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いざ行かん!ドラゴンの国へ 6
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ナージャさんの話していた神殿は町の中心にあった。しかも何故か町の中心部は巨大な草原になっていたのだ。
「な、何故町の中心部に巨大な草原が…」
草原を中心に町が発展している異様な光景は何だか不気味だった。しかも草原は巨大な壁で覆われているので、草原へ続く門扉を開けるまでは気付きもしなかった。
そして門扉からはまっすぐ石畳が伸びており、その先には神殿?らしきものが建っている。石畳には大勢の人々がぞろぞろと列を成して神殿目指して歩いている。
「何というか…異様な光景ですわね」
おおっ!流石はミラージュッ!私と同じことを考えている。
「ああ全くその通り。俺もおかしいと思う。何故、彼等はあんな狭い石畳の上を1列に並んで歩いているのだろう?堂々と草原を歩けばいいのに」
「そうだ!それですよ!サミュエル皇子。私が感じていた違和感は!」
そしてナージャさんを見ると言った。
「ナージャさん。何故あの人達は石畳の上を歩いて草原は歩かないのですか?」
「ええ、実はあの草原に生えている草は穂先が尖っていて歩いてる内に足を切ってしまうかも知れないからです。しかも毒草もあるらしいですよ?それに毒蛇やら…」
ナージャさんの言葉に私達が唖然としたのは言うまでもない。
「あの、仮にもあれは神殿ですよね?そして私達を含め、あの人達は巡礼者ですよね?その巡礼者を危険な目に合わせて良いのですか?」
私の言葉にナージャさんは言う。
「仕方ないですよ。だって草を刈ってくれる人材がいないのですから。それに何故あの草原の周囲を壁でグルリと囲っていると思いますか?」
「さぁ…?何故だろう?」
サミュエル王子が腕組みする。
「何故ですの?」
ミラージュが尋ねた。
「あの巨大な壁は、草原から町を守っているのですよ。もともとあの神殿にはほんの僅かな草が生えている程度だったのですが、ドンドン草の量と範囲が広がっていき、今ではあれほど巨大な草原になってしまったのですよ!けれど不思議な事に…ほら!御覧なさい!あの神殿は草に覆われずに、あのようにそびえ立っている訳です!きっとドラゴンの力のお陰です!」
ナージャさんは興奮気味に言う。う~ん…どうもナージャさんはドラゴンに心酔している気がする。だったら何故ずっと神殿にいなかったのだろう?
「あの…つかぬことを聞きますけど…そんなにドラゴンを崇めているなら何故ずっと神殿にいなかったのですか?」
なんか前に理由を聞いた気がするけれども…色々あって細かいことは忘れてしまった。すると突然真顔になるナージャさん。
「それは…お酒ですよ」
「え?」
お酒という言葉でサミュエル王子が反応した。
「お酒を浴びるほど飲みたかったからですっ!なのにあの神殿はお酒禁止ですよ?信じられませんよね?ありえないですよ!神にはお酒を捧げるのに、それに仕える私達には禁酒を強いるなんて…!」
なる程…結局ナージャさんはお酒が原因で巫女を辞めたという事か…。
「あの、所でそろそろあの神殿へ向かいませんか?私、もうウズウズして仕方ないのですよ」
ミラージュの言葉に私達は頷き、他の巡礼者達に混じって大平原のど真ん中にそびえ立つ神殿目指して歩き始めた―。
「な、何故町の中心部に巨大な草原が…」
草原を中心に町が発展している異様な光景は何だか不気味だった。しかも草原は巨大な壁で覆われているので、草原へ続く門扉を開けるまでは気付きもしなかった。
そして門扉からはまっすぐ石畳が伸びており、その先には神殿?らしきものが建っている。石畳には大勢の人々がぞろぞろと列を成して神殿目指して歩いている。
「何というか…異様な光景ですわね」
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「そうだ!それですよ!サミュエル皇子。私が感じていた違和感は!」
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「ええ、実はあの草原に生えている草は穂先が尖っていて歩いてる内に足を切ってしまうかも知れないからです。しかも毒草もあるらしいですよ?それに毒蛇やら…」
ナージャさんの言葉に私達が唖然としたのは言うまでもない。
「あの、仮にもあれは神殿ですよね?そして私達を含め、あの人達は巡礼者ですよね?その巡礼者を危険な目に合わせて良いのですか?」
私の言葉にナージャさんは言う。
「仕方ないですよ。だって草を刈ってくれる人材がいないのですから。それに何故あの草原の周囲を壁でグルリと囲っていると思いますか?」
「さぁ…?何故だろう?」
サミュエル王子が腕組みする。
「何故ですの?」
ミラージュが尋ねた。
「あの巨大な壁は、草原から町を守っているのですよ。もともとあの神殿にはほんの僅かな草が生えている程度だったのですが、ドンドン草の量と範囲が広がっていき、今ではあれほど巨大な草原になってしまったのですよ!けれど不思議な事に…ほら!御覧なさい!あの神殿は草に覆われずに、あのようにそびえ立っている訳です!きっとドラゴンの力のお陰です!」
ナージャさんは興奮気味に言う。う~ん…どうもナージャさんはドラゴンに心酔している気がする。だったら何故ずっと神殿にいなかったのだろう?
「あの…つかぬことを聞きますけど…そんなにドラゴンを崇めているなら何故ずっと神殿にいなかったのですか?」
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「それは…お酒ですよ」
「え?」
お酒という言葉でサミュエル王子が反応した。
「お酒を浴びるほど飲みたかったからですっ!なのにあの神殿はお酒禁止ですよ?信じられませんよね?ありえないですよ!神にはお酒を捧げるのに、それに仕える私達には禁酒を強いるなんて…!」
なる程…結局ナージャさんはお酒が原因で巫女を辞めたという事か…。
「あの、所でそろそろあの神殿へ向かいませんか?私、もうウズウズして仕方ないのですよ」
ミラージュの言葉に私達は頷き、他の巡礼者達に混じって大平原のど真ん中にそびえ立つ神殿目指して歩き始めた―。
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