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第6章 14 横暴なマイク
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すべての授業とホームルームも終わり特進クラスの生徒たちは次々と帰り支度をしては教室を出て行く。
ヒルダも帰り支度をしていると、すでにスクールカバンを背負ったマドレーヌが声を掛けてきた。
「ねえ、ヒルダ。今日も一緒に帰りましょ。」
「ええ、そうね。」
ヒルダは全ての荷物をスクールカバンにしまうと、背中にしょった。
「お待たせ。」
「それじゃ、帰りましょう。」
2人で並んで教室を出ようとすると、背後からマイクが声を掛けてきた。
「ヒルダ。」
するとマドレーヌがマイクから姿を見せないようにヒルダの前に立つと言った。
「何?マイク。」
するとマイクは笑みを浮かべながら言う。
「そこをどいてくれないかな?マドレーヌ。僕はヒルダと話があるんだ。」
「話ならここで今すればいいでしょう?」
マドレーヌは少しも場を譲ろうとしない。
チッ
その時、マイクの口から小さな舌打が漏れたのをマドレーヌは聞き逃さなかった。
(やっぱりマイクは油断できない男だわ・・・。)
「仕方ない・・・それじゃこのままで話をさせてもらうよ。ヒルダ、僕たちはペアになったんだ。色々打ち合わせがしたいから僕の馬車で一緒に帰ろう。」
そして笑みを浮かべる。
「何を言ってるの?ヒルダは私と帰るのよ。この状況でマイクにはそれが分からないの?」
マドレーヌは腕組みしながら言う。
「マドレーヌ・・僕は君とじゃなくてヒルダに話しかけているんだけど?」
するとヒルダは言った。
「マイク・・・・私はマドレーヌと歩いて帰りたいの。私の事は放っておいて。」
それを聞いたマドレーヌが言った。
「ほら、見なさい。ヒルダだってああ言ってるのよ?大体ほかの人達だってペアになったからと言って一緒になんか帰っていないじゃない。」
「!そ、それは・・・他の人たちはヒルダと違って普通に歩け・・!」
そこでマイクは自分が失言したことに気が付いた。何故なら肩越しに見えたヒルダの顔が悲し気に目を伏せていたからだ。そしてこの言葉を聞いたマドレーヌは激怒した。
「マイクッ!貴方・・・言っていいことと悪いことの区別もつかないのっ?!それに第一貴方がヒルダにくじを引かせなかったんでしょう?自分とペアにさせる為にっ!」
マドレーヌが大きな声を出したので、まだ周囲に残っていた生徒たちが注目し始めた。そして少しずつざわめき始めた。
「うん・・・確かにあれはないな。」
「そうよね・・いくらクラス委員長だからって少し横暴よね・・。」
「酷い事言うよな・・・。」
(まずい・・・このままじゃ僕の評判が・・!)
その時、とっくに帰ったはずのルドルフが教室に戻ってくるとヒルダの傍に立った。
(ルドルフッ!)
ヒルダは突然現れたルドルフに驚いて、見上げたがルドルフはヒルダに視線を合わせずにマイクに言った。
「マイク、職員室で先生が呼んでる。すぐに行った方がいいよ。」
「え・・?先生が・・・?」
マイクは怪訝そうに顔をしかめたが、すぐにスクールカバンを背負い、出口へ向かって歩き出した。
「また明日ね。ヒルダ。」
去り際にヒルダの耳元でささやいたマイクにヒルダは思わずビクリとなった。
「!」
マドレーヌはとっさにヒルダの肩を持って自分の方へ引き寄せるとマイクに言った。
「ヒルダに構わず、さっさと職員室へ行きなさいよ!」
マイクはマドレーヌに露骨に嫌そうな顔をすると教室を去って行った。
「・・・・。」
その様子を黙って見ていたルドルフはヒルダを見ることもなく教室を出て行ってしまった。
「あ・・・。」
ヒルダは黙ってそれを見届けるしかなった。
「どうしたの?ヒルダ。帰りましょう?」
マドレーヌに声を掛けられてヒルダは頷いた。
(ルドルフ・・・もしかして今助けに戻ってくれたの・・・?)
ヒルダはルドルフが出てった出口を見つめていた―。
ヒルダも帰り支度をしていると、すでにスクールカバンを背負ったマドレーヌが声を掛けてきた。
「ねえ、ヒルダ。今日も一緒に帰りましょ。」
「ええ、そうね。」
ヒルダは全ての荷物をスクールカバンにしまうと、背中にしょった。
「お待たせ。」
「それじゃ、帰りましょう。」
2人で並んで教室を出ようとすると、背後からマイクが声を掛けてきた。
「ヒルダ。」
するとマドレーヌがマイクから姿を見せないようにヒルダの前に立つと言った。
「何?マイク。」
するとマイクは笑みを浮かべながら言う。
「そこをどいてくれないかな?マドレーヌ。僕はヒルダと話があるんだ。」
「話ならここで今すればいいでしょう?」
マドレーヌは少しも場を譲ろうとしない。
チッ
その時、マイクの口から小さな舌打が漏れたのをマドレーヌは聞き逃さなかった。
(やっぱりマイクは油断できない男だわ・・・。)
「仕方ない・・・それじゃこのままで話をさせてもらうよ。ヒルダ、僕たちはペアになったんだ。色々打ち合わせがしたいから僕の馬車で一緒に帰ろう。」
そして笑みを浮かべる。
「何を言ってるの?ヒルダは私と帰るのよ。この状況でマイクにはそれが分からないの?」
マドレーヌは腕組みしながら言う。
「マドレーヌ・・僕は君とじゃなくてヒルダに話しかけているんだけど?」
するとヒルダは言った。
「マイク・・・・私はマドレーヌと歩いて帰りたいの。私の事は放っておいて。」
それを聞いたマドレーヌが言った。
「ほら、見なさい。ヒルダだってああ言ってるのよ?大体ほかの人達だってペアになったからと言って一緒になんか帰っていないじゃない。」
「!そ、それは・・・他の人たちはヒルダと違って普通に歩け・・!」
そこでマイクは自分が失言したことに気が付いた。何故なら肩越しに見えたヒルダの顔が悲し気に目を伏せていたからだ。そしてこの言葉を聞いたマドレーヌは激怒した。
「マイクッ!貴方・・・言っていいことと悪いことの区別もつかないのっ?!それに第一貴方がヒルダにくじを引かせなかったんでしょう?自分とペアにさせる為にっ!」
マドレーヌが大きな声を出したので、まだ周囲に残っていた生徒たちが注目し始めた。そして少しずつざわめき始めた。
「うん・・・確かにあれはないな。」
「そうよね・・いくらクラス委員長だからって少し横暴よね・・。」
「酷い事言うよな・・・。」
(まずい・・・このままじゃ僕の評判が・・!)
その時、とっくに帰ったはずのルドルフが教室に戻ってくるとヒルダの傍に立った。
(ルドルフッ!)
ヒルダは突然現れたルドルフに驚いて、見上げたがルドルフはヒルダに視線を合わせずにマイクに言った。
「マイク、職員室で先生が呼んでる。すぐに行った方がいいよ。」
「え・・?先生が・・・?」
マイクは怪訝そうに顔をしかめたが、すぐにスクールカバンを背負い、出口へ向かって歩き出した。
「また明日ね。ヒルダ。」
去り際にヒルダの耳元でささやいたマイクにヒルダは思わずビクリとなった。
「!」
マドレーヌはとっさにヒルダの肩を持って自分の方へ引き寄せるとマイクに言った。
「ヒルダに構わず、さっさと職員室へ行きなさいよ!」
マイクはマドレーヌに露骨に嫌そうな顔をすると教室を去って行った。
「・・・・。」
その様子を黙って見ていたルドルフはヒルダを見ることもなく教室を出て行ってしまった。
「あ・・・。」
ヒルダは黙ってそれを見届けるしかなった。
「どうしたの?ヒルダ。帰りましょう?」
マドレーヌに声を掛けられてヒルダは頷いた。
(ルドルフ・・・もしかして今助けに戻ってくれたの・・・?)
ヒルダはルドルフが出てった出口を見つめていた―。
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