221 / 566
第10章 4 追及
しおりを挟む
「証拠・・・証拠だって・・?!グレース、君はヒルダ様が今置かれている状況を知りながらそんな事を言っているのか?」
ルドルフはとうとう我慢が出来ずに椅子から立ち上ると言った。
「そ、そうでしょう?貴方達の言ってることは・・全て憶測じゃないの!酷いわ!証拠も無いのにそんな私を責める事ばかり言って・・・!」
グレースには自信があった。すでにあの火災事件から2年も経過している。教会の建物はすでに取り壊されていて今は更地になっているのだ。
(そうよ・・証拠を探すにも・・遅すぎるのよ!もっとも・・あの教会が取り壊されるまでは・・生きた心地はしなかったけど・・コリンやノラ、そしてイワンには口止めをしてある。私が犯人なんて分かるはず無いんだから!)
しかし、ルドルフはそれでもグレースに訴える。
「グレース・・・君には良心と言うものが無いのか?ヒルダ様の落馬事件だって・・・本当はグレース・・君の仕業だろう?!」
(え?!な、何故そのことをルドルフが知ってるの・・・?!)
その言葉を聞いた時、一瞬グレースの顔の表情が変わったのをエドガーは見逃さなかった。一方、興奮していたルドルフはその事に気づいていない。
「ひ、酷いわ・・・。だって、あれはヒルダが乗っていた馬が突然暴れて走り出して、ヒルダが馬から振り落とされたんでしょう?どうして私が関係しているのよ。大体・・私はその場にいなかったもの!」
グレースは涙を浮かべてルドルフに訴える。しかし、ルドルフはグレースの目に浮かぶ涙を見て心底ぞっとした。自分が犯人なのに平気で嘘をつく目の前のグレースが信じられなかった。
(これでは・・やっぱりグレースがヒルダ様に僕とグレースは恋人同士だと訴えられれば信じてしまうかもしれない・・・。やっぱりヒルダ様はグレースに騙されたんだ・・!何て・・・何て酷い人間なんだっ!)
しかし、グレースはルドルフの心の動きを別の意味で捕らえていた。
(フフフ・・・ルドルフ・・困った顔をしているわ。私を責めていることに罪悪感を感じてきたのかしら・・・。)
しかし、そこで今まで黙って様子をうかがっていたエドガーが口を開いた。
「グレース・・・どうして君はヒルダが乗っていた馬が突然暴れて走り出した挙句、馬から振り落とされた話を知ってるんだ?」
「え・・・?」
「ヒルダがどういう状況で馬から落馬したかなんて・・・その場に居合わせていなければ分からない話だろう?現に・・・ヒルダの落馬事故は知られていても、どういう状況だったかはあまり詳しく語られていない。ましてや君は当時は貴族じゃなかった・・社交界の話に詳しくなければ知りえない事実だ。そこまで詳しく状況を知っていると言う事は・・・本当はあの時、あの会場にいたからじゃないのか?」
「そ、それは・・・ひ・人から聞いたのよ!」
「人?誰に?」
エドガーは何処までも冷静にグレースを追い詰めている。一方グレースはエドガーの追及に焦りを感じていた。
(ど、どうしよう・・・誰になんて聞かれても・・答えられるはずないじゃない!)
そんな2人の様子を見つめていたルドルフはエドガーが徐々にグレースを追い詰めている姿を只々感心して見ていた。
(すごい・・・さすがはハリス様が認めた人物だけある・・。)
エドガーはグレースの焦りがピークに達しているのを見て、鎌をかけてみる事にした。
「実はね・・・最近、俺はヒルダの落馬事件に怪しい点があると思って、色々調べ始めていたところなんだ。それで当時の関係者に話を聞いて回っている内に、あの会場に少年少女たちがいたという話を聞いたんだよ。彼らはヒルダの落馬事件を目撃して慌てて逃げて行ったらしいんだけどね・・・。」
「!!」
その話を聞いた時、グレースは薄暗い部屋の中でもはっきりわかるくらいに顔色が変わった。そして身体は小刻みに震えている。その姿を見た時にエドガーは確証を得た。
(あれほど動揺する姿を見せるなんて・・・ヒルダの落馬事故も・・・火事の原因を作ったのも・・・犯人はグレースで間違いない・・・。)
グレースは唇をかみしめ、ブルブル震えていたが・・・・。
「出て行って・・・。早く出て行って!!そ、そこまで何もかも私のせいにするなんて・・!ちゃんとした証拠を持ってきなさいよ!落馬事故も!教会が焼けた事件も!私がやったって言う証拠が揃ったら・・・そしたら・・認めてやるわよっ!」
グレースは相手が伯爵家で時期領主になるエドガーだと言うのに、ヒステリックに乱暴な口調で怒鳴りつけた。
「グレースッ!君は・・仮にも・・・エドガー様に何て口を聞くんだっ?!」
ルドルフはグレースのエドガーに対する態度が我慢出来なかった。
「いい、大丈夫だ。ルドルフ。」
しかしエドガーは穏やかに言う。そして次に背中を向けて震えているグレースに声を掛けた。
「グレース。また来るよ・・・今度は言い逃れ出来ないような物的証拠を揃えてね。」
「・・・・。」
しかし、グレースは何も答えない。エドガーは溜息をつくと言った。
「帰るぞ、ルドルフ。」
「あ・・は、はい・・・。」
そしてエドガーとルドルフはグレースの部屋を出た―。
ルドルフはとうとう我慢が出来ずに椅子から立ち上ると言った。
「そ、そうでしょう?貴方達の言ってることは・・全て憶測じゃないの!酷いわ!証拠も無いのにそんな私を責める事ばかり言って・・・!」
グレースには自信があった。すでにあの火災事件から2年も経過している。教会の建物はすでに取り壊されていて今は更地になっているのだ。
(そうよ・・証拠を探すにも・・遅すぎるのよ!もっとも・・あの教会が取り壊されるまでは・・生きた心地はしなかったけど・・コリンやノラ、そしてイワンには口止めをしてある。私が犯人なんて分かるはず無いんだから!)
しかし、ルドルフはそれでもグレースに訴える。
「グレース・・・君には良心と言うものが無いのか?ヒルダ様の落馬事件だって・・・本当はグレース・・君の仕業だろう?!」
(え?!な、何故そのことをルドルフが知ってるの・・・?!)
その言葉を聞いた時、一瞬グレースの顔の表情が変わったのをエドガーは見逃さなかった。一方、興奮していたルドルフはその事に気づいていない。
「ひ、酷いわ・・・。だって、あれはヒルダが乗っていた馬が突然暴れて走り出して、ヒルダが馬から振り落とされたんでしょう?どうして私が関係しているのよ。大体・・私はその場にいなかったもの!」
グレースは涙を浮かべてルドルフに訴える。しかし、ルドルフはグレースの目に浮かぶ涙を見て心底ぞっとした。自分が犯人なのに平気で嘘をつく目の前のグレースが信じられなかった。
(これでは・・やっぱりグレースがヒルダ様に僕とグレースは恋人同士だと訴えられれば信じてしまうかもしれない・・・。やっぱりヒルダ様はグレースに騙されたんだ・・!何て・・・何て酷い人間なんだっ!)
しかし、グレースはルドルフの心の動きを別の意味で捕らえていた。
(フフフ・・・ルドルフ・・困った顔をしているわ。私を責めていることに罪悪感を感じてきたのかしら・・・。)
しかし、そこで今まで黙って様子をうかがっていたエドガーが口を開いた。
「グレース・・・どうして君はヒルダが乗っていた馬が突然暴れて走り出した挙句、馬から振り落とされた話を知ってるんだ?」
「え・・・?」
「ヒルダがどういう状況で馬から落馬したかなんて・・・その場に居合わせていなければ分からない話だろう?現に・・・ヒルダの落馬事故は知られていても、どういう状況だったかはあまり詳しく語られていない。ましてや君は当時は貴族じゃなかった・・社交界の話に詳しくなければ知りえない事実だ。そこまで詳しく状況を知っていると言う事は・・・本当はあの時、あの会場にいたからじゃないのか?」
「そ、それは・・・ひ・人から聞いたのよ!」
「人?誰に?」
エドガーは何処までも冷静にグレースを追い詰めている。一方グレースはエドガーの追及に焦りを感じていた。
(ど、どうしよう・・・誰になんて聞かれても・・答えられるはずないじゃない!)
そんな2人の様子を見つめていたルドルフはエドガーが徐々にグレースを追い詰めている姿を只々感心して見ていた。
(すごい・・・さすがはハリス様が認めた人物だけある・・。)
エドガーはグレースの焦りがピークに達しているのを見て、鎌をかけてみる事にした。
「実はね・・・最近、俺はヒルダの落馬事件に怪しい点があると思って、色々調べ始めていたところなんだ。それで当時の関係者に話を聞いて回っている内に、あの会場に少年少女たちがいたという話を聞いたんだよ。彼らはヒルダの落馬事件を目撃して慌てて逃げて行ったらしいんだけどね・・・。」
「!!」
その話を聞いた時、グレースは薄暗い部屋の中でもはっきりわかるくらいに顔色が変わった。そして身体は小刻みに震えている。その姿を見た時にエドガーは確証を得た。
(あれほど動揺する姿を見せるなんて・・・ヒルダの落馬事故も・・・火事の原因を作ったのも・・・犯人はグレースで間違いない・・・。)
グレースは唇をかみしめ、ブルブル震えていたが・・・・。
「出て行って・・・。早く出て行って!!そ、そこまで何もかも私のせいにするなんて・・!ちゃんとした証拠を持ってきなさいよ!落馬事故も!教会が焼けた事件も!私がやったって言う証拠が揃ったら・・・そしたら・・認めてやるわよっ!」
グレースは相手が伯爵家で時期領主になるエドガーだと言うのに、ヒステリックに乱暴な口調で怒鳴りつけた。
「グレースッ!君は・・仮にも・・・エドガー様に何て口を聞くんだっ?!」
ルドルフはグレースのエドガーに対する態度が我慢出来なかった。
「いい、大丈夫だ。ルドルフ。」
しかしエドガーは穏やかに言う。そして次に背中を向けて震えているグレースに声を掛けた。
「グレース。また来るよ・・・今度は言い逃れ出来ないような物的証拠を揃えてね。」
「・・・・。」
しかし、グレースは何も答えない。エドガーは溜息をつくと言った。
「帰るぞ、ルドルフ。」
「あ・・は、はい・・・。」
そしてエドガーとルドルフはグレースの部屋を出た―。
2
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。
そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、
死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。
「でも、子供たちの心だけは、
必ず取り戻す」
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。
それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。
これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
【完結】王妃を廃した、その後は……
かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。
地位や名誉……権力でさえ。
否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。
望んだものは、ただ一つ。
――あの人からの愛。
ただ、それだけだったというのに……。
「ラウラ! お前を廃妃とする!」
国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。
隣には妹のパウラ。
お腹には子どもが居ると言う。
何一つ持たず王城から追い出された私は……
静かな海へと身を沈める。
唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは……
そしてパウラは……
最期に笑うのは……?
それとも……救いは誰の手にもないのか
***************************
こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる