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第6章 7 3人でお茶会
しおりを挟む 3人で大きな木の下に置かれたテーブルセットに座ったところでシャーリーが言った。
「ここって素敵な場所ね~。景色はいいし、風は気持ちいいし・・・。」
「ええ、ここは私のお気に入りの場所なのよ。小さい時は良くお母様と一緒にここでピクニックをしたわ。」
ヒルダは懐かしむように言った。
「確かにここはちょっとしたピクニック気分になれますね。私はここに来てまだ日が浅いですが、何となく故郷を思い出されて懐かしい気分になりますよ。」
スコットの言葉にシャーリーが尋ねた。
「あの、スコットさんの出身地はどこなんですか?」
「私はここから東にある『アッシュ』という小さな村があるのですが、そこからやってきました。父は領主をつとめております。何も無い田舎ですが自然豊かですよ。」
するとそこへカミラがティーセットを持ってやって来た。
「お待たせ致しました。お茶とお皿、それにナイフとフォークをお持ちしました。」
「ありがとう、カミラ。」
ヒルダが笑顔で言うと、カミラはお辞儀をして去って行くと、シャーリーがスコットに言った。
「スコットさん。実は・・・今日アップルタルトを焼いてきたんです。皆で頂きませんか?」
そして箱の中からアップルタルトを出した。タルトの上につやのあるリンゴのスライスが丁寧に並べられ、うっすらと粉糖がかかっており、とても丁寧に仕上げてあった。
「まあ・・・すごい!まるでお店で売ってるタルトみたい!」
ヒルダは感嘆の声を上げた。
「え?シャーリーさんが作って来たのですか?すごいですね!ああ・・・とても美味しそうだ。」
スコットも驚いたように目を見張っている。2人に褒められたシャーリーは嬉しそうだった。
「それじゃ切り分けましょうか?」
「なら私はお茶を淹れるわね。」
ヒルダは茶葉の入ったティーポットにお湯を注ぎ、少し蒸らすと3人分のティーカップに紅茶を注ぎ入れた。一方シャーリーはナイフで綺麗にケーキをカットするとそれぞれの皿に取り分けた。
「では、頂きましょうか?」
ヒルダが2人を見渡した。
「ええ。」
「そうですね。」
シャーリーとスコットも笑顔で言う。そして3人のお茶会が始まった。
アップルタルトはタルト生地はサクサクしていたし、カスタードの甘さも丁度良く、スライスして上に乗せられていたリンゴはほんのり甘苦いカルメラ味で、カスタードと味が良くなじんでいた。
ヒルダもスコットもシャーリーのケーキの腕前をほめたたえ、和やかな時が流れて行った。
お茶会が始まって1時間程経過した頃・・・。
(そろそろ頃合かしら・・・。)
そう思ったヒルダは席を立った。
「あら?どうしたの?ヒルダ。」
シャーリーが不思議そうにヒルダを見た。
「ヒルダお嬢様、どうされたのですか?」
スコットも顔を上げた。そこでヒルダは先ほど頭の中で考えていた話をした。
「あのね、足のリハビリの為に少しお散歩してくるから、2人はこのままここでお話をしていて?」
「え?それなら付き合うわよ?ヒルダ。」
「いいのよ、シャーリー。折角2人共、楽しそうにしていたんだから、このままお話しを続けていて。」
するとシャーリーとスコットは互いに目を合わせ、頬を赤く染めた。そんな様子を見たヒルダはクスリと笑うと言った。
「それじゃ、お散歩して来るわね。2人共、ごゆっくりして行って?」
「うん・・・それじゃお言葉に甘えて・・。」
「ありがとうございます、ヒルダ様。」
シャーリーとスコットが交互に言った。
「それじゃ、また後でね。」
そしてヒルダは杖をつきながらその場を後にした。
(1時間程経ったら戻ればいいかしら?フフフ・・・2人共とても気が合うみたい。うまくいってくれるといいな・・・。)
自分の恋は叶わなかったけれども、ヒルダは2人の恋がかなう事を祈るのだった―。
「ここって素敵な場所ね~。景色はいいし、風は気持ちいいし・・・。」
「ええ、ここは私のお気に入りの場所なのよ。小さい時は良くお母様と一緒にここでピクニックをしたわ。」
ヒルダは懐かしむように言った。
「確かにここはちょっとしたピクニック気分になれますね。私はここに来てまだ日が浅いですが、何となく故郷を思い出されて懐かしい気分になりますよ。」
スコットの言葉にシャーリーが尋ねた。
「あの、スコットさんの出身地はどこなんですか?」
「私はここから東にある『アッシュ』という小さな村があるのですが、そこからやってきました。父は領主をつとめております。何も無い田舎ですが自然豊かですよ。」
するとそこへカミラがティーセットを持ってやって来た。
「お待たせ致しました。お茶とお皿、それにナイフとフォークをお持ちしました。」
「ありがとう、カミラ。」
ヒルダが笑顔で言うと、カミラはお辞儀をして去って行くと、シャーリーがスコットに言った。
「スコットさん。実は・・・今日アップルタルトを焼いてきたんです。皆で頂きませんか?」
そして箱の中からアップルタルトを出した。タルトの上につやのあるリンゴのスライスが丁寧に並べられ、うっすらと粉糖がかかっており、とても丁寧に仕上げてあった。
「まあ・・・すごい!まるでお店で売ってるタルトみたい!」
ヒルダは感嘆の声を上げた。
「え?シャーリーさんが作って来たのですか?すごいですね!ああ・・・とても美味しそうだ。」
スコットも驚いたように目を見張っている。2人に褒められたシャーリーは嬉しそうだった。
「それじゃ切り分けましょうか?」
「なら私はお茶を淹れるわね。」
ヒルダは茶葉の入ったティーポットにお湯を注ぎ、少し蒸らすと3人分のティーカップに紅茶を注ぎ入れた。一方シャーリーはナイフで綺麗にケーキをカットするとそれぞれの皿に取り分けた。
「では、頂きましょうか?」
ヒルダが2人を見渡した。
「ええ。」
「そうですね。」
シャーリーとスコットも笑顔で言う。そして3人のお茶会が始まった。
アップルタルトはタルト生地はサクサクしていたし、カスタードの甘さも丁度良く、スライスして上に乗せられていたリンゴはほんのり甘苦いカルメラ味で、カスタードと味が良くなじんでいた。
ヒルダもスコットもシャーリーのケーキの腕前をほめたたえ、和やかな時が流れて行った。
お茶会が始まって1時間程経過した頃・・・。
(そろそろ頃合かしら・・・。)
そう思ったヒルダは席を立った。
「あら?どうしたの?ヒルダ。」
シャーリーが不思議そうにヒルダを見た。
「ヒルダお嬢様、どうされたのですか?」
スコットも顔を上げた。そこでヒルダは先ほど頭の中で考えていた話をした。
「あのね、足のリハビリの為に少しお散歩してくるから、2人はこのままここでお話をしていて?」
「え?それなら付き合うわよ?ヒルダ。」
「いいのよ、シャーリー。折角2人共、楽しそうにしていたんだから、このままお話しを続けていて。」
するとシャーリーとスコットは互いに目を合わせ、頬を赤く染めた。そんな様子を見たヒルダはクスリと笑うと言った。
「それじゃ、お散歩して来るわね。2人共、ごゆっくりして行って?」
「うん・・・それじゃお言葉に甘えて・・。」
「ありがとうございます、ヒルダ様。」
シャーリーとスコットが交互に言った。
「それじゃ、また後でね。」
そしてヒルダは杖をつきながらその場を後にした。
(1時間程経ったら戻ればいいかしら?フフフ・・・2人共とても気が合うみたい。うまくいってくれるといいな・・・。)
自分の恋は叶わなかったけれども、ヒルダは2人の恋がかなう事を祈るのだった―。
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