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第2章 2 目撃
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翌朝、日曜日の11時―
コンコン
ヒルダのアパートメントにドアノッカーの音が響き渡った。既に火の始末、戸締りもすべて終え、リビングでコートを着たまま椅子に座っていたヒルダは立ちあがった。
(ルドルフが来てくれたんだわっ!)
ヒルダはショルダーバックを肩から掛け、帽子にマフラーをまくと玄関を開けた。
「おはようございます。ヒルダ様。」
ルドルフは笑顔でヒルダを見る。ウールのコートにマフラーを巻いたルドルフはヒルダの目にはとても眩しく見えた。
「お、おはよう・・ルドルフ。今朝は・・・とても素敵な朝ね・・・?」
真っ赤に頬を染めてルドルフを見つめるヒルダはとても愛らしかった。
「ヒルダ様・・今日も相変わらず可愛いですね。ヒルダ様と出かけられるなんて夢のようです。」
「そ、そんな・・・か、可愛いなんて・・・。」
ルドルフは笑みを浮かべて右手をそっと差し出すと言った。
「では行きましょうか?ヒルダ様。」
「え、ええ・・。」
おずおずとヒルダは小さな左手を差し出すと、ルドルフはその手をしっかりと握りしめた―。
****
メインストリートを手を繋いでゆっくり歩きながらルドルフは言った。
「ヒルダ様、実は今日2人で演劇を観に行こかと思っていたんです。」
「まあ・・演劇・・?」
ヒルダは目を輝かせた。最近ロータスには大きな劇場が建てられ、そこで開かれる演劇が話題になっていたのだ。
「楽しみだわ・・・私、まだ一度も演劇を観に行ったことが無くて・・あ、でも・・チケット代・・。」
するとルドルフが言った。
「ヒルダ様、チケット代なら心配しないで下さい。実は僕が今家庭教師で訪れている家ですが、その子供の父親が劇場関係者でチケットを2枚頂いているんです。」
「え?そうなの・・?」
「はい。なのでヒルダ様はチケット代の事は気にしないで下さい。」
「ええ・・・ありがとう。」
ヒルダは再び笑みを浮かべた―。
その頃、診療所が休みのアレンは買い物をしにロータスの町へと出ていた。
(本屋にでも行ってみるか・・。)
アレンは本屋へ足を向けて歩き始めた。少し歩いてくと最近出来たばかりの真新しい劇場が目に入った。
「劇場か・・・そう言えば最近患者さんが話題にしていたな・・。」
劇場の入り口には列ができていた。
「ふ~ん・・・随分盛況なんだな・・・え?」
その時、アレンは劇場の列に並ぶヒルダの姿を見た。
(あれは・・・ヒルダじゃないか。楽しそうにしているな・・・。あ!)
アレンの目に見知らぬ少年の姿が飛び込んで来た。2人は親し気に話をしている。何より一番印象的だったのはヒルダが今までアレンたちの前では見せたことの無い笑顔を少年に向けている事だった。
ヒルダは頬を赤く染め・・愛し気にアレンの知らない少年を見つめて笑みを浮かべている。それを一目見ただけで、アレンには分かってしまった。
(ひょっとして・・あの少年は・・・ヒルダの恋人なのか・・?)
だが、アレンはヒルダがセロニア学園に入学して来た頃からずっと見て来た。1年生の時のヒルダは前半は完全に学園から孤立していた。後半は親しい友人たちは出来たものの、恋人らしき人物はいなかった。それは2年生に進級してからも同様だった。
(と言う事は・・ここ最近なのか?ヒルダに恋人が出来たのは・・?そんな素振りは全く見せなかったのに・・。)
そこまで考えてアレンは思った。
「何を馬鹿な事を言ってるんだ・・・?そもそもヒルダが自分に恋人が出来たとして・・この俺にそんな事を報告する義務なんて無いじゃないか・・。」
アレンはいつの間にか自分はヒルダの保護者にでもなったかのように今更ながら勘違いしていた事に気が付いた。
しかし、ヒルダが異性と親し気に話をしている姿を見るのは辛かった。
(帰ろう・・・。)
すっかり本屋に行く気がそがれてしまったアレンは踵を返すと、自分の家を兼ねた診療所へ帰って行った。
その後ろ姿は・・・酷く寂しげだった―。
コンコン
ヒルダのアパートメントにドアノッカーの音が響き渡った。既に火の始末、戸締りもすべて終え、リビングでコートを着たまま椅子に座っていたヒルダは立ちあがった。
(ルドルフが来てくれたんだわっ!)
ヒルダはショルダーバックを肩から掛け、帽子にマフラーをまくと玄関を開けた。
「おはようございます。ヒルダ様。」
ルドルフは笑顔でヒルダを見る。ウールのコートにマフラーを巻いたルドルフはヒルダの目にはとても眩しく見えた。
「お、おはよう・・ルドルフ。今朝は・・・とても素敵な朝ね・・・?」
真っ赤に頬を染めてルドルフを見つめるヒルダはとても愛らしかった。
「ヒルダ様・・今日も相変わらず可愛いですね。ヒルダ様と出かけられるなんて夢のようです。」
「そ、そんな・・・か、可愛いなんて・・・。」
ルドルフは笑みを浮かべて右手をそっと差し出すと言った。
「では行きましょうか?ヒルダ様。」
「え、ええ・・。」
おずおずとヒルダは小さな左手を差し出すと、ルドルフはその手をしっかりと握りしめた―。
****
メインストリートを手を繋いでゆっくり歩きながらルドルフは言った。
「ヒルダ様、実は今日2人で演劇を観に行こかと思っていたんです。」
「まあ・・演劇・・?」
ヒルダは目を輝かせた。最近ロータスには大きな劇場が建てられ、そこで開かれる演劇が話題になっていたのだ。
「楽しみだわ・・・私、まだ一度も演劇を観に行ったことが無くて・・あ、でも・・チケット代・・。」
するとルドルフが言った。
「ヒルダ様、チケット代なら心配しないで下さい。実は僕が今家庭教師で訪れている家ですが、その子供の父親が劇場関係者でチケットを2枚頂いているんです。」
「え?そうなの・・?」
「はい。なのでヒルダ様はチケット代の事は気にしないで下さい。」
「ええ・・・ありがとう。」
ヒルダは再び笑みを浮かべた―。
その頃、診療所が休みのアレンは買い物をしにロータスの町へと出ていた。
(本屋にでも行ってみるか・・。)
アレンは本屋へ足を向けて歩き始めた。少し歩いてくと最近出来たばかりの真新しい劇場が目に入った。
「劇場か・・・そう言えば最近患者さんが話題にしていたな・・。」
劇場の入り口には列ができていた。
「ふ~ん・・・随分盛況なんだな・・・え?」
その時、アレンは劇場の列に並ぶヒルダの姿を見た。
(あれは・・・ヒルダじゃないか。楽しそうにしているな・・・。あ!)
アレンの目に見知らぬ少年の姿が飛び込んで来た。2人は親し気に話をしている。何より一番印象的だったのはヒルダが今までアレンたちの前では見せたことの無い笑顔を少年に向けている事だった。
ヒルダは頬を赤く染め・・愛し気にアレンの知らない少年を見つめて笑みを浮かべている。それを一目見ただけで、アレンには分かってしまった。
(ひょっとして・・あの少年は・・・ヒルダの恋人なのか・・?)
だが、アレンはヒルダがセロニア学園に入学して来た頃からずっと見て来た。1年生の時のヒルダは前半は完全に学園から孤立していた。後半は親しい友人たちは出来たものの、恋人らしき人物はいなかった。それは2年生に進級してからも同様だった。
(と言う事は・・ここ最近なのか?ヒルダに恋人が出来たのは・・?そんな素振りは全く見せなかったのに・・。)
そこまで考えてアレンは思った。
「何を馬鹿な事を言ってるんだ・・・?そもそもヒルダが自分に恋人が出来たとして・・この俺にそんな事を報告する義務なんて無いじゃないか・・。」
アレンはいつの間にか自分はヒルダの保護者にでもなったかのように今更ながら勘違いしていた事に気が付いた。
しかし、ヒルダが異性と親し気に話をしている姿を見るのは辛かった。
(帰ろう・・・。)
すっかり本屋に行く気がそがれてしまったアレンは踵を返すと、自分の家を兼ねた診療所へ帰って行った。
その後ろ姿は・・・酷く寂しげだった―。
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