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第5章 11 2人の恋心
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「スコットさん。」
ヒルダが声を掛けると、スコットが気付いて笑みを向けた。
「ヒルダ様。お帰りなさいませ。」
そして隣に立っているシャーリーに声を掛けてきた。
「こんにちは。ヒルダ様のお友達ですか?」
するとシャーリーは顔を赤らめながら答えた。
「は、はい。私はヒルダさんの親友のシャーリー・クレイブと言います。始めまして。」
「ああ、貴女がシャーリーさんですね?いつもヒルダ様からお話を伺っておりました。」
それを聞いたシャーリーは驚いてヒルダを見た。
「ええっ?!ヒ、ヒルダ・・こちらの方に私の話を・・・い、いつもしてたの?」
「ええ・・そうなの。」
するとスコットは言った。
「ヒルダ様はいつも貴女の事を・・・とても素晴らしい最高の親友だと話してくれていますよ?」
「え・・・そ、そうなんですか・・・。」
シャーリーはモジモジしながらスコットを見た。そんな2人の邪魔をしてはいけないと思ったヒルダは2人に声を掛けた。
「スコットさん、シャーリー。少し2人でお話してて。私、喉が渇いたからジュースを買って来るわね。」
するとスコットが言った。
「ヒルダ様。それなら私が・・・。」
「ううん、いいの。リハビリの一環で少し歩いたほうがいいから、2人は少しお話していて。」
そしてヒルダはシャーリーを見た。シャーリーは申し訳なさそうにヒルダを見ている。
(頑張ってね?シャーリー。)
ヒルダはシャーリーにウィンクをすると、一瞬シャーリーは驚いた顔を見せたが、小さく頷いた。それを見たヒルダはにっこりと微笑み、2人から離れて行った。
「フフ・・2人の仲が進展してくれるといいな。スコットさんはとてもいい人だし、シャーリーは私の一番の親友だから・・うまくいってくれるといいな・・。」
シャーリーには自分の様にはなってもらいたくない・・・。ヒルダは切に願っていた。
馬車乗り場にはジューススタンドがある。
「すみません。オレンジジュースを下さい。」
ヒルダはお金を店員に渡した。
「はい、お待ちください。」
若い男性店員はカゴに山積みになって入っているオレンジを2個を器用にナイフで剥くと果汁搾り器に入れてレバーを押し、紙コップに注ぐとヒルダに笑顔で渡してきた。
「どうぞ、お客様。」
「有難う。」
ヒルダは受け取ると、ジューススタンドのベンチ迄歩こうとしたが、右手に片手紙コップ、左手に杖ではうまく歩く事が出来ず、思わず立ち往生していると突然背後から声を掛けられた。
「コップ、お持ちしますよ。ヒルダ様。」
その声は・・・。
ヒルダの目に涙が滲みそうになった。背後に立っていたのはルドルフだった。
(会いたかった・・・・ルドルフ・・・。でも、駄目だわ。私はグレースさんと約束をしたのだから。2週間以内にルドルフとの婚約を破棄すると・・。)
だからヒルダは敢えてルドルフの方を見ようともせずに冷たく言った。
「結構よ、ルドルフ。」
そしてその場でジュースを一気に飲んでしまった。
「ヒルダ様・・・。」
狼狽えた声でルドルフはヒルダの前に回り込むと言った。
「ヒルダ様、一体どうされてしまったのですか?昨日から突然態度がおかしくなってしまいましたが・・教えて下さい。僕は何かヒルダ様を怒らせてしまうような事をしてしまったのでしょうか?」
ルドルフはヒルダの目をしっかりと見つめながら言った。その目は・・・今にも泣きそうに見えた。
(そ、そんな目で見ないで・・・。そんな目をされると・・決心が鈍ってしまうから・・。)
ヒルダが視線を逸らせながら黙っていると、ルドルフが言葉を続けた。
「それだけではありません。何故ですか?昨日は突然先に馬車に乗って帰られてしまって・・・・僕はグレースの馬車で帰ってきました。そして今朝は彼女の馬車が僕を迎えに来て・・・仕方なく彼女の馬車に乗りました。ヒルダ様。何故このような事をされるのですか?後生ですから理由をお聞かせください。」
言いながらルドルフは切なげな瞳でヒルダを見つめた—。
ヒルダが声を掛けると、スコットが気付いて笑みを向けた。
「ヒルダ様。お帰りなさいませ。」
そして隣に立っているシャーリーに声を掛けてきた。
「こんにちは。ヒルダ様のお友達ですか?」
するとシャーリーは顔を赤らめながら答えた。
「は、はい。私はヒルダさんの親友のシャーリー・クレイブと言います。始めまして。」
「ああ、貴女がシャーリーさんですね?いつもヒルダ様からお話を伺っておりました。」
それを聞いたシャーリーは驚いてヒルダを見た。
「ええっ?!ヒ、ヒルダ・・こちらの方に私の話を・・・い、いつもしてたの?」
「ええ・・そうなの。」
するとスコットは言った。
「ヒルダ様はいつも貴女の事を・・・とても素晴らしい最高の親友だと話してくれていますよ?」
「え・・・そ、そうなんですか・・・。」
シャーリーはモジモジしながらスコットを見た。そんな2人の邪魔をしてはいけないと思ったヒルダは2人に声を掛けた。
「スコットさん、シャーリー。少し2人でお話してて。私、喉が渇いたからジュースを買って来るわね。」
するとスコットが言った。
「ヒルダ様。それなら私が・・・。」
「ううん、いいの。リハビリの一環で少し歩いたほうがいいから、2人は少しお話していて。」
そしてヒルダはシャーリーを見た。シャーリーは申し訳なさそうにヒルダを見ている。
(頑張ってね?シャーリー。)
ヒルダはシャーリーにウィンクをすると、一瞬シャーリーは驚いた顔を見せたが、小さく頷いた。それを見たヒルダはにっこりと微笑み、2人から離れて行った。
「フフ・・2人の仲が進展してくれるといいな。スコットさんはとてもいい人だし、シャーリーは私の一番の親友だから・・うまくいってくれるといいな・・。」
シャーリーには自分の様にはなってもらいたくない・・・。ヒルダは切に願っていた。
馬車乗り場にはジューススタンドがある。
「すみません。オレンジジュースを下さい。」
ヒルダはお金を店員に渡した。
「はい、お待ちください。」
若い男性店員はカゴに山積みになって入っているオレンジを2個を器用にナイフで剥くと果汁搾り器に入れてレバーを押し、紙コップに注ぐとヒルダに笑顔で渡してきた。
「どうぞ、お客様。」
「有難う。」
ヒルダは受け取ると、ジューススタンドのベンチ迄歩こうとしたが、右手に片手紙コップ、左手に杖ではうまく歩く事が出来ず、思わず立ち往生していると突然背後から声を掛けられた。
「コップ、お持ちしますよ。ヒルダ様。」
その声は・・・。
ヒルダの目に涙が滲みそうになった。背後に立っていたのはルドルフだった。
(会いたかった・・・・ルドルフ・・・。でも、駄目だわ。私はグレースさんと約束をしたのだから。2週間以内にルドルフとの婚約を破棄すると・・。)
だからヒルダは敢えてルドルフの方を見ようともせずに冷たく言った。
「結構よ、ルドルフ。」
そしてその場でジュースを一気に飲んでしまった。
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狼狽えた声でルドルフはヒルダの前に回り込むと言った。
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言いながらルドルフは切なげな瞳でヒルダを見つめた—。
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