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第1章 19 語られた真実
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「グレースさんは、私がルドルフと婚約破棄した事・・信じてくれなかったのよ。」
「え・・?そうなのですか・・?一体何故・・・?」
ルドルフの問いにヒルダは言いにくそうに答えた。
「そ、それは・・ルドルフが・・グレースさんを振りむかなかったから・・。」
「そんな理由で・・・グレースはヒルダ様を無理やり教会に連れて行ったのですね?!何て事を・・どんな事があっても・・・僕がグレースを好きになる事なんて絶対にありえないのに・・・!それじゃ・・僕のせいだったのですね・・?教会に無理やり連れて行かれたのは・・・!」
ルドルフは俯いて肩を震わせた。
「お願い、ルドルフ・・・自分を責めないで・・。もとはと言えばルドルフの言葉を信じなかった私のせいなのだから・・。」
ヒルダがルドルフに声を掛ける。
「ヒルダ様・・・やはり貴女は優しい方なのですね・・・。そんな貴女だから・・僕は・・・。」
ルドルフは熱を込めた視線でヒルダをじっと見つめる。その視線が恥ずかしくなったヒルダは顔を赤らめながら続きを話しだした。
「それで・・・突然グレースさんが燃えていた暖炉から1本火のついた薪を取り出したの。周りの人達は驚いて何をする気なのか尋ねたら・・・グレースさんが言ったの。わざと火傷をして、その火傷を私のせいにすればルドルフは私を嫌って・・・自分の同情してくれるだろうって・・それでグレースさんは火のついた薪を自分に近付けて・・イワンさんが薪を持ったグレースさんの手を強く握りしめた時に火のついた薪を床に落としてしまって・・あっという間に火事になって燃え広がってしまったの・・。」
「な・・何て事だ・・!」
ルドルフはヒルダのあまりにも衝撃的な告白に言葉を無くしてしまった。
(馬鹿な・・!グレースは一体・・何処まで自分勝手で愚かな人間だったんだ・・?!僕のせいで・・・ヒルダ様をまきこんでしまったんだ・・・!)
だがここでルドルフに一つの疑問が起こった。
「ヒルダ様・・・何故、犯人はグレースだったのに・・自分で火事の事件の罪を被ったのですか・・?」
するとヒルダは苦し気に顔を歪めると言った。
「そ、それは・・私がグレースさんから・・ルドルフを奪ってしまったのだと思っていたから・・罪滅ぼしの為に彼女の罪を私が被ったの・・・。だけど・・まさかこんな事になるなんて・・あの時の私には思わなかったのよ・・。あの教会があんなに大切なものだったなんて・・お父様から縁を切られて、カウベリー中の人々に嫌われてしまうなんて・・・。」
そこでヒルダは再び目に涙を浮かべた。
「ヒルダ様・・・っ!」
ルドルフは再び立ち上がり、ヒルダの前にひざまずくと言った。
「すみませんでした・・・!ヒルダ様・・・2年間も貴女を僕は苦しめてしまった・・・あの時、もっとグレースを追及していれば・・ひょっとしたらイワンだって死ぬことは無かったかもしれないし、グレースだって自分の罪を認めていたかもしれません。そして・・父親に殺されることも・・・!」
「え・・?」
ヒルダは涙目で目を見開いた。
「ヒルダ様・・・よく聞いて下さい・・。これはエドガー様の憶測ですが・・恐らくイワンは僕に会ったことで、火事の事件を思い出した。そして・・ハリス様に手紙を書いたんです。その後にイワンはグレースに会いに行った。そこで・・多分イワンはグレースに何らかの脅迫をされたのでしょう。それで耐えきれなくなったイワンは自殺をした。そしてイワンの自殺の原因を知ったグレースの父親は・・彼女を殺害したのだろうと予測しているのです。」
「え・・・?お、お兄様が・・そう話していたの?」
「はい、エドガー様は・・・ヒルダ様の罪を何とか晴らそうと考えているのです。」
「!」
それはヒルダにとって、衝撃的な話だった―。
「え・・?そうなのですか・・?一体何故・・・?」
ルドルフの問いにヒルダは言いにくそうに答えた。
「そ、それは・・ルドルフが・・グレースさんを振りむかなかったから・・。」
「そんな理由で・・・グレースはヒルダ様を無理やり教会に連れて行ったのですね?!何て事を・・どんな事があっても・・・僕がグレースを好きになる事なんて絶対にありえないのに・・・!それじゃ・・僕のせいだったのですね・・?教会に無理やり連れて行かれたのは・・・!」
ルドルフは俯いて肩を震わせた。
「お願い、ルドルフ・・・自分を責めないで・・。もとはと言えばルドルフの言葉を信じなかった私のせいなのだから・・。」
ヒルダがルドルフに声を掛ける。
「ヒルダ様・・・やはり貴女は優しい方なのですね・・・。そんな貴女だから・・僕は・・・。」
ルドルフは熱を込めた視線でヒルダをじっと見つめる。その視線が恥ずかしくなったヒルダは顔を赤らめながら続きを話しだした。
「それで・・・突然グレースさんが燃えていた暖炉から1本火のついた薪を取り出したの。周りの人達は驚いて何をする気なのか尋ねたら・・・グレースさんが言ったの。わざと火傷をして、その火傷を私のせいにすればルドルフは私を嫌って・・・自分の同情してくれるだろうって・・それでグレースさんは火のついた薪を自分に近付けて・・イワンさんが薪を持ったグレースさんの手を強く握りしめた時に火のついた薪を床に落としてしまって・・あっという間に火事になって燃え広がってしまったの・・。」
「な・・何て事だ・・!」
ルドルフはヒルダのあまりにも衝撃的な告白に言葉を無くしてしまった。
(馬鹿な・・!グレースは一体・・何処まで自分勝手で愚かな人間だったんだ・・?!僕のせいで・・・ヒルダ様をまきこんでしまったんだ・・・!)
だがここでルドルフに一つの疑問が起こった。
「ヒルダ様・・・何故、犯人はグレースだったのに・・自分で火事の事件の罪を被ったのですか・・?」
するとヒルダは苦し気に顔を歪めると言った。
「そ、それは・・私がグレースさんから・・ルドルフを奪ってしまったのだと思っていたから・・罪滅ぼしの為に彼女の罪を私が被ったの・・・。だけど・・まさかこんな事になるなんて・・あの時の私には思わなかったのよ・・。あの教会があんなに大切なものだったなんて・・お父様から縁を切られて、カウベリー中の人々に嫌われてしまうなんて・・・。」
そこでヒルダは再び目に涙を浮かべた。
「ヒルダ様・・・っ!」
ルドルフは再び立ち上がり、ヒルダの前にひざまずくと言った。
「すみませんでした・・・!ヒルダ様・・・2年間も貴女を僕は苦しめてしまった・・・あの時、もっとグレースを追及していれば・・ひょっとしたらイワンだって死ぬことは無かったかもしれないし、グレースだって自分の罪を認めていたかもしれません。そして・・父親に殺されることも・・・!」
「え・・?」
ヒルダは涙目で目を見開いた。
「ヒルダ様・・・よく聞いて下さい・・。これはエドガー様の憶測ですが・・恐らくイワンは僕に会ったことで、火事の事件を思い出した。そして・・ハリス様に手紙を書いたんです。その後にイワンはグレースに会いに行った。そこで・・多分イワンはグレースに何らかの脅迫をされたのでしょう。それで耐えきれなくなったイワンは自殺をした。そしてイワンの自殺の原因を知ったグレースの父親は・・彼女を殺害したのだろうと予測しているのです。」
「え・・・?お、お兄様が・・そう話していたの?」
「はい、エドガー様は・・・ヒルダ様の罪を何とか晴らそうと考えているのです。」
「!」
それはヒルダにとって、衝撃的な話だった―。
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