31 / 194
レベッカ一行の世界漫遊の旅 2 (女盗賊アマゾナ編 8)
しおりを挟む
ドラゴンの姿になったミラージュの背中に乗りながら私は言った。
「ミラージュ、そろそろ下に降りましょう。貴女も人の姿に戻ったほうがいいわよ。これ以上村に近づけばドラゴンの姿を見られて大騒ぎになってしまうかもしれないから」
< はい、確かにおっしゃる通りですね >
ミラージュは返事をするとバサリと大きな翼をはためかせ、地面に向かって急降下するとふわりと地面に降り立った。
「ご苦労様、ミラージュ」
ミラージュの背中から降りると、すぐに人間の姿に変えたミラージュが言った。
「いえ、そんな。やはりドラゴンの姿になると胸がスカッとしますね。これからは度々ドラゴンの姿に戻ってもよろしいでしょうか?」
ウキウキした様子で語るミラージュに歩きながら私は言った。
「いえ、ほどほどにしておいて」
「はい…」
しゅんとなるミラージュに言った。
「聞いて、ミラージュ。私はずっと貴女と一緒にいたいのよ。だけど、もし貴女の本性がドラゴンだとバレてしまって、見世物小屋かサーカスに売られてしまったら私達、離れ離れになってしまうでしょう?だから我慢してくれる?でもその代わり人里離れた場所ならドラゴンの姿に戻ってもいいから」
「本当ですか?!ありがとうございますっ!」
ミラージュは嬉しそうに笑った。う~ん…どうやらミラージュは旅に出てから何かが吹っ切れたのか、野生の血が騒ぎ始めたのか、やたらとドラゴンの姿に戻りたがる。
それともグランダ王国で鬱積した精神状態で生活し…それが旅に出たことで開放されたからなのかもしれない。まあ、連れにサミュエル王子が一緒にいるけれども、彼ならば別にドラゴンのミラージュを見てもなんとも思わないので無害だし。
「ところで、レベッカ様…一つ気になることがあったのですけど…」
歩きながらミラージュが重そうに口を開いた。
「何?何が気になったの?」
「ええ、先程モグラ駆除を行ったじゃありませんか」
「ええ、そうね」
あまり思い出したくない記憶だが返事をした。
「いなかったんですよ」
「え?何がいなかったの?」
私は首をかしげた。
「あの畑…普通のサイズよりも明らかに大きな山が出来ていたんです。あれはモグラの掘った後で間違いは無いはずなのですが…あのサイズだと、かなりの巨体モグラですよ。それにアマゾナさんも言っていたじゃありませんか。巨大化したモグラが無数のモグラを引き連れて害獣被害が発生しているって」
「ええ…言ってたわねえ」
鳥肌を立てながら答える。
「そのモグラたちが一切姿を見せなかったんです。おかしいと思いませんか?」
「そうね、確かにおかしいわ」
「これは何かあるかもしれないですよ…」
ミラージュの意味深な言葉に怯えつつ、私達はアマゾナの待つ『アルト』の村を目指した―。
****
「ど、どうしたんだいっ?!あんた達のそのなりは!」
泥だらけで宿屋に戻ってきた私達を見てアマゾナが驚きの声を上げた。
「ええ、ちょっとモグラ駆除で体が土まみれになってしまいました」
照れくさそうに言うと、アマゾナが言った。
「あんた達、すぐに水浴びしといで!この裏手に温かいお湯が湧き出ている不思議な場所があるんだよ」
アマゾナの言葉に私とミラージュは素早く反応した。
「え?お湯が湧き出ているですって?」
「レベッカ様、それはもしや…」
私とミラージュは顔を見合わせた。
「「温泉だわっ!!」」
2人で歓喜の声を上げて大喜びするが、一方のアマゾナはポカンとした顔で私達を見つめていた―。
「ミラージュ、そろそろ下に降りましょう。貴女も人の姿に戻ったほうがいいわよ。これ以上村に近づけばドラゴンの姿を見られて大騒ぎになってしまうかもしれないから」
< はい、確かにおっしゃる通りですね >
ミラージュは返事をするとバサリと大きな翼をはためかせ、地面に向かって急降下するとふわりと地面に降り立った。
「ご苦労様、ミラージュ」
ミラージュの背中から降りると、すぐに人間の姿に変えたミラージュが言った。
「いえ、そんな。やはりドラゴンの姿になると胸がスカッとしますね。これからは度々ドラゴンの姿に戻ってもよろしいでしょうか?」
ウキウキした様子で語るミラージュに歩きながら私は言った。
「いえ、ほどほどにしておいて」
「はい…」
しゅんとなるミラージュに言った。
「聞いて、ミラージュ。私はずっと貴女と一緒にいたいのよ。だけど、もし貴女の本性がドラゴンだとバレてしまって、見世物小屋かサーカスに売られてしまったら私達、離れ離れになってしまうでしょう?だから我慢してくれる?でもその代わり人里離れた場所ならドラゴンの姿に戻ってもいいから」
「本当ですか?!ありがとうございますっ!」
ミラージュは嬉しそうに笑った。う~ん…どうやらミラージュは旅に出てから何かが吹っ切れたのか、野生の血が騒ぎ始めたのか、やたらとドラゴンの姿に戻りたがる。
それともグランダ王国で鬱積した精神状態で生活し…それが旅に出たことで開放されたからなのかもしれない。まあ、連れにサミュエル王子が一緒にいるけれども、彼ならば別にドラゴンのミラージュを見てもなんとも思わないので無害だし。
「ところで、レベッカ様…一つ気になることがあったのですけど…」
歩きながらミラージュが重そうに口を開いた。
「何?何が気になったの?」
「ええ、先程モグラ駆除を行ったじゃありませんか」
「ええ、そうね」
あまり思い出したくない記憶だが返事をした。
「いなかったんですよ」
「え?何がいなかったの?」
私は首をかしげた。
「あの畑…普通のサイズよりも明らかに大きな山が出来ていたんです。あれはモグラの掘った後で間違いは無いはずなのですが…あのサイズだと、かなりの巨体モグラですよ。それにアマゾナさんも言っていたじゃありませんか。巨大化したモグラが無数のモグラを引き連れて害獣被害が発生しているって」
「ええ…言ってたわねえ」
鳥肌を立てながら答える。
「そのモグラたちが一切姿を見せなかったんです。おかしいと思いませんか?」
「そうね、確かにおかしいわ」
「これは何かあるかもしれないですよ…」
ミラージュの意味深な言葉に怯えつつ、私達はアマゾナの待つ『アルト』の村を目指した―。
****
「ど、どうしたんだいっ?!あんた達のそのなりは!」
泥だらけで宿屋に戻ってきた私達を見てアマゾナが驚きの声を上げた。
「ええ、ちょっとモグラ駆除で体が土まみれになってしまいました」
照れくさそうに言うと、アマゾナが言った。
「あんた達、すぐに水浴びしといで!この裏手に温かいお湯が湧き出ている不思議な場所があるんだよ」
アマゾナの言葉に私とミラージュは素早く反応した。
「え?お湯が湧き出ているですって?」
「レベッカ様、それはもしや…」
私とミラージュは顔を見合わせた。
「「温泉だわっ!!」」
2人で歓喜の声を上げて大喜びするが、一方のアマゾナはポカンとした顔で私達を見つめていた―。
1
お気に入りに追加
325
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。

完結 愛のない結婚ですが、何も問題ありません旦那様!
音爽(ネソウ)
恋愛
「私と契約しないか」そう言われた幼い貧乏令嬢14歳は頷く他なかった。
愛人を秘匿してきた公爵は世間を欺くための結婚だと言う、白い結婚を望むのならばそれも由と言われた。
「優遇された契約婚になにを躊躇うことがあるでしょう」令嬢は快く承諾したのである。
ところがいざ結婚してみると令嬢は勤勉で朗らかに笑い、たちまち屋敷の者たちを魅了してしまう。
「奥様はとても素晴らしい、誰彼隔てなく優しくして下さる」
従者たちの噂を耳にした公爵は奥方に興味を持ち始め……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる