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レベッカ一行の世界漫遊の旅 3 (ノマード王国の旅 10)
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翌朝―
朝食を食べた私達は『デネス』の町中を歩いていた。ここは商業の港町として栄えている為なのか、大規模なバザールが開かれいる。
「朝からにぎやかですわね~」
ミラージュが感心したように言う。
「ところでレベッカ。お金を稼ぐと言っていたが…一体これからどうするつもりだい?」
「ええ、実は人魚さんに聞いたのですが…」
「うわあああっ!あの女性を人魚と呼ぶのはやめてくれえええっ!」
サミュエル皇子が頭を押さえて絶叫した。どうやら皇子の中では女将さんをどうしても人魚とは認めたくないようだ。
「コホン、では『マーメイドの館』の女将さんに聞いたのですが、ここ『デネス』には砂金が取れる川があるらしいのです。銀貨1枚で3時間探し放題らしいんです」
「ま、まさか…」
サミュエル王子が声を震わせる。
「ええ、そのまさかです。これから私達はその川へ行き、砂金を取りに行きます!」
「うぐっ!や、やはり…そうきたか!」
サミュエル王子は胸を押さえる。
「し、しかし…砂金は取るのが難しいと聞く。果たして我々に砂金を採ることが出来るのだろうか?」
「そんな不安そうな顔しなくたって大丈夫ですってば。私に任せてくださいっ!私のことを信じてくれれば砂金なんか取り放題ですよ」
バシバシとサミュエル王子の背中を叩きながら私は言う。
「ええ、私はレベッカ様を信じますわ。さあ!早く砂金を取りに行きましょう!」
そして私達はミラージュを先頭に砂金が採れると言われる川『ゴールドリバー』へと向かった―。
****
谷の合間を流れる『ゴールドリバー』。その川の中流付近に私達はいた。受付には10名ほどの観光客が並んでいる。そして麦わら帽をかぶったおじいさんがお金を受け取り、砂金取りの道具を手渡している。
そして私達もお金を支払って道具を受け取った。
「よし、兄ちゃんとお姉ちゃんたちも頑張って砂金を取れよ。取った分は全部自分たちの物になるからな?」
おじいさんは道具を私達に渡しながら言った。
「ええ、もちろんですわ!」
「やれるだけやってみよう」
ミラージュとサミュエル王子は道具を受け取りながら返事をする。そして私に道具を渡す時、おじいさんが言った。
「おやあ…お嬢さん、随分金運が良さそうな顔つきだなあ。幸運の女神でも付いているかもしれんな。頑張れよ!」
おお!このおじいさん…人を見る目があるかもしれない。
「はい!がんばります!」
私はにっこり微笑んだ―。
****
道具を受け取った私達は砂金採りポイントにやってきた。そこには既に4~5人ほどの男女が川の中に入って大きな皿を水の中で振るっている。
「レベッカ様。私達の他にも一攫千金を狙っている輩が結構いますね」
それを見ていたミラージュがこっそり耳打ちしてくる。
「ええ、大丈夫。私に任せて頂戴。他の人達がうらやましがるくらい砂金を取らせてあげるからね?」
「出来ればそう願いたいよ。仮にも皇子がこんな格好で砂金取りをするなんて流石に恥ずかしいからね。」
サミュエル王子は麻のシャツに麻の胸当てズボン姿で、袖も裾もたくし上げ、裸足とという出で立ちで立っている。いやはやサミュエル皇子も落ちたものだ。とても皇子には見えない。今ではまるで山育ちの野性的な青年の風貌になっている。
一方の私達は麻の膝丈のワンピースにエプロン姿&裸足である。とても皇女と侍女には見えない出で立ちだ。
「2人とも、私を信じなさい!今日から私達はリッチになれるのよ!」
「「おーっ!」」
そして私達の砂金探しが始まった―。
朝食を食べた私達は『デネス』の町中を歩いていた。ここは商業の港町として栄えている為なのか、大規模なバザールが開かれいる。
「朝からにぎやかですわね~」
ミラージュが感心したように言う。
「ところでレベッカ。お金を稼ぐと言っていたが…一体これからどうするつもりだい?」
「ええ、実は人魚さんに聞いたのですが…」
「うわあああっ!あの女性を人魚と呼ぶのはやめてくれえええっ!」
サミュエル皇子が頭を押さえて絶叫した。どうやら皇子の中では女将さんをどうしても人魚とは認めたくないようだ。
「コホン、では『マーメイドの館』の女将さんに聞いたのですが、ここ『デネス』には砂金が取れる川があるらしいのです。銀貨1枚で3時間探し放題らしいんです」
「ま、まさか…」
サミュエル王子が声を震わせる。
「ええ、そのまさかです。これから私達はその川へ行き、砂金を取りに行きます!」
「うぐっ!や、やはり…そうきたか!」
サミュエル王子は胸を押さえる。
「し、しかし…砂金は取るのが難しいと聞く。果たして我々に砂金を採ることが出来るのだろうか?」
「そんな不安そうな顔しなくたって大丈夫ですってば。私に任せてくださいっ!私のことを信じてくれれば砂金なんか取り放題ですよ」
バシバシとサミュエル王子の背中を叩きながら私は言う。
「ええ、私はレベッカ様を信じますわ。さあ!早く砂金を取りに行きましょう!」
そして私達はミラージュを先頭に砂金が採れると言われる川『ゴールドリバー』へと向かった―。
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谷の合間を流れる『ゴールドリバー』。その川の中流付近に私達はいた。受付には10名ほどの観光客が並んでいる。そして麦わら帽をかぶったおじいさんがお金を受け取り、砂金取りの道具を手渡している。
そして私達もお金を支払って道具を受け取った。
「よし、兄ちゃんとお姉ちゃんたちも頑張って砂金を取れよ。取った分は全部自分たちの物になるからな?」
おじいさんは道具を私達に渡しながら言った。
「ええ、もちろんですわ!」
「やれるだけやってみよう」
ミラージュとサミュエル王子は道具を受け取りながら返事をする。そして私に道具を渡す時、おじいさんが言った。
「おやあ…お嬢さん、随分金運が良さそうな顔つきだなあ。幸運の女神でも付いているかもしれんな。頑張れよ!」
おお!このおじいさん…人を見る目があるかもしれない。
「はい!がんばります!」
私はにっこり微笑んだ―。
****
道具を受け取った私達は砂金採りポイントにやってきた。そこには既に4~5人ほどの男女が川の中に入って大きな皿を水の中で振るっている。
「レベッカ様。私達の他にも一攫千金を狙っている輩が結構いますね」
それを見ていたミラージュがこっそり耳打ちしてくる。
「ええ、大丈夫。私に任せて頂戴。他の人達がうらやましがるくらい砂金を取らせてあげるからね?」
「出来ればそう願いたいよ。仮にも皇子がこんな格好で砂金取りをするなんて流石に恥ずかしいからね。」
サミュエル王子は麻のシャツに麻の胸当てズボン姿で、袖も裾もたくし上げ、裸足とという出で立ちで立っている。いやはやサミュエル皇子も落ちたものだ。とても皇子には見えない。今ではまるで山育ちの野性的な青年の風貌になっている。
一方の私達は麻の膝丈のワンピースにエプロン姿&裸足である。とても皇女と侍女には見えない出で立ちだ。
「2人とも、私を信じなさい!今日から私達はリッチになれるのよ!」
「「おーっ!」」
そして私達の砂金探しが始まった―。
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