嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

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第3章 12 授業前の会話

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 教室へ行くと既に窓際の奥の席にドロシーが座っていた。ヒルダは彼女に近付くと声を掛けた。

「おはよう、ドロシー」

「あ、おはよう。ヒルダ」

ドロシーは笑みを浮かべてヒルダを見た。

「お隣…座ってもいい?」

「ええ、勿論よ」

ドロシーの許可を貰ったヒルダは早速隣に座ると、自分の荷物を空いている座席に置いた。

「ふぅ…」

席に着くなりため息をつくヒルダにクスクス笑いながらドロシーが声を掛けて来た。

「やーだ、ヒルダったら。朝からため息ついたりして。それとも何かあったの?」

ドロシーにもノワールの話していた内容を伝えた方が良いかもしれない…。そう感じ取ったヒルダは頷いた。

「ええ、そうなの。実は…」



****


「な、何ですってっ?!」

話を聞き終えたドロシーは酷く憤慨した。その声が教室に響き渡り、2人は注目を浴びる事になる。

「お、落ち着いて。私達…皆から注目されているわ」

ヒルダは興奮しているドロシーを宥めようとした。

「落ち着け?落ち着けるはずないじゃない!だって危ない所だったのでしょう?それにしても許せないわ…か弱い女性を数人がかりで…しかも最後にヒルダを突き飛ばしたなんて…」

「ええ。でもノワール様が受け止めてくれたから転ばずに済んだわ」

「ふ~ん…そうなのね。冷たそうな利己的な人間かとばかり思っていたけれどヒルダを助けてくれたことになるのよね?」

「そうね…ノワール様があの場にもしもいなかったらと考えると怖くてたまらないわ。でも、そう言う訳だから、ドロシー。私達、なるべくこれから先も一緒に行動しない?1人で大学内にはいない方がいいと思うのよ」

すると、何故かドロシーはじっとヒルダを見つめると言った。

「ええ。そうね…。でも…ヒルダ。貴女が特別だったかも知れないわよ?」

「え?どういう事?」

「だって、ヒルダは物凄い美人だもの。彼らヒルダが美人だった事もあって、声を掛けてきたに決まってるわ」

「まさか…」

「あら、全くの無自覚なのか、それとも鈍感なのかしら?ほら、周りを良く見てよ。この教室の男子学生達の視線…全てヒルダに向いているわ」

「え…?」

ドロシーの言葉にヒルダは辺りを見渡すと、確かに男子学生達の視線が自分に向けられていることに気付いた。ヒルダと視線が合った学生たちの反応は様々で、慌てて視線を逸らせる者や手を振って来る者。中にはウィンクしてくる学生までいる。

「…」

ヒルダは彼等の様子を半ば呆れたように見渡し、ため息をついた。

「どうしたの?ヒルダ」

「いいえ。早く授業が始まらないかしらね?1限目の古典文学の授業を早く受けたいわ」

「ヒルダは真面目なのね。その辺の男子学生達よりもずっと真面目だと思うわ。勿論私も本格的に勉強がしたいから進学したのだけどね」

「ドロシーは将来の夢ってあるの?」

「ええ、勿論よ!私は小学校先生になりたいのよ。この学部だと教員免許も取得できるでしょう?だから進学したのだから」

「まぁ…素敵な夢ね。でもドロシーなら良い先生になれると思うわ」

「ヒルダは将来の夢ってあるの?」

「私は絵本作家になるのが夢なの」

「いいわね、夢のある仕事で…」

そこまで話していた時、教授が教室に入って来た。

(ようやく初めての大学の授業が受けられるのだわ…)

ヒルダの胸は希望で高鳴った―。


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