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第1章 6 目撃
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「へぇ~・・・ヒルダのお父さんの執事だなんて・・。やっぱりヒルダはお嬢様だったのね。」
「そうだね・・。」
ルドルフは曖昧に答えた。
「そう言えば、ルドルフ。冬期休暇はまだ1カ月以上あるのに随分早く里帰りを終わらせてきたのね。・・ひょっとしてクリスマスがあるからこっちに戻ってきたの?何と言ってもやっぱりクリスマスは誰だって恋人と過ごしたいものね~・・。」
マドレーヌはルドルフに探りを入れながら話しかけてきた。
「そ、そんな・・・恋人だなんて・・。」
(そうさ・・僕とヒルダ様は・・・。)
「でも・・残念だったわね。ルドルフ。」
「え?なにが・・・?」
マドレーヌの言葉にルドルフは首を傾げた。
「クリスマスの夜はね・・・私達、ヒルダも含めてフランシスの両親が経営しているレストランでクリスマスパーティーを開くので招待されているのよ。だからこの日は特別に私も自分の家のお店のお手伝いを免除させて貰ったの。」
「え・・・?フランシス・・?」
(誰だろう・・・フランシスって・・・。)
ルドルフは転校生で、しかもフランシスとはクラスが違う。当然彼の事を知る由も無かった。ルドルフの首を傾げる素振りに気付いたマドレーヌは言う。
「あ・・そっか。ルドルフはフランシスとはクラスが違うから知らなかったわよね?彼はね、1年生の時にヒルダと同じクラスメイトだったのよ。しかも凄い偶然でヒルダのお姉さんのカミラさんは彼の家でシッター兼家政婦の仕事をしているのよ?」
「え?そ・・そうだったの?」
(そんな・・・僕の知らない事だらけだ・・・。やっぱり僕とヒルダ様は学校で殆ど交流してこなかったから・・・。)
ルドルフが少しだけ項垂れて歩く様子を見てマドレーヌは思った。
(これじゃ、まだまだ2人が恋人同士になるには当分時間がかかりそうね・・。少し煽っておいた方がいいかしら?)
ヒルダの事が好きなマドレーヌはヒルダとルドルフが恋人同士になってくれればと願っていたからだ。
「そう言えばね~・・・・フランシスってばヒルダの事を好きなのよ。」
「え?」
「いつかそのうちヒルダに告白するかもね~・・・。」
(そんな話は聞いたこと無いけどね・・・。)
「そ、そうなんだ・・・。」
ルドルフは何とか返事をしたものの、内心酷く動揺していた。その時・・。
「着いたわ、ルドルフ。ここが私の家であり・・両親が経営する洋菓子店よ。」
言われたルドルフはその店を見た。その店は3階建ての立派なビルで・・店内には多くの客でにぎわっている様子が見えた。
「すごく大きな店だね・・。しかもお客さんも沢山いるし・・。」
「ええ、そうなの。あ、もしよければお店に寄らない?クリスマス限定のお菓子も売っているのよ?」
マドレーヌが店のドアを開きながら言う。
(どうせここまで来たついでだし・・店の商品を見るのもいいかな?)
そう思ったルドルフはマドレーヌに返事をした。
「うん。そうだね。それじゃ寄らせてもらうよ。」
そして2人は店の中へと入って行った。
一方、その頃ヒルダは買い物袋を手に提げて足を引きずりながらアパートメントを目指して歩いていた。そしてふと前方にマドレーヌとルドルフが2人で店に入る姿を偶然目撃してしまった。
(え・・?あ、あれは・・・マドレーヌとルドルフ・・・!ど、どうしてルドルフがここにいるの・・?彼はまだカウベリーにいるかと思っていたのに・・。それにどうして2人で一緒にお店に・・・。)
ヒルダは2人が入って行った店を目指し・・・足を止めた。そこはマドレーヌの家だったからだ。
(そうだったわ・・このお店は確かマドレーヌのご両親の経営するお店・・。だから2人は一緒に・・。)
「ルドルフ・・・。ひょっとすると・・マドレーヌとお付き合いを始めていたのかしら・・?」
ヒルダはポツリと寂し気に呟いた―。
「そうだね・・。」
ルドルフは曖昧に答えた。
「そう言えば、ルドルフ。冬期休暇はまだ1カ月以上あるのに随分早く里帰りを終わらせてきたのね。・・ひょっとしてクリスマスがあるからこっちに戻ってきたの?何と言ってもやっぱりクリスマスは誰だって恋人と過ごしたいものね~・・。」
マドレーヌはルドルフに探りを入れながら話しかけてきた。
「そ、そんな・・・恋人だなんて・・。」
(そうさ・・僕とヒルダ様は・・・。)
「でも・・残念だったわね。ルドルフ。」
「え?なにが・・・?」
マドレーヌの言葉にルドルフは首を傾げた。
「クリスマスの夜はね・・・私達、ヒルダも含めてフランシスの両親が経営しているレストランでクリスマスパーティーを開くので招待されているのよ。だからこの日は特別に私も自分の家のお店のお手伝いを免除させて貰ったの。」
「え・・・?フランシス・・?」
(誰だろう・・・フランシスって・・・。)
ルドルフは転校生で、しかもフランシスとはクラスが違う。当然彼の事を知る由も無かった。ルドルフの首を傾げる素振りに気付いたマドレーヌは言う。
「あ・・そっか。ルドルフはフランシスとはクラスが違うから知らなかったわよね?彼はね、1年生の時にヒルダと同じクラスメイトだったのよ。しかも凄い偶然でヒルダのお姉さんのカミラさんは彼の家でシッター兼家政婦の仕事をしているのよ?」
「え?そ・・そうだったの?」
(そんな・・・僕の知らない事だらけだ・・・。やっぱり僕とヒルダ様は学校で殆ど交流してこなかったから・・・。)
ルドルフが少しだけ項垂れて歩く様子を見てマドレーヌは思った。
(これじゃ、まだまだ2人が恋人同士になるには当分時間がかかりそうね・・。少し煽っておいた方がいいかしら?)
ヒルダの事が好きなマドレーヌはヒルダとルドルフが恋人同士になってくれればと願っていたからだ。
「そう言えばね~・・・・フランシスってばヒルダの事を好きなのよ。」
「え?」
「いつかそのうちヒルダに告白するかもね~・・・。」
(そんな話は聞いたこと無いけどね・・・。)
「そ、そうなんだ・・・。」
ルドルフは何とか返事をしたものの、内心酷く動揺していた。その時・・。
「着いたわ、ルドルフ。ここが私の家であり・・両親が経営する洋菓子店よ。」
言われたルドルフはその店を見た。その店は3階建ての立派なビルで・・店内には多くの客でにぎわっている様子が見えた。
「すごく大きな店だね・・。しかもお客さんも沢山いるし・・。」
「ええ、そうなの。あ、もしよければお店に寄らない?クリスマス限定のお菓子も売っているのよ?」
マドレーヌが店のドアを開きながら言う。
(どうせここまで来たついでだし・・店の商品を見るのもいいかな?)
そう思ったルドルフはマドレーヌに返事をした。
「うん。そうだね。それじゃ寄らせてもらうよ。」
そして2人は店の中へと入って行った。
一方、その頃ヒルダは買い物袋を手に提げて足を引きずりながらアパートメントを目指して歩いていた。そしてふと前方にマドレーヌとルドルフが2人で店に入る姿を偶然目撃してしまった。
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ヒルダは2人が入って行った店を目指し・・・足を止めた。そこはマドレーヌの家だったからだ。
(そうだったわ・・このお店は確かマドレーヌのご両親の経営するお店・・。だから2人は一緒に・・。)
「ルドルフ・・・。ひょっとすると・・マドレーヌとお付き合いを始めていたのかしら・・?」
ヒルダはポツリと寂し気に呟いた―。
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