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第7章 12 オリエンテーリング ⑩
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翌朝―セロニア学園高等学校2年生200名が宿泊所前に集められた。全員スクール指定のトレーニングウェアに運動靴を履いている。そして背中にナップザックに水筒、腕時計、コンパス、地図、雨合羽に携帯用食品として板チョコレートを持っている。
「では。これからオリエンテーリングを開始する。事前に説明したと思うが、今回のオリエンテーリングは大会形式で2人ペアで全員同時にスタートするからな。ペアになった者同士でどの道順で1番目のコントロールへ行くかをよく考えて、タイムを競いあうのだ。それでは全員スタート地点に並びなさいっ!」
学年主任の男性教諭が声を張り上げて学生達に説明を始めた。今日のヒルダは長い髪が邪魔にならないように後ろで一本にまとめている。
そんなヒルダに隣で並んでいたマイクは言う。
「大丈夫だよ、ヒルダ。僕達は一般生徒たちよりも回る場所が少ないんだ。それに事前に何所を進めば良いか決めてあるからヒルダはただ僕について来てくれればいいからね。」
そしてヒルダの小さな右手を握りしめてきた。
「・・・マイク、手を離してくれる・・・。繋がれていると歩きにくいから。」
帽子を目深に被ったヒルダがマイクに視線を合わせないように言うと、マイクの手を振り払った。そしてさり気なくマイクから距離を置く。
「分ったよ・・。ヒルダ。でもね、道が危ないところは僕が君をおんぶしてあげるから心配する事はないよ。」
「・・・大丈夫よ。どんな道も・・1人で歩くから。」
何所までもそっけない態度のヒルダにマイクは苛立ってきた。そしてヒルダの耳元で言う。
「ねえ・・・ヒルダ。君のペアは僕なんだ。それに僕がコースを決めているんだから・・僕の言う事を聞いておいた方が君の為だよ?」
「!」
一瞬ヒルダの目に怯えが走るのをマイクは見逃さなかった。
(そうだよ・・・君はもう僕の手の内なんだから・・。絶対にヒルダを服従させてやるんだ・・・。)
いつしか心の中でマイクは恐ろしいことを考えていた―。
「位置についてヨーイ」
ピーッ!!
スタートの笛が山林に響き渡り、生徒たちが一斉にスタートした。全員がペアになった者同士、地図を見ながら走り始めた。
「ヒルダ、僕たちは焦る必要は無いからね。ゆっくり行こう。」
マイクはヒルダに笑顔を向けるが、ずっとヒルダの表情は硬いままで、口を開こうとしない。
(何だよ・・!ようやく誰にも邪魔される事無く2人きりになれたって言うのに・・・!)
マイクにはある計画があった。マイクが選んだコースの一部にはヒルダの足では進むのが困難なポイントがいくつかあった。なのでここはマイクがヒルダを背負い、男らしい頼りになれる自分をアピールするつもりでいたのだ。
(いいさ。ヒルダ・・・強気でいられるのも今の内なんだからな・・。きっと君は僕に助けを求めるはずだ・・・。)
ヒルダはまさかマイクがそんな事を心の中で考えているとは夢にも思わずにいた。ただ、一刻も早くこのオリエンテーリングを終わらせたい気持ちしか頭には無かった。
歩き始めて1時間程が経過した頃・・・。
ヒルダは不安でいっぱいだった。何故なら200名もの生徒が参加している大会なのに、出発してからまだどのペアの姿も目にしていないからだ。
「ねえ・・マイク。本当に・・この道で合っているの?誰の姿も見ないのだけど・・。それに・・さっきから足場が随分悪いのだけど・・・。」
とうとう不安にかられたヒルダはマイクに尋ねた。ヒルダは途中で拾った長い棒を杖代わりに歩いている。
「大丈夫だよ、ヒルダ。この道で合ってるから。もう意地を張らないでおんぶしてあげるよ。ほら・・こっちにおいで、ヒルダ。」
「いいえ。大丈夫よ。1人で歩けるから・・。」
ヒルダは距離を詰めて来るマイクが怖くて数歩後ずさった。その時―
枯草が積もっていて分かりにくかったのだが、そこは斜面になっていた。ヒルダは足を滑らせて、そのまま斜面を下まで滑り落ちていく。
「キャアアアッ!!」
「ヒルダッ!!」
マイクは叫んで、慌てて斜面を覗き込むとがけ下へ滑り落ちて行くヒルダが見えた。
「ウッ・・・。」
ヒルダは滑り落ちた時に近くに生えていた巨木に身体を打ち付け・・・気絶してしまった。
「ヒルダーッ!!」
山林にマイクの声が響き渡った―。
「では。これからオリエンテーリングを開始する。事前に説明したと思うが、今回のオリエンテーリングは大会形式で2人ペアで全員同時にスタートするからな。ペアになった者同士でどの道順で1番目のコントロールへ行くかをよく考えて、タイムを競いあうのだ。それでは全員スタート地点に並びなさいっ!」
学年主任の男性教諭が声を張り上げて学生達に説明を始めた。今日のヒルダは長い髪が邪魔にならないように後ろで一本にまとめている。
そんなヒルダに隣で並んでいたマイクは言う。
「大丈夫だよ、ヒルダ。僕達は一般生徒たちよりも回る場所が少ないんだ。それに事前に何所を進めば良いか決めてあるからヒルダはただ僕について来てくれればいいからね。」
そしてヒルダの小さな右手を握りしめてきた。
「・・・マイク、手を離してくれる・・・。繋がれていると歩きにくいから。」
帽子を目深に被ったヒルダがマイクに視線を合わせないように言うと、マイクの手を振り払った。そしてさり気なくマイクから距離を置く。
「分ったよ・・。ヒルダ。でもね、道が危ないところは僕が君をおんぶしてあげるから心配する事はないよ。」
「・・・大丈夫よ。どんな道も・・1人で歩くから。」
何所までもそっけない態度のヒルダにマイクは苛立ってきた。そしてヒルダの耳元で言う。
「ねえ・・・ヒルダ。君のペアは僕なんだ。それに僕がコースを決めているんだから・・僕の言う事を聞いておいた方が君の為だよ?」
「!」
一瞬ヒルダの目に怯えが走るのをマイクは見逃さなかった。
(そうだよ・・・君はもう僕の手の内なんだから・・。絶対にヒルダを服従させてやるんだ・・・。)
いつしか心の中でマイクは恐ろしいことを考えていた―。
「位置についてヨーイ」
ピーッ!!
スタートの笛が山林に響き渡り、生徒たちが一斉にスタートした。全員がペアになった者同士、地図を見ながら走り始めた。
「ヒルダ、僕たちは焦る必要は無いからね。ゆっくり行こう。」
マイクはヒルダに笑顔を向けるが、ずっとヒルダの表情は硬いままで、口を開こうとしない。
(何だよ・・!ようやく誰にも邪魔される事無く2人きりになれたって言うのに・・・!)
マイクにはある計画があった。マイクが選んだコースの一部にはヒルダの足では進むのが困難なポイントがいくつかあった。なのでここはマイクがヒルダを背負い、男らしい頼りになれる自分をアピールするつもりでいたのだ。
(いいさ。ヒルダ・・・強気でいられるのも今の内なんだからな・・。きっと君は僕に助けを求めるはずだ・・・。)
ヒルダはまさかマイクがそんな事を心の中で考えているとは夢にも思わずにいた。ただ、一刻も早くこのオリエンテーリングを終わらせたい気持ちしか頭には無かった。
歩き始めて1時間程が経過した頃・・・。
ヒルダは不安でいっぱいだった。何故なら200名もの生徒が参加している大会なのに、出発してからまだどのペアの姿も目にしていないからだ。
「ねえ・・マイク。本当に・・この道で合っているの?誰の姿も見ないのだけど・・。それに・・さっきから足場が随分悪いのだけど・・・。」
とうとう不安にかられたヒルダはマイクに尋ねた。ヒルダは途中で拾った長い棒を杖代わりに歩いている。
「大丈夫だよ、ヒルダ。この道で合ってるから。もう意地を張らないでおんぶしてあげるよ。ほら・・こっちにおいで、ヒルダ。」
「いいえ。大丈夫よ。1人で歩けるから・・。」
ヒルダは距離を詰めて来るマイクが怖くて数歩後ずさった。その時―
枯草が積もっていて分かりにくかったのだが、そこは斜面になっていた。ヒルダは足を滑らせて、そのまま斜面を下まで滑り落ちていく。
「キャアアアッ!!」
「ヒルダッ!!」
マイクは叫んで、慌てて斜面を覗き込むとがけ下へ滑り落ちて行くヒルダが見えた。
「ウッ・・・。」
ヒルダは滑り落ちた時に近くに生えていた巨木に身体を打ち付け・・・気絶してしまった。
「ヒルダーッ!!」
山林にマイクの声が響き渡った―。
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