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第7章 9 オリエンテーリング ⑥
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生徒たちは明日のオリエンテーリングの下見として一部のコースを回っていた。特進クラスの生徒たちはスタート地点から3か所目のポイント場所を目指して歩いている。
「ヒルダ・・・大丈夫?」
ヒルダの隣を一緒に歩いているマドレーヌが心配そうに声を掛けてきた。
「ええ・・・・大丈夫よ。」
ヒルダは答えたが、正直あまり身体に余裕が無かった。季節は9月終わりという事もあり、林の中は足元に枯れ葉がたまり始めているため、油断していると木の根っこ等で足が引っかかってしまう。左足が不自由なヒルダは足を上にあげて歩くことが困難だ。そのためについ、引きずるような歩きかたになってしまうのだ。
「・・・ヒルダ。やっぱり私はマイクが許せないわ。こんな足場の悪い地形・・いくらコースを半分に減らしたからって・・・ヒルダにとっては負担なのに・・!それをあんな脅迫めいた言葉で、強制参加に持っていくなんて・・・最低な男だわっ!」
マドレーヌは怒りを込めた口調で前方を歩くマイクを睨みつけている。
「マドレーヌ・・・ありがとう。そこまで親身になって私の事を思ってくれて・・。」
荒い息を吐きながら、ヒルダが言うとマドレーヌは顔を赤らめた。
「だ、だって・・・ヒルダは私にとって、大切なお友達だもの・・・。友達の事を思うのは当然でしょう?」
「マドレーヌ・・・。私もあなたの事大切なお友達と思っているわ。ありがとう。」
ヒルダはマドレーヌの友情に感謝の気持ちを込めて礼を言った―。
「よーし、みんなここで10分休憩だ。」
歩き始めて30分程経過した頃・・マイクがみんなに声を掛けた。途端に生徒たちの間でざわめきが起こり、各々友人同士で固まって切り株や丸太の上に座って会話を始めた。
ヒルダもマドレーヌと一緒に大きな切り株の上に座り、アルミ製の水筒の水を飲んでいるとマドレーヌがキョロキョロ辺りを見渡すと言った。
「ねえ、見てよ。ヒルダ。誰一人としてオリエンテーリングのペアと一緒に行動している人がいないわよ。いかにみんながマイクに反発心を持っているか良く分かるわね。」
「ええ・・確かに言われてみればそうね。」
水筒のふたを閉めたヒルダが言うと、突然背後から声を掛けられた。
「ヒルダ。」
「!」
その声の主が誰なのかすぐに理解したヒルダは思わず両肩がビクリと跳ねてしまった。
「アハハ・・・。ヒルダ。何もそんなに驚くことはないじゃないか。」
マイクは笑顔でヒルダに言う。するとすかさず、マドレーヌが言った。
「あのねえ・・誰だって突然後ろから声を掛けられたら驚くに決まっているでしょう?それで?一体ヒルダに何の用事があるのよ。」
マドレーヌの言葉にさすがにカチンときたのかマイクが言った。
「ねえ・・・マドレーヌ。前から君に言おうと思っていたんだけど・・・一体君はヒルダの何なんだい?どうしてヒルダと話をするのに一々君に話を通さないといけないのさ。」
「それは私がヒルダの友達であり、ヒルダが貴方を怖がっているからでしょう?」
「ヒルダが僕を怖がる?何故?僕は一度もヒルダが怖がるような事はしていないのに?そうだよね、ヒルダ。」
マイクはヒルダに同意を求めるが、ヒルダは俯いたまま返事をしない。その様子にマイクはいら立ちを覚え・・つい、言ってしまった。
「ヒルダ・・・あまり僕を怒らせない方がいいよ?何せ明日僕とヒルダはペアになって、この地形を歩くんだから・・その事は理解しておくんだよ?」
マイクにとっては何気ない言葉だったのかもしれないが、ヒルダやマドレーヌにとってはそれはまるで脅迫のようにも取れた。
「マイクッ!オリエンテーリングは明日なんだから・・・それまではヒルダの傍には近寄らないでっ!」
マドレーヌの声は意外に大きく響き渡り・・同じ特進クラスの生徒達にも話が聞かれてしまった。
「やれやれ・・またマイクかよ。」
「クラス委員長失格よね・・。」
「あいつって・・性格悪かったんだな・・・。」
等々・・・クラスメイトたちが白い目でマイクを見ている。
「何だよ・・君たち。いつまでそうやって休んでいるつもりだい?もう出発するよ?」
いら立ちを隠すでもなく、マイクが言うと、全員ぶつぶつ文句を言いながらもマイクの指示に従った。全員成績の内申点の事を気にしていたからだ。不満げな態度をぶつけてくるクラスメイト達の事をマイクは憎んだ。
(あいつら・・・よくもこの僕に・・・あんな態度を・・・!来年になったら生徒会長になって・・皆を支配してやる・・・っ!)
いつしかマイクは恐ろしい野望を持つようになっていた―。
「ヒルダ・・・大丈夫?」
ヒルダの隣を一緒に歩いているマドレーヌが心配そうに声を掛けてきた。
「ええ・・・・大丈夫よ。」
ヒルダは答えたが、正直あまり身体に余裕が無かった。季節は9月終わりという事もあり、林の中は足元に枯れ葉がたまり始めているため、油断していると木の根っこ等で足が引っかかってしまう。左足が不自由なヒルダは足を上にあげて歩くことが困難だ。そのためについ、引きずるような歩きかたになってしまうのだ。
「・・・ヒルダ。やっぱり私はマイクが許せないわ。こんな足場の悪い地形・・いくらコースを半分に減らしたからって・・・ヒルダにとっては負担なのに・・!それをあんな脅迫めいた言葉で、強制参加に持っていくなんて・・・最低な男だわっ!」
マドレーヌは怒りを込めた口調で前方を歩くマイクを睨みつけている。
「マドレーヌ・・・ありがとう。そこまで親身になって私の事を思ってくれて・・。」
荒い息を吐きながら、ヒルダが言うとマドレーヌは顔を赤らめた。
「だ、だって・・・ヒルダは私にとって、大切なお友達だもの・・・。友達の事を思うのは当然でしょう?」
「マドレーヌ・・・。私もあなたの事大切なお友達と思っているわ。ありがとう。」
ヒルダはマドレーヌの友情に感謝の気持ちを込めて礼を言った―。
「よーし、みんなここで10分休憩だ。」
歩き始めて30分程経過した頃・・マイクがみんなに声を掛けた。途端に生徒たちの間でざわめきが起こり、各々友人同士で固まって切り株や丸太の上に座って会話を始めた。
ヒルダもマドレーヌと一緒に大きな切り株の上に座り、アルミ製の水筒の水を飲んでいるとマドレーヌがキョロキョロ辺りを見渡すと言った。
「ねえ、見てよ。ヒルダ。誰一人としてオリエンテーリングのペアと一緒に行動している人がいないわよ。いかにみんながマイクに反発心を持っているか良く分かるわね。」
「ええ・・確かに言われてみればそうね。」
水筒のふたを閉めたヒルダが言うと、突然背後から声を掛けられた。
「ヒルダ。」
「!」
その声の主が誰なのかすぐに理解したヒルダは思わず両肩がビクリと跳ねてしまった。
「アハハ・・・。ヒルダ。何もそんなに驚くことはないじゃないか。」
マイクは笑顔でヒルダに言う。するとすかさず、マドレーヌが言った。
「あのねえ・・誰だって突然後ろから声を掛けられたら驚くに決まっているでしょう?それで?一体ヒルダに何の用事があるのよ。」
マドレーヌの言葉にさすがにカチンときたのかマイクが言った。
「ねえ・・・マドレーヌ。前から君に言おうと思っていたんだけど・・・一体君はヒルダの何なんだい?どうしてヒルダと話をするのに一々君に話を通さないといけないのさ。」
「それは私がヒルダの友達であり、ヒルダが貴方を怖がっているからでしょう?」
「ヒルダが僕を怖がる?何故?僕は一度もヒルダが怖がるような事はしていないのに?そうだよね、ヒルダ。」
マイクはヒルダに同意を求めるが、ヒルダは俯いたまま返事をしない。その様子にマイクはいら立ちを覚え・・つい、言ってしまった。
「ヒルダ・・・あまり僕を怒らせない方がいいよ?何せ明日僕とヒルダはペアになって、この地形を歩くんだから・・その事は理解しておくんだよ?」
マイクにとっては何気ない言葉だったのかもしれないが、ヒルダやマドレーヌにとってはそれはまるで脅迫のようにも取れた。
「マイクッ!オリエンテーリングは明日なんだから・・・それまではヒルダの傍には近寄らないでっ!」
マドレーヌの声は意外に大きく響き渡り・・同じ特進クラスの生徒達にも話が聞かれてしまった。
「やれやれ・・またマイクかよ。」
「クラス委員長失格よね・・。」
「あいつって・・性格悪かったんだな・・・。」
等々・・・クラスメイトたちが白い目でマイクを見ている。
「何だよ・・君たち。いつまでそうやって休んでいるつもりだい?もう出発するよ?」
いら立ちを隠すでもなく、マイクが言うと、全員ぶつぶつ文句を言いながらもマイクの指示に従った。全員成績の内申点の事を気にしていたからだ。不満げな態度をぶつけてくるクラスメイト達の事をマイクは憎んだ。
(あいつら・・・よくもこの僕に・・・あんな態度を・・・!来年になったら生徒会長になって・・皆を支配してやる・・・っ!)
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