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第1章 13 あの頃のように・・・
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11時―
コンコン
ヒルダのアパートメントのドアがノックされた。
「あ、きっとルドルフだわ。」
お茶の準備をしていたヒルダはドキドキしながら玄関へ向かうとドアをカチャリと開けた。するとそこには帽子を被ったルドルフが立っていた。
「こんにちは、ヒルダ様。」
ルドルフは被っていた帽子を外しながらヒルダに挨拶をした。
「こ、こんにちは。ルドルフ。」
ヒルダはドキドキしながらも何とか平静を保ち、ルドルフを見上げた。カウベリーにいた頃のルドルフはヒルダとはあまり背丈の違いがなかったが、今のルドルフはあの頃よりもグンと背が伸びて、見上げる程になっている。
(ルドルフ・・本当に変わったわ・・こんなに背も伸びて・・。)
するとルドルフが言った。
「ヒルダ様、これが・・マドレーヌの家の洋菓子店で買ったケーキです。とても美しいケーキですよ。是非、カミラさんと食べて下さい。」
言いながらヒルダにケーキの入った箱を渡してきた。
「ありがとう・・・ルドルフ・・。」
(美しい・・?美味しそうじゃなくて・・?)
戸惑いながらもヒルダはケーキを受け取った。
「それじゃ、ヒルダ様・・僕はもう行きますね。」
ルドルフが再び帽子を被るのを目にしたヒルダは驚いた。
「え?ルドルフ・・・もう帰ってしまうの?もしかして何か用事でもあったの?」
「いいえ?特に用事はありませんけど・・・。」
「それなら上がってお茶でも飲んでいかない?今・・準備をしていたのだけど。」
「え?!」
ルドルフは驚いてヒルダを見た。
「あの・・ちょっと待って下さい。今・・この部屋にいるのはヒルダ様だけ・・なのですよね?」
「ええ、そうだけど・・?」
ヒルダは答える。
「あの、ヒルダ様・・・。」
誰もいない部屋に異性と2人きりになるのはあまりよくないとルドルフは言おうとしたけれども、当のヒルダはまるきりその事を気にしていないようだった。・・と言うか、その事がどういう事なのか気づいてはいないようであった。
(駄目だ・・逆に何か言えば変にヒルダ様を意識させてしまうかもしれない・・。)
「ルドルフ・・どうかしたの?」
ヒルダは不思議そうにルドルフを見つめている。
(そうだ・・僕から何も言わなければ・・ヒルダ様だって変に意識しないですむかもしれない。)
そう思ったルドルフは言った。
「い、いえ・・何でもありません・・。それでは・・上がらせて頂いてもよろしいですか?」
ルドルフの言葉にヒルダは頬を染めて笑顔を見せた。
「ええ、どうぞ。」
そしてヒルダはルドルフの前に立ち、足をひきずるようにリビングに向かって歩いて行く。その後ろを歩くルドルフはヒルダの左足を見つめた。
(ヒルダ様・・・やはり家の中でも冬場は・・・足が痛むのですね・・。)
ヒルダの足を引きずって歩く姿を見るたび、ルドルフの胸はズキズキ痛んだ。
グレースが死んでしまった今となっては、何故ヒルダに嫌がらせをして大怪我を負わせたのか・・今となっては分らない。
だからこそ、ルドルフは心に決めたのだ。必ず医大に入学し、医者となってヒルダの左足を完全に手術で治してみせると・・・。
「どうぞ、ルドルフ。ここが・・リビングなの。狭くてちょっと恥ずかしいけど・・・。」
ヒルダは申し訳なさそうに言い、ルドルフにソファを勧めた。
「そんな事無いですよ。とても部屋の中も綺麗だし・・家具も素敵です。部屋だって十分な広さだと思います。」
「ほ・・本当に・・・?あ、ありがとう。ルドルフ・・・。このお部屋はね・・・私とカミラで・・家具とか選んで自分達で選んだものなの・・。」
ヒルダはほんの少しルドルフが褒めるだけで嬉しそうに頬を染めて笑顔を見せてくれる。カウベリーに住んでいた頃のヒルダが戻って来てくれたようだった。
(ヒルダ様・・・僕達は・・カウベリーにいた頃の様に・・戻れますか・・?)
ルドルフは心の中でヒルダに問いかけるのだった―。
コンコン
ヒルダのアパートメントのドアがノックされた。
「あ、きっとルドルフだわ。」
お茶の準備をしていたヒルダはドキドキしながら玄関へ向かうとドアをカチャリと開けた。するとそこには帽子を被ったルドルフが立っていた。
「こんにちは、ヒルダ様。」
ルドルフは被っていた帽子を外しながらヒルダに挨拶をした。
「こ、こんにちは。ルドルフ。」
ヒルダはドキドキしながらも何とか平静を保ち、ルドルフを見上げた。カウベリーにいた頃のルドルフはヒルダとはあまり背丈の違いがなかったが、今のルドルフはあの頃よりもグンと背が伸びて、見上げる程になっている。
(ルドルフ・・本当に変わったわ・・こんなに背も伸びて・・。)
するとルドルフが言った。
「ヒルダ様、これが・・マドレーヌの家の洋菓子店で買ったケーキです。とても美しいケーキですよ。是非、カミラさんと食べて下さい。」
言いながらヒルダにケーキの入った箱を渡してきた。
「ありがとう・・・ルドルフ・・。」
(美しい・・?美味しそうじゃなくて・・?)
戸惑いながらもヒルダはケーキを受け取った。
「それじゃ、ヒルダ様・・僕はもう行きますね。」
ルドルフが再び帽子を被るのを目にしたヒルダは驚いた。
「え?ルドルフ・・・もう帰ってしまうの?もしかして何か用事でもあったの?」
「いいえ?特に用事はありませんけど・・・。」
「それなら上がってお茶でも飲んでいかない?今・・準備をしていたのだけど。」
「え?!」
ルドルフは驚いてヒルダを見た。
「あの・・ちょっと待って下さい。今・・この部屋にいるのはヒルダ様だけ・・なのですよね?」
「ええ、そうだけど・・?」
ヒルダは答える。
「あの、ヒルダ様・・・。」
誰もいない部屋に異性と2人きりになるのはあまりよくないとルドルフは言おうとしたけれども、当のヒルダはまるきりその事を気にしていないようだった。・・と言うか、その事がどういう事なのか気づいてはいないようであった。
(駄目だ・・逆に何か言えば変にヒルダ様を意識させてしまうかもしれない・・。)
「ルドルフ・・どうかしたの?」
ヒルダは不思議そうにルドルフを見つめている。
(そうだ・・僕から何も言わなければ・・ヒルダ様だって変に意識しないですむかもしれない。)
そう思ったルドルフは言った。
「い、いえ・・何でもありません・・。それでは・・上がらせて頂いてもよろしいですか?」
ルドルフの言葉にヒルダは頬を染めて笑顔を見せた。
「ええ、どうぞ。」
そしてヒルダはルドルフの前に立ち、足をひきずるようにリビングに向かって歩いて行く。その後ろを歩くルドルフはヒルダの左足を見つめた。
(ヒルダ様・・・やはり家の中でも冬場は・・・足が痛むのですね・・。)
ヒルダの足を引きずって歩く姿を見るたび、ルドルフの胸はズキズキ痛んだ。
グレースが死んでしまった今となっては、何故ヒルダに嫌がらせをして大怪我を負わせたのか・・今となっては分らない。
だからこそ、ルドルフは心に決めたのだ。必ず医大に入学し、医者となってヒルダの左足を完全に手術で治してみせると・・・。
「どうぞ、ルドルフ。ここが・・リビングなの。狭くてちょっと恥ずかしいけど・・・。」
ヒルダは申し訳なさそうに言い、ルドルフにソファを勧めた。
「そんな事無いですよ。とても部屋の中も綺麗だし・・家具も素敵です。部屋だって十分な広さだと思います。」
「ほ・・本当に・・・?あ、ありがとう。ルドルフ・・・。このお部屋はね・・・私とカミラで・・家具とか選んで自分達で選んだものなの・・。」
ヒルダはほんの少しルドルフが褒めるだけで嬉しそうに頬を染めて笑顔を見せてくれる。カウベリーに住んでいた頃のヒルダが戻って来てくれたようだった。
(ヒルダ様・・・僕達は・・カウベリーにいた頃の様に・・戻れますか・・?)
ルドルフは心の中でヒルダに問いかけるのだった―。
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