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第9章 8 ルドルフの帰郷 8
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ここはエドガーの書斎―
今、エドガーとルドルフは長テーブルを挟み、向かい合わせでソファに座っている。部屋の中は静まり返り、時折暖炉の薪がパチパチと燃える音が聞こえてくる。
「・・・・。」
エドガーはルドルフから預かった手紙を真剣に読んでいたが、やがて顔を上げた。
「これが・・・ルドルフの友人から父に届けられた手紙・・なのか?」
エドガーはイワンからの手紙を読むとテーブルの上に置いた。
「はい、そうです。ハリス様宛に昨日届いたそうです。」
エドガーはテーブルの上に置いてある封筒に手を伸ばすと言った。
「封筒に消印が無い・・・と言う事は、直にポストに届けられたかもしれないな・・。」
「ええ、僕も・・そう思います。」
ルドルフは神妙な面持ちで返事をした。
「それにしても・・謎の文章だ・・・。一体彼は何が言いたいのだろう・・?イワンと言うのはどういう人物だった?」
「彼は・・・人が良いところがあって・・すぐに誰かの言いなりになって動くようなタイプ・・・でした。でも・・音は悪い少年ではありませんでした。」
「『僕の犯した罪』とは何だ?それにルドルフを見て思い出した・・・とも言ってたし・・。それを父に謝罪してくるなんて・・・。」
「ハリス様は全くイワンとは面識がありません。となると・・・。」
「ひょっとすると・・・ヒルダに関して・・か・・?」
エドガーの目が鋭くなった。
「はい、僕も・・・そう思います。」
「ルドルフ・・・ヒルダの環境が大きく変わってしまった事件があるだろう?」
「はい、ヒルダ様の・・・落馬事故と・・・そして教会の火事の焼失事件です。」
「落馬事故は何が原因だったんだ?」
「馬が突然暴れ出して・・ヒルダ様を乗せたまま走り出してしまったんです。そして突然馬が背中を大きくそらせて・・ヒルダ様は落馬してしまいました・・。運悪くそこには大きな石があって・・ヒルダ様はあんな大けがを・・。僕が傍についていながら・・・。」
ルドルフの声は涙声だった。
「何故、馬は突然暴れ出したんだ?」
「それが、後で分ったのですがヒルダ様が馬に乗って待機していた場所に蜂の巣が落ちていたんです。」
「蜂の巣が?」
「ええ・・なのでひょっとすると落ちてきた蜂の巣から蜂が飛び出して・・・馬に襲い掛かったのではと言われています。現にあそこで何人か刺されたみたいです。」
「ルドルフ・・・蜂の巣と言うものは・・簡単に落ちると思うか?まして・・古くなってしまった巣ならともかく・・・成虫が住んでいる巣が・・。」
「え?」
(そうだ・・・よくよく考えてみると蜂の巣が自然に落ちるなんて事・・あるだろうか・・?)
ルドルフは考えた。
「ルドルフ・・・誰かが蜂の巣を意図的に落とした・・・とは考えたことはあるか?ヒルダに嫌がらせをする為に・・・。」
エドガーの言葉にルドルフは言った。
「まさか・・・何故ヒルダ様が嫌がらせを・・・。」
そこまで言いかけてルドルフは口を閉ざした。
(まさか・・・グレース・・?)
ルドルフの脳裏にある記憶が蘇った。ルドルフが風邪を引いた時、ヒルダはバスケットに差し入れの食べ物を用意して持ってきてくれたが、グレースがいた為に帰った事・・しかし、バスケットは無くなっていた。
「どうしたんだ?ルドルフ。何か気付いたことがあるなら話してくれ。」
エドガーは真剣な目でルドルフを見る。
「エドガー様・・・。」
(そうだ、エドガー様はヒルダ様の見方だ・・・。きちんと説明をした方がいいに決まっている・・。)
「実は・・・。」
ルドルフはグレースの話をすると、エドガーの顔色が変わった。
「その話・・・本当か?」
「は、はい・・・。」
「確かに怪しいな・・。それじゃルドルフ、次は教会の話をしてくれるか?」
「僕も・・・その話はあまり詳しくは知らないのですが・・実はヒルダ様はグレースにあの教会に呼び出されたらしいんです。ヒルダ様とグレースを乗せた御者の方の証言があります。そこの教会には・・イワンとコリン、ノラがいたそうです・・。」
「何だって・・・?!」
エドガーが驚いたようにルドルフを見つめた―。
今、エドガーとルドルフは長テーブルを挟み、向かい合わせでソファに座っている。部屋の中は静まり返り、時折暖炉の薪がパチパチと燃える音が聞こえてくる。
「・・・・。」
エドガーはルドルフから預かった手紙を真剣に読んでいたが、やがて顔を上げた。
「これが・・・ルドルフの友人から父に届けられた手紙・・なのか?」
エドガーはイワンからの手紙を読むとテーブルの上に置いた。
「はい、そうです。ハリス様宛に昨日届いたそうです。」
エドガーはテーブルの上に置いてある封筒に手を伸ばすと言った。
「封筒に消印が無い・・・と言う事は、直にポストに届けられたかもしれないな・・。」
「ええ、僕も・・そう思います。」
ルドルフは神妙な面持ちで返事をした。
「それにしても・・謎の文章だ・・・。一体彼は何が言いたいのだろう・・?イワンと言うのはどういう人物だった?」
「彼は・・・人が良いところがあって・・すぐに誰かの言いなりになって動くようなタイプ・・・でした。でも・・音は悪い少年ではありませんでした。」
「『僕の犯した罪』とは何だ?それにルドルフを見て思い出した・・・とも言ってたし・・。それを父に謝罪してくるなんて・・・。」
「ハリス様は全くイワンとは面識がありません。となると・・・。」
「ひょっとすると・・・ヒルダに関して・・か・・?」
エドガーの目が鋭くなった。
「はい、僕も・・・そう思います。」
「ルドルフ・・・ヒルダの環境が大きく変わってしまった事件があるだろう?」
「はい、ヒルダ様の・・・落馬事故と・・・そして教会の火事の焼失事件です。」
「落馬事故は何が原因だったんだ?」
「馬が突然暴れ出して・・ヒルダ様を乗せたまま走り出してしまったんです。そして突然馬が背中を大きくそらせて・・ヒルダ様は落馬してしまいました・・。運悪くそこには大きな石があって・・ヒルダ様はあんな大けがを・・。僕が傍についていながら・・・。」
ルドルフの声は涙声だった。
「何故、馬は突然暴れ出したんだ?」
「それが、後で分ったのですがヒルダ様が馬に乗って待機していた場所に蜂の巣が落ちていたんです。」
「蜂の巣が?」
「ええ・・なのでひょっとすると落ちてきた蜂の巣から蜂が飛び出して・・・馬に襲い掛かったのではと言われています。現にあそこで何人か刺されたみたいです。」
「ルドルフ・・・蜂の巣と言うものは・・簡単に落ちると思うか?まして・・古くなってしまった巣ならともかく・・・成虫が住んでいる巣が・・。」
「え?」
(そうだ・・・よくよく考えてみると蜂の巣が自然に落ちるなんて事・・あるだろうか・・?)
ルドルフは考えた。
「ルドルフ・・・誰かが蜂の巣を意図的に落とした・・・とは考えたことはあるか?ヒルダに嫌がらせをする為に・・・。」
エドガーの言葉にルドルフは言った。
「まさか・・・何故ヒルダ様が嫌がらせを・・・。」
そこまで言いかけてルドルフは口を閉ざした。
(まさか・・・グレース・・?)
ルドルフの脳裏にある記憶が蘇った。ルドルフが風邪を引いた時、ヒルダはバスケットに差し入れの食べ物を用意して持ってきてくれたが、グレースがいた為に帰った事・・しかし、バスケットは無くなっていた。
「どうしたんだ?ルドルフ。何か気付いたことがあるなら話してくれ。」
エドガーは真剣な目でルドルフを見る。
「エドガー様・・・。」
(そうだ、エドガー様はヒルダ様の見方だ・・・。きちんと説明をした方がいいに決まっている・・。)
「実は・・・。」
ルドルフはグレースの話をすると、エドガーの顔色が変わった。
「その話・・・本当か?」
「は、はい・・・。」
「確かに怪しいな・・。それじゃルドルフ、次は教会の話をしてくれるか?」
「僕も・・・その話はあまり詳しくは知らないのですが・・実はヒルダ様はグレースにあの教会に呼び出されたらしいんです。ヒルダ様とグレースを乗せた御者の方の証言があります。そこの教会には・・イワンとコリン、ノラがいたそうです・・。」
「何だって・・・?!」
エドガーが驚いたようにルドルフを見つめた―。
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