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第6章 3 本当の悪者は?
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「大変・・・申し訳ございませんでしたっ!!」
校長室に呼ばれたマルコはアレクセイと隣に座っているアレクセイの父に頭を下げた。アレクセイの父はマルコをジロリと見ると言った。
「一体、お宅の家ではどういう教育をしているのですかっ?!聞くところによるとお宅の息子さんがいきなり息子に殴りかかったと言うじゃありませんかっ!」
口髭を蓄えたアレクセイの父は傲慢な態度でマルコを睨み付けている。
「ルドルフッ!お、お前・・・何てことをしたんだっ?!」
マルコは椅子に座ったルドルフ見下ろすと強い口調で言った。
「・・・。」
しかしルドルフは黙ったまま口を閉ざしている。その顔にはあちこちに切り傷や痣が出来ていて、口元には血が付いていた。
こんな態度を取るルドルフを見るのは初めてで、マルコは内心戸惑っていた。
(どうしたんだ・・ルドルフ。お前がそんな態度を取るなんて始めてだ。一体なにがあったんだ・・?)
「ルドルフッ!黙っていたら分からないだろう?ちゃんと答えなさいっ!」
マルコはルドルフの両肩をつかみ、正面から見据えたがルドルフは視線を逸らせた。
「ルドルフ・・・。」
するとそれを見兼ねた初老の校長が言った。
「まあまあ、お父さんも落ち着いて下さい。先程からルドルフ君は口を閉ざして何も答えてくれないのですよ。なのでこちらは被害者のアレクセイ君の話しか・・・聞けていないのですけど・・。」
するとアレクセイの父は言った。
「おい、この少年がお前にした事をもう一度話してやりなさい。」
「分かったよ、父さん。」
マルコはアレクセイと呼ばれた少年を見たが、彼は傷一つなければ、服装の乱れも無い。それに比べてルドルフの怪我の様子は痛々しかった。
「朝、教室で俺がルドルフに話しかけたら、いきなり彼が何も言わずに殴りかかって来たんですよ。もう訳が分からないですよ。」
アレクセイの説明はあまりにも短く、とてもマルコには納得できるものでは無かった。大体何故加害者のルドルフが怪我を負っているのか理解出来なかった。」
「あの・・・アレクセイ君だったかな?どうしてルドルフが怪我をしているのか説明して貰えないだろうか?君はルドルフに何て言ったんだい。」
するとアレクセイは目を泳がせながら言った。
「別に・・・大した話じゃありませんよ。単なる世間話です。」
「いや、でも話の内容を・・・。」
するとそこへアレクセイの父が口を挟んできた。
「一体お宅は何が言いたいのですか?問題なのは話の内容ではなく、お宅の息子がうちの息子に襲い掛かったと言う事ですぞ?」
「しかし・・・彼は見た所傷1つ無いように見えますが?・・怪我はむしろルドルフの方が酷く見える。」
マルコが言い返すとアレクセイの父が焦ったように言う。
「あ、貴方は一体何が言いたいのですかっ?!」
「まあまあ、お二方落ち着いて下さい。」
そこへ今迄黙って見ていた校長が口を挟んできた。
「この2人だけではきちんとした話を聞けないと思い、目撃していたクラスメイトを数名この部屋へ呼んだのですよ。お入りなさい。」
校長が声をかけると4人の少年が校長室へ入って来た。1人はクラスの級長のルイ。そして生徒会長のジェフに残りの2名はセルゲイとレナードだった。
すると彼らを見たアレクセイの顔色が変わる。
「な・・・何で・・お前達が・・・?」
アレクセイは4人を見ながら震えている。
しかし彼の父はニコニコしながら言った。
「ああ、アレクセイの友人達だね。よく来てくれた。さあ、正直に話してくれないか?」
「ええ。勿論そのつもりです。確かにアレクセイは最初はルドルフに話しかけただけでした。ですが彼を侮辱するような事を話したのです。いえ・・彼の婚約者についてでしょうか?」
最初に語りだしたのはルイだった。
「彼はルドルフにこう言ったんですよ。あの女はもう3本足になってしまったから、もう二度とダンスを踊れなくなったそうじゃないか?ってね。」
次にジェフが言った。
「あの女・・・?ああ・・ひょっとしてフィールズ家の令嬢の事か?確かヒルダとか言う名前だったような・・・。」
アレクセイの父は思いだすように言った。
「そしたらアレクセイはこう言ったんですよ。そんな女が婚約者なんてみっともないだけだって・・・それを聞いたルドルフが立ち上って、アレクセイの胸倉を掴んだのですけど。」
そう話したのはレナードだった。
「そしたら、アレクセイが逆にルドルフを殴りつけて喧嘩になったんです。」
最期にセルゲイは語った。
少年たちの話を聞き終えたアレクセイの父は真っ赤になって小刻みに震えていた。すると校長が語った。
「これは・・・ルドルフ君を処罰する意味はなさそうですね。しかし・・人を侮辱するような態度は如何なものかと思いますよ?」
言いながら校長はアレクセイ親子を見た。
「ぐ・・・っ!きょ・・今日は息子を連れて帰らせて頂きます、来るんだっ!アレクセイッ!」
アレクセイの父は息子の腕を引いて立ち上がらせると、まるで逃げるようにその場を立ち去って行った。
「・・・・。」
彼らが去った後・・・それでもルドルフは一言も話す事は無かった―。
校長室に呼ばれたマルコはアレクセイと隣に座っているアレクセイの父に頭を下げた。アレクセイの父はマルコをジロリと見ると言った。
「一体、お宅の家ではどういう教育をしているのですかっ?!聞くところによるとお宅の息子さんがいきなり息子に殴りかかったと言うじゃありませんかっ!」
口髭を蓄えたアレクセイの父は傲慢な態度でマルコを睨み付けている。
「ルドルフッ!お、お前・・・何てことをしたんだっ?!」
マルコは椅子に座ったルドルフ見下ろすと強い口調で言った。
「・・・。」
しかしルドルフは黙ったまま口を閉ざしている。その顔にはあちこちに切り傷や痣が出来ていて、口元には血が付いていた。
こんな態度を取るルドルフを見るのは初めてで、マルコは内心戸惑っていた。
(どうしたんだ・・ルドルフ。お前がそんな態度を取るなんて始めてだ。一体なにがあったんだ・・?)
「ルドルフッ!黙っていたら分からないだろう?ちゃんと答えなさいっ!」
マルコはルドルフの両肩をつかみ、正面から見据えたがルドルフは視線を逸らせた。
「ルドルフ・・・。」
するとそれを見兼ねた初老の校長が言った。
「まあまあ、お父さんも落ち着いて下さい。先程からルドルフ君は口を閉ざして何も答えてくれないのですよ。なのでこちらは被害者のアレクセイ君の話しか・・・聞けていないのですけど・・。」
するとアレクセイの父は言った。
「おい、この少年がお前にした事をもう一度話してやりなさい。」
「分かったよ、父さん。」
マルコはアレクセイと呼ばれた少年を見たが、彼は傷一つなければ、服装の乱れも無い。それに比べてルドルフの怪我の様子は痛々しかった。
「朝、教室で俺がルドルフに話しかけたら、いきなり彼が何も言わずに殴りかかって来たんですよ。もう訳が分からないですよ。」
アレクセイの説明はあまりにも短く、とてもマルコには納得できるものでは無かった。大体何故加害者のルドルフが怪我を負っているのか理解出来なかった。」
「あの・・・アレクセイ君だったかな?どうしてルドルフが怪我をしているのか説明して貰えないだろうか?君はルドルフに何て言ったんだい。」
するとアレクセイは目を泳がせながら言った。
「別に・・・大した話じゃありませんよ。単なる世間話です。」
「いや、でも話の内容を・・・。」
するとそこへアレクセイの父が口を挟んできた。
「一体お宅は何が言いたいのですか?問題なのは話の内容ではなく、お宅の息子がうちの息子に襲い掛かったと言う事ですぞ?」
「しかし・・・彼は見た所傷1つ無いように見えますが?・・怪我はむしろルドルフの方が酷く見える。」
マルコが言い返すとアレクセイの父が焦ったように言う。
「あ、貴方は一体何が言いたいのですかっ?!」
「まあまあ、お二方落ち着いて下さい。」
そこへ今迄黙って見ていた校長が口を挟んできた。
「この2人だけではきちんとした話を聞けないと思い、目撃していたクラスメイトを数名この部屋へ呼んだのですよ。お入りなさい。」
校長が声をかけると4人の少年が校長室へ入って来た。1人はクラスの級長のルイ。そして生徒会長のジェフに残りの2名はセルゲイとレナードだった。
すると彼らを見たアレクセイの顔色が変わる。
「な・・・何で・・お前達が・・・?」
アレクセイは4人を見ながら震えている。
しかし彼の父はニコニコしながら言った。
「ああ、アレクセイの友人達だね。よく来てくれた。さあ、正直に話してくれないか?」
「ええ。勿論そのつもりです。確かにアレクセイは最初はルドルフに話しかけただけでした。ですが彼を侮辱するような事を話したのです。いえ・・彼の婚約者についてでしょうか?」
最初に語りだしたのはルイだった。
「彼はルドルフにこう言ったんですよ。あの女はもう3本足になってしまったから、もう二度とダンスを踊れなくなったそうじゃないか?ってね。」
次にジェフが言った。
「あの女・・・?ああ・・ひょっとしてフィールズ家の令嬢の事か?確かヒルダとか言う名前だったような・・・。」
アレクセイの父は思いだすように言った。
「そしたらアレクセイはこう言ったんですよ。そんな女が婚約者なんてみっともないだけだって・・・それを聞いたルドルフが立ち上って、アレクセイの胸倉を掴んだのですけど。」
そう話したのはレナードだった。
「そしたら、アレクセイが逆にルドルフを殴りつけて喧嘩になったんです。」
最期にセルゲイは語った。
少年たちの話を聞き終えたアレクセイの父は真っ赤になって小刻みに震えていた。すると校長が語った。
「これは・・・ルドルフ君を処罰する意味はなさそうですね。しかし・・人を侮辱するような態度は如何なものかと思いますよ?」
言いながら校長はアレクセイ親子を見た。
「ぐ・・・っ!きょ・・今日は息子を連れて帰らせて頂きます、来るんだっ!アレクセイッ!」
アレクセイの父は息子の腕を引いて立ち上がらせると、まるで逃げるようにその場を立ち去って行った。
「・・・・。」
彼らが去った後・・・それでもルドルフは一言も話す事は無かった―。
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