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第7章 1 進路
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季節は廻り、寒い冬が訪れていた。生徒たちはそろそろ何処の高等学校に願書を出すのか、その話で持ちきりになっていた。
「ヒルダ、貴女は何処の高等学校に願書を出すの?」
シャーリーが休み時間に尋ねてきた。
「私は家から学校へ通いたいからカウベリーにある『アザレア女子高等学校』へ願書を出すつもりなの。確かこの高等部は家政科に力を入れていたから。」
「そう言えばヒルダの夢は洋服のデザイナーになる事だったわよね?」
「ええ、そうなの。特殊な技術があれば・・・将来ずっと独身になったとしても1人で食べて・・・生きて行けるでしょう?」
「ヒルダ・・・。」
シャーリーはヒルダの言葉を聞いて胸がつまるような思いになった。
(ヒルダ・・・こんなに女の子らしくて・・優しくて綺麗なのに・・・もう足の怪我のせいで結婚する事を諦めているのね・・・。可愛そうに・・。)
ヒルダはシャーリーの顔が曇った事に気付いて、今度はシャーリーに質問した。
「ねえ、シャーリーは何所の学校へ行くのかしら?」
「私は隣の国の『ソルダート学院』に願書を出すわ。ここは女性警察官を育成してくれる女学校なのよ。」
「そうだったわね。シャーリーの夢は女性警察官になる事だったわね。シャーリーは正義感の強い人だから、きっとなれるわ。でも・・・違う学校になってしまうのは寂しいわ・・。」
ヒルダは少し悲し気に言った。ルドルフと別れてから4ヶ月以上が経過していた。その間の心の寂しさを埋めてくれたのは親友であるシャーリーだったからだ。
「ヒルダ・・・。」
するとシャーリーはヒルダを抱きしめると言った。
「何言ってるの、ヒルダ。私たちは例えどんなに離れていたもずっと親友よ?」
「うん・・・ありがとう。シャーリー。」
ヒルダもシャーリーをしっかり抱きしめるのだった。
「そう言えば、グレースは今どうしてるのかしらね。」
突如、シャーリーはグレースの話を持ち出してきたのでヒルダはドキリとした。
実はグレースは結局停学処分になった後、復学する前に学校を辞めて元の学校に戻っていたのである。
ヒルダがルドルフとの婚約を解消した原因がグレースにある事をシャーリーは全く知らないので他意は無いのだが、グレースの名前を耳にするだけでヒルダの心臓はズキリと痛んだ。
「さ、さあ・・・。どうしたのかしらね。私も全く知らないのよ。」
「そうよね。グレースは転校初日にあんな事件を起こしたわけだし、親しい友人も誰もいなかったから、彼女の事知ってる人はいるはずないものね。」
シャーリーは肩をすくめながら言った。
「ええ・・・そうよね・・。」
返事をしながらヒルダは窓の外を見た。数百m先の男子部にはルドルフがいる。
(ルドルフ・・・。貴方は今どうしてるの・・・?)
そしてヒルダは愛しいルドルフの顔を思い出していた―。
その日の放課後―
「グレース。またここにやって来たの?」
自転車を押していたルドルフはうんざりしたように校門の前で待っているグレースを見るとため息をついた。
「またって事は無いでしょう?ねえ。ルドルフ。私の馬車で一緒に帰りましょうよ。もう真冬だから自転車の通学は寒くて大変でしょう?」
グレースはルドルフの腕に巻き付いて来た。するとそこへ数人のクラスメイトが冷やかしながら通り過ぎていく。
「何だ、ルドルフ。また彼女が迎えに来てくれているのか?」
「羨ましいなあ。」
「本当に愛されてるんだなあ。」
すると素早くルドルフが反論した。
「違うよ、彼女はそんなんじゃないから。」
それを聞いたクラスメイト達は肩をすくめると去って行った。そしてグレースを見ると言った。
「グレース。本当にいい加減にしてくれないかな?僕は自転車通学をしているんだから朝も迎えに来なくていいし、帰りだって来なくていいんだよ。大体、グレース・・学校はどうしてるの?ひょっとして学校へ通っていないの?」
するとグレースは反論した。
「学校へはちゃんと行ってるわっ!学校が終わってからルドルフの学校へ来ているのよ!」
「そうなんだ。ちゃんと行ってるのならいいよ。でも・・・本当にもうここへは来ないでくれないかな?正直に言うと・・迷惑してるんだよ。」
そしてルドルフは自転車にまたがると、そのまま走り去ってしまった。
「ルドルフッ!!待ってよっ!」
しかし、ルドルフは振り返ることが無かった。そんなルドルフを悔しそうに見つめながらグレースは呟いた。
「ルドルフが冷たい・・・・。彼があんな風になってしまったのは・・・全てヒルダのせいよ・・・。」
グレースは憎々し気にヒルダの通う女子校を睨み付けるのだった―。
「ヒルダ、貴女は何処の高等学校に願書を出すの?」
シャーリーが休み時間に尋ねてきた。
「私は家から学校へ通いたいからカウベリーにある『アザレア女子高等学校』へ願書を出すつもりなの。確かこの高等部は家政科に力を入れていたから。」
「そう言えばヒルダの夢は洋服のデザイナーになる事だったわよね?」
「ええ、そうなの。特殊な技術があれば・・・将来ずっと独身になったとしても1人で食べて・・・生きて行けるでしょう?」
「ヒルダ・・・。」
シャーリーはヒルダの言葉を聞いて胸がつまるような思いになった。
(ヒルダ・・・こんなに女の子らしくて・・優しくて綺麗なのに・・・もう足の怪我のせいで結婚する事を諦めているのね・・・。可愛そうに・・。)
ヒルダはシャーリーの顔が曇った事に気付いて、今度はシャーリーに質問した。
「ねえ、シャーリーは何所の学校へ行くのかしら?」
「私は隣の国の『ソルダート学院』に願書を出すわ。ここは女性警察官を育成してくれる女学校なのよ。」
「そうだったわね。シャーリーの夢は女性警察官になる事だったわね。シャーリーは正義感の強い人だから、きっとなれるわ。でも・・・違う学校になってしまうのは寂しいわ・・。」
ヒルダは少し悲し気に言った。ルドルフと別れてから4ヶ月以上が経過していた。その間の心の寂しさを埋めてくれたのは親友であるシャーリーだったからだ。
「ヒルダ・・・。」
するとシャーリーはヒルダを抱きしめると言った。
「何言ってるの、ヒルダ。私たちは例えどんなに離れていたもずっと親友よ?」
「うん・・・ありがとう。シャーリー。」
ヒルダもシャーリーをしっかり抱きしめるのだった。
「そう言えば、グレースは今どうしてるのかしらね。」
突如、シャーリーはグレースの話を持ち出してきたのでヒルダはドキリとした。
実はグレースは結局停学処分になった後、復学する前に学校を辞めて元の学校に戻っていたのである。
ヒルダがルドルフとの婚約を解消した原因がグレースにある事をシャーリーは全く知らないので他意は無いのだが、グレースの名前を耳にするだけでヒルダの心臓はズキリと痛んだ。
「さ、さあ・・・。どうしたのかしらね。私も全く知らないのよ。」
「そうよね。グレースは転校初日にあんな事件を起こしたわけだし、親しい友人も誰もいなかったから、彼女の事知ってる人はいるはずないものね。」
シャーリーは肩をすくめながら言った。
「ええ・・・そうよね・・。」
返事をしながらヒルダは窓の外を見た。数百m先の男子部にはルドルフがいる。
(ルドルフ・・・。貴方は今どうしてるの・・・?)
そしてヒルダは愛しいルドルフの顔を思い出していた―。
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「またって事は無いでしょう?ねえ。ルドルフ。私の馬車で一緒に帰りましょうよ。もう真冬だから自転車の通学は寒くて大変でしょう?」
グレースはルドルフの腕に巻き付いて来た。するとそこへ数人のクラスメイトが冷やかしながら通り過ぎていく。
「何だ、ルドルフ。また彼女が迎えに来てくれているのか?」
「羨ましいなあ。」
「本当に愛されてるんだなあ。」
すると素早くルドルフが反論した。
「違うよ、彼女はそんなんじゃないから。」
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「ルドルフが冷たい・・・・。彼があんな風になってしまったのは・・・全てヒルダのせいよ・・・。」
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