ。
今まで一度も涙なんか流したことが無かったのに、生まれて初めて私の目から涙が流れ落ちた。
「レベッカ」
お母様が私の名を呼ぶ。
「お母様ーっ!!」
次の瞬間、私は走り出していた。
そしてお母様の胸に飛び込むと、まるで子供の用に泣きじゃくった。
「お母様‥‥お母様‥‥会いたかった‥‥!」
するとお母様も私を強く抱きしめると涙を流した。
「私もよ、レベッカ。17年間‥‥一度も貴女のことを忘れたことは無かったわ。いつか必ず会える日が来ると信じて待っていて‥‥本当に良かったわ…」
その後、私とお母様は暫くの間互いの身体を抱きしめあって涙を流した――。
****
「お母様、ここは別の空間だと話していたけれど……他の人達はどうなったの?」
2人で神殿の階段に座ると、お母様に尋ねた。
「ええ、彼らは今もあの島にいるわ。ただ時を止めているけどね、何しろミラージュが超音波を使おうとしたから。流石にあの島でそれを使われたらただでは済まないと思ったからよ。ついでに貴女との感動の再会を邪魔されたくなかったからね?」
母は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「ええ、本当に助かりました。私、お父様たちだけではなく元・夫やその家族からも追われているみたいだったので」
「ええ、知っているわ。それにしても図々しい人達よね。皆レベッカの力を狙っているのよ。貴女がどれだけ凄い力を持っているか…失って初めてその重要性を知ったのだから」
お母様は少しだけ悔しそうな表情を浮かべた――。
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