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第11章 14 イワンの死がもたらしたもの
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「一体何があったんだ?ルドルフ。顔色が真っ青だぞ?それに・・マルコの様子も尋常じゃなかったし・・・。」
ドアを開けてルドルフを自室に招き入れるとすぐにエドガーは尋ね、じっとルドルフの様子を観察した。ルドルフの様相は酷いありさまだった。髪は乱れ、青ざめた顔は見るからに憔悴しきっていた。
「エ・・・エドガー様・・・実は・・・。」
声を震わせるルドルフにエドガーは目の前のソファを勧めた。
「ルドルフ・・とりあえず、座れ。話はそれからだ。」
「わ・・分かりました。失礼します。」
ルドルフはエドガーの許可を得ると、ソファに座った。
「それで?一体何があった?」
「は、はい・・・。実は今朝・・カウベリー駅で9時出初予定の始発の折り返し運転の列車に僕の親友だったイワンが飛び込んで・・死んでしまったそうです・・っ!」
ルドルフは最後の方は叫ぶような声で言った。
「な・・何だってっ?!お、おい・・確かイワンていうのは・・・?」
「は、はい・・ハリス様に手紙を書いて出した・・あのイワンです・・。」
「な・・・何て事だ・・・。」
エドガーは頭を抱えてしまった。イワンは数少ないあの教会の焼け落ちた火事の証人である。近い内にエドガーはルドルフを伴ってイワンを訪ねてみようと密かに考えていた。
「う・・・うう・・イ、イワン・・。ひょっとして僕のせいなのかも・・・彼が自殺したのは・・。」
嗚咽するルドルフにエドガーは叫ぶように言った。
「違うっ!そんな事あるはずはないっ!」
エドガーは自分でも驚くくらい、大きな声をあげてしまった。その証拠にルドルフは驚いたようにエドガーを見ている。
「エ・・エドガー様・・・?」
「あ・・す、すまない。ルドルフ・・・つい、興奮して大きな声をあげてしまって・・。悪かったな・・驚かせてしまって。」
エドガーは溜息をつくと言った。
「いえ・・。」
ルドルフは俯き、ギュッと膝の上で手を握り締めた。その身体は・・小刻みに震えていた。そんな様子のルドルフを見てエドガーは静かに言った。
「ルドルフ・・・。これはあくまで俺の勘でしかないが・・ひょっとするとグレースとイワンの間で何かあったんじゃないだろうか?」
「ええ・・僕もそれを考えていました・・。」
(そうだ・・。あのイワンが突然自殺するなんて・・絶対にそこには何か理由があるはずなんだ・・!)
「・・出掛けよう。すぐに。」
ソファからエドガーは立ち上がると言った。
「え?出かけるって・・まさか・・!」
「ああ、そうだ。今すぐにグレースの処へ行こう。」
「は、はい。」
ルドルフも立ち上がったその時、突然ノックの音が聞こえた。
「エドガー、いいか?私だ。ハリスだ。」
「え?父上?!」
エドガーは慌てて扉に向かい、ガチャリと開けるとそこにはコートを着たハリスとその背後にはマルコが立っていた。ルドルフも慌てて扉へと向かう。
「え・・?父上・・どこかへ出かけられるのですか?」
「ああ、エドガー。ルドルフがここに来ていると言う事はお前も今朝の列車の飛び込み事故の事を聞いているのだろう?」
「はい、ルドルフから聞きました。」
「そうか・・・私はこれからすぐにマルコと一緒に『カウベリー』駅へ行く。警察も大勢駅に到着しているらしいのだ。それに・・あの少年からは手紙を貰っていたしな・・。」
ハリスはイワンから受け取った手紙を懐から取り出すと、じっと見つめる。
「この手紙には・・死んで詫びたいと書いてあった・・。どこかまだ幼さのある文面だが・・・私はこの手紙の中に少年の激しい後悔と懺悔の気持ちで苦しむさまを感じずにはいられないんだ・・何が彼を・・死ぬまで追い詰めたのか・・知りたいのだよ。」
ハリスはエドガーとルドルフを交互に見つめながら言った―。
ドアを開けてルドルフを自室に招き入れるとすぐにエドガーは尋ね、じっとルドルフの様子を観察した。ルドルフの様相は酷いありさまだった。髪は乱れ、青ざめた顔は見るからに憔悴しきっていた。
「エ・・・エドガー様・・・実は・・・。」
声を震わせるルドルフにエドガーは目の前のソファを勧めた。
「ルドルフ・・とりあえず、座れ。話はそれからだ。」
「わ・・分かりました。失礼します。」
ルドルフはエドガーの許可を得ると、ソファに座った。
「それで?一体何があった?」
「は、はい・・・。実は今朝・・カウベリー駅で9時出初予定の始発の折り返し運転の列車に僕の親友だったイワンが飛び込んで・・死んでしまったそうです・・っ!」
ルドルフは最後の方は叫ぶような声で言った。
「な・・何だってっ?!お、おい・・確かイワンていうのは・・・?」
「は、はい・・ハリス様に手紙を書いて出した・・あのイワンです・・。」
「な・・・何て事だ・・・。」
エドガーは頭を抱えてしまった。イワンは数少ないあの教会の焼け落ちた火事の証人である。近い内にエドガーはルドルフを伴ってイワンを訪ねてみようと密かに考えていた。
「う・・・うう・・イ、イワン・・。ひょっとして僕のせいなのかも・・・彼が自殺したのは・・。」
嗚咽するルドルフにエドガーは叫ぶように言った。
「違うっ!そんな事あるはずはないっ!」
エドガーは自分でも驚くくらい、大きな声をあげてしまった。その証拠にルドルフは驚いたようにエドガーを見ている。
「エ・・エドガー様・・・?」
「あ・・す、すまない。ルドルフ・・・つい、興奮して大きな声をあげてしまって・・。悪かったな・・驚かせてしまって。」
エドガーは溜息をつくと言った。
「いえ・・。」
ルドルフは俯き、ギュッと膝の上で手を握り締めた。その身体は・・小刻みに震えていた。そんな様子のルドルフを見てエドガーは静かに言った。
「ルドルフ・・・。これはあくまで俺の勘でしかないが・・ひょっとするとグレースとイワンの間で何かあったんじゃないだろうか?」
「ええ・・僕もそれを考えていました・・。」
(そうだ・・。あのイワンが突然自殺するなんて・・絶対にそこには何か理由があるはずなんだ・・!)
「・・出掛けよう。すぐに。」
ソファからエドガーは立ち上がると言った。
「え?出かけるって・・まさか・・!」
「ああ、そうだ。今すぐにグレースの処へ行こう。」
「は、はい。」
ルドルフも立ち上がったその時、突然ノックの音が聞こえた。
「エドガー、いいか?私だ。ハリスだ。」
「え?父上?!」
エドガーは慌てて扉に向かい、ガチャリと開けるとそこにはコートを着たハリスとその背後にはマルコが立っていた。ルドルフも慌てて扉へと向かう。
「え・・?父上・・どこかへ出かけられるのですか?」
「ああ、エドガー。ルドルフがここに来ていると言う事はお前も今朝の列車の飛び込み事故の事を聞いているのだろう?」
「はい、ルドルフから聞きました。」
「そうか・・・私はこれからすぐにマルコと一緒に『カウベリー』駅へ行く。警察も大勢駅に到着しているらしいのだ。それに・・あの少年からは手紙を貰っていたしな・・。」
ハリスはイワンから受け取った手紙を懐から取り出すと、じっと見つめる。
「この手紙には・・死んで詫びたいと書いてあった・・。どこかまだ幼さのある文面だが・・・私はこの手紙の中に少年の激しい後悔と懺悔の気持ちで苦しむさまを感じずにはいられないんだ・・何が彼を・・死ぬまで追い詰めたのか・・知りたいのだよ。」
ハリスはエドガーとルドルフを交互に見つめながら言った―。
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