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いざ行かん!ドラゴンの国へ 8
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私達3人が光の中心に立った時、突然奇跡が起こった。天から地上に降り注ぐ光がその輝きを増した途端、私とナージャさんの身体がフワリと浮いたのだ。
「「う、浮いたわ!」」
私とナージャさんの声がハモる。
「ええええ!ま、また俺だけのけものに?!」
サミュエル皇子の絶叫が聞こえる。
「サミュエル皇子!私達が戻るまでゆっくりしててくださいねっ!」
私は空に吸い上げられながら呆然と立ちすくんでいるサミュエル皇子に叫んだ。そしてナージャさんを見た。
「まさかナージャさんまで選ばれるとは思いませんでしたよ」
「ええ、私自身驚きです!神殿の巫女だった時にはこんな事が我が身に起こるとは思いませんでした。旅に出て修行を積んだ成果かもしれませんね!」
ナージャさんは得意げに言うが…う~ん…ナージャさんの修行はお酒を飲むことなのではないだろうか?
そうこうしているうちに、私達が上空に運ばれていくスピードはますます上がり、あっという間に雲の中を突き抜けていく。そして…。
「あ!レベッカさん!上を見て下さい!ほら!島が浮いていますよ!」
ナージャさんに言われて、私も上を見ると確かに巨大な島が浮いている。
「あ、あれが…?」
私の言葉の後にナージャさんが続く。
「ええ、間違いないですっ!あの島がきっとドラゴンたちが住む島ですよ!」
そして私達は巨大な島の中心に空いた穴に吸い込まれていった―。
****
「キャッ!」
「痛っ!」
突然フワリと浮いていた身体が地面に落下し、私とナージャさんはしたたかに腰を打ち付けてしまった。
「いたたたた…」
腰をさすりながら立ち上がるとそこは床が石畳で周囲を囲むように白い円柱が立ち並び、石の天井を支えている神殿のような場所だった。そして私達をじっと見つめる女性や男性たち…。
「この人達…全員ドラゴンなのでしょうかね…?」
ナージャさんがそっと耳打ちしてくる。
「そうですね…見た目は私達と替わらないようですけど…」
人々は皆して遠巻きに私達を見つめ、何やらヒソヒソと話している。う~ん…何やら見世物にされているようで居心地が悪くてたまらない。その時…。
「レベッカ様ーっ!」
聞き覚えのある声が近づいていくる。間違いない、ミラージュの声だっ!
「ミラージュッ!!」
するとミラージュが私に向かって駆け寄ってきた。そして両手を確り握りしめてきた。
「ああ、良かったです、レベッカ様!途中ではぐれてしまったからとっても心配していたのですよ?何処お怪我はされていませんか?」
ミラージュは私の身体を足の爪先から頭のてっぺんまで見回した。
「いいえ、大丈夫よ。少し腰を打ち付けてしまっただけだから」
「まぁ、そうだったのですね?」
そしてミラージュはナージャさんにも気が付いた。
「ナージャさんもここに来れたのですね?」
「ええ、お陰様で。ミラージュさんが呼んでくれたのですか?」
「いいえ、私は特に何も…あら?サミュエル皇子はどうされたのですか?」
その時になってミラージュはサミュエル皇子がいないことに気が付いたようだ。
「ええ、それがサミュエル皇子はここにこれなかったのよ」
「はい、この島に吸い込まれてきたのは私とレベッカ様だけでしたよ」
すると背後で声が聞こえた。
「それは当然だ。あの者はただの人間だったからな」
「え?」
振り向くと、そこには眼光鋭い初老の男性が立っていた―。
「「う、浮いたわ!」」
私とナージャさんの声がハモる。
「ええええ!ま、また俺だけのけものに?!」
サミュエル皇子の絶叫が聞こえる。
「サミュエル皇子!私達が戻るまでゆっくりしててくださいねっ!」
私は空に吸い上げられながら呆然と立ちすくんでいるサミュエル皇子に叫んだ。そしてナージャさんを見た。
「まさかナージャさんまで選ばれるとは思いませんでしたよ」
「ええ、私自身驚きです!神殿の巫女だった時にはこんな事が我が身に起こるとは思いませんでした。旅に出て修行を積んだ成果かもしれませんね!」
ナージャさんは得意げに言うが…う~ん…ナージャさんの修行はお酒を飲むことなのではないだろうか?
そうこうしているうちに、私達が上空に運ばれていくスピードはますます上がり、あっという間に雲の中を突き抜けていく。そして…。
「あ!レベッカさん!上を見て下さい!ほら!島が浮いていますよ!」
ナージャさんに言われて、私も上を見ると確かに巨大な島が浮いている。
「あ、あれが…?」
私の言葉の後にナージャさんが続く。
「ええ、間違いないですっ!あの島がきっとドラゴンたちが住む島ですよ!」
そして私達は巨大な島の中心に空いた穴に吸い込まれていった―。
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「キャッ!」
「痛っ!」
突然フワリと浮いていた身体が地面に落下し、私とナージャさんはしたたかに腰を打ち付けてしまった。
「いたたたた…」
腰をさすりながら立ち上がるとそこは床が石畳で周囲を囲むように白い円柱が立ち並び、石の天井を支えている神殿のような場所だった。そして私達をじっと見つめる女性や男性たち…。
「この人達…全員ドラゴンなのでしょうかね…?」
ナージャさんがそっと耳打ちしてくる。
「そうですね…見た目は私達と替わらないようですけど…」
人々は皆して遠巻きに私達を見つめ、何やらヒソヒソと話している。う~ん…何やら見世物にされているようで居心地が悪くてたまらない。その時…。
「レベッカ様ーっ!」
聞き覚えのある声が近づいていくる。間違いない、ミラージュの声だっ!
「ミラージュッ!!」
するとミラージュが私に向かって駆け寄ってきた。そして両手を確り握りしめてきた。
「ああ、良かったです、レベッカ様!途中ではぐれてしまったからとっても心配していたのですよ?何処お怪我はされていませんか?」
ミラージュは私の身体を足の爪先から頭のてっぺんまで見回した。
「いいえ、大丈夫よ。少し腰を打ち付けてしまっただけだから」
「まぁ、そうだったのですね?」
そしてミラージュはナージャさんにも気が付いた。
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「いいえ、私は特に何も…あら?サミュエル皇子はどうされたのですか?」
その時になってミラージュはサミュエル皇子がいないことに気が付いたようだ。
「ええ、それがサミュエル皇子はここにこれなかったのよ」
「はい、この島に吸い込まれてきたのは私とレベッカ様だけでしたよ」
すると背後で声が聞こえた。
「それは当然だ。あの者はただの人間だったからな」
「え?」
振り向くと、そこには眼光鋭い初老の男性が立っていた―。
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