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第2章 6 気の強い少女、グレース
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その日の夕方―
仕事から帰宅したマルコはまだルドルフが帰宅していないことが分かり、妻に尋ねた。
「母さん。ルドルフはどうしたんだ?」
「それが・・まだ学校からも帰って来ていないんですよ。」
ルドルフの母は溜息をつきながら言った。
「全く・・・あいつは一体何所をほっつき歩いているのだ?ヒルダお嬢様との約束も平気ですっぽかすし・・・。」
「え?ヒルダ様の約束を破ったですって?!」
「ああ・・そうなんだ。今日からヒルダ様の馬術訓練に付き合う事になっていたのに・・お可愛そうに・・・ヒルダ様は1時間もルドルフに待ちぼうけをくらわされ、結局お部屋に戻られたのだ。この事実が旦那様や奥様に知られでもしたら・・・。」
言いながらマルコはブルリと身体を震わせた。
その時だ―。
マルコの家の外で馬のいななきが聞こえた。
慌ててマルコと妻が外に出てみると、立派な馬車から降りて来るルドルフとグレースの姿が目に入った。
「・・ただいま。父さん、母さん。遅くなってすみません。」
ルドルフはバツが悪そうに眼を伏せた。
「ルドルフ・・・お前、こんな時間まで一体何を・・・。」
マルコが言いかけた処へ、グレースがルドルフの前に立つと言った
「いいえ、おじさま、おばさま。どうかルドルフを責めないでください。今日放課後学校で具合が悪くなってしまった私を付き添ってくれたんです。それですぐにルドルフは帰ろうとしたのですが、私がこの時間まで引き留めてしまったんです。だからどうかルドルフを許してあげて下さい。」
グレースは必死で頭を下げた。
「い、いや・・・しかし、それでもルドルフはヒルダお嬢様との約束を破ったのだよ?それはいけない事だとは思わないのかい?」
マルコはグレースに諭すように言う。
「そうです。僕が全て悪いのです。なので・・・必ず明日からはヒルダ様の乗馬の練習にお付き合いします。ヒルダ様にそう伝えて下さい。」
「ルドルフッ!そんな・・・!」
グレースは悲痛な声を上げてルドルフを見た。
(いやよ!どうしてヒルダ様をかまうの?貴女と彼女では・・貴族と平民で釣り合わないのよ?!)
グレースは平民の娘であったが、裕福な商家の娘だったので少々我儘に育てられたのだ。欲しいものはどんな事をしても手に入れてきたし、彼女は自分の願いなら何でも叶うと思いこむ節がある少女だったのだ。
しかし涙目でグレースが訴えてもルドルフは引かなかった。
「ごめんね。グレース。それに僕はヒルダ様と約束したのに、破ってしまったんだよ。だからちゃんと会って謝罪をしないといけないんだ。」
「ルドルフ・・・。」
そこまで言われてしまえば、流石の我儘グレースも頷くしか無かった。
「わ・・分かったわ・・。でもルドルフ。ヒルダ様の馬術訓練が終わったら・・・また家庭教師をしてね?約束よ?」
するとマルコが言った。
「グレースちゃん・・・。悪いけど、これ以上ルドルフを君の家庭教師に使うのはやめてくれないかい?フィールズ家の手伝いをルドルフにはして貰いたいのだよ。」
「!お、おじさま・・・!」
(何て・・・何て嫌な人なの・・!そうまでして私とルドルフを引き離したいの?!所詮・・・私が平民だから・・?)
グレースは一瞬キッと恨みを込めて目でマルコを見た。
「!」
マルコは思わずその姿を見てビクリとした。
(な・・何なんだ・・・この少女は・・?)
「分かりました・・・。それでは今夜はこれで失礼致します。」
グレースは丁寧に頭を下げると、馬車へと乗り込み、窓から顔を出すと言った。
「ルドルフ、また明日・・・学校でね。」
「うん、又ね。グレース。」
ルドルフは笑顔で手を振ると、グレースも笑みを浮かべて手を振り、御者に言った。
「出してちょうだい。」
「ハッ」
御者は鞭を振り下ろすと、馬車は走り去って行った。
馬車を見送りながらマルコは思った。
(それにしても・・あのグレースという少女は・・・どうも虫が好かない。ヒルダ様とは大違いだ・・・。)
そして不覚にもグレースに睨まれ、鳥肌が立った瞬間を思い出すのだった―。
仕事から帰宅したマルコはまだルドルフが帰宅していないことが分かり、妻に尋ねた。
「母さん。ルドルフはどうしたんだ?」
「それが・・まだ学校からも帰って来ていないんですよ。」
ルドルフの母は溜息をつきながら言った。
「全く・・・あいつは一体何所をほっつき歩いているのだ?ヒルダお嬢様との約束も平気ですっぽかすし・・・。」
「え?ヒルダ様の約束を破ったですって?!」
「ああ・・そうなんだ。今日からヒルダ様の馬術訓練に付き合う事になっていたのに・・お可愛そうに・・・ヒルダ様は1時間もルドルフに待ちぼうけをくらわされ、結局お部屋に戻られたのだ。この事実が旦那様や奥様に知られでもしたら・・・。」
言いながらマルコはブルリと身体を震わせた。
その時だ―。
マルコの家の外で馬のいななきが聞こえた。
慌ててマルコと妻が外に出てみると、立派な馬車から降りて来るルドルフとグレースの姿が目に入った。
「・・ただいま。父さん、母さん。遅くなってすみません。」
ルドルフはバツが悪そうに眼を伏せた。
「ルドルフ・・・お前、こんな時間まで一体何を・・・。」
マルコが言いかけた処へ、グレースがルドルフの前に立つと言った
「いいえ、おじさま、おばさま。どうかルドルフを責めないでください。今日放課後学校で具合が悪くなってしまった私を付き添ってくれたんです。それですぐにルドルフは帰ろうとしたのですが、私がこの時間まで引き留めてしまったんです。だからどうかルドルフを許してあげて下さい。」
グレースは必死で頭を下げた。
「い、いや・・・しかし、それでもルドルフはヒルダお嬢様との約束を破ったのだよ?それはいけない事だとは思わないのかい?」
マルコはグレースに諭すように言う。
「そうです。僕が全て悪いのです。なので・・・必ず明日からはヒルダ様の乗馬の練習にお付き合いします。ヒルダ様にそう伝えて下さい。」
「ルドルフッ!そんな・・・!」
グレースは悲痛な声を上げてルドルフを見た。
(いやよ!どうしてヒルダ様をかまうの?貴女と彼女では・・貴族と平民で釣り合わないのよ?!)
グレースは平民の娘であったが、裕福な商家の娘だったので少々我儘に育てられたのだ。欲しいものはどんな事をしても手に入れてきたし、彼女は自分の願いなら何でも叶うと思いこむ節がある少女だったのだ。
しかし涙目でグレースが訴えてもルドルフは引かなかった。
「ごめんね。グレース。それに僕はヒルダ様と約束したのに、破ってしまったんだよ。だからちゃんと会って謝罪をしないといけないんだ。」
「ルドルフ・・・。」
そこまで言われてしまえば、流石の我儘グレースも頷くしか無かった。
「わ・・分かったわ・・。でもルドルフ。ヒルダ様の馬術訓練が終わったら・・・また家庭教師をしてね?約束よ?」
するとマルコが言った。
「グレースちゃん・・・。悪いけど、これ以上ルドルフを君の家庭教師に使うのはやめてくれないかい?フィールズ家の手伝いをルドルフにはして貰いたいのだよ。」
「!お、おじさま・・・!」
(何て・・・何て嫌な人なの・・!そうまでして私とルドルフを引き離したいの?!所詮・・・私が平民だから・・?)
グレースは一瞬キッと恨みを込めて目でマルコを見た。
「!」
マルコは思わずその姿を見てビクリとした。
(な・・何なんだ・・・この少女は・・?)
「分かりました・・・。それでは今夜はこれで失礼致します。」
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「ルドルフ、また明日・・・学校でね。」
「うん、又ね。グレース。」
ルドルフは笑顔で手を振ると、グレースも笑みを浮かべて手を振り、御者に言った。
「出してちょうだい。」
「ハッ」
御者は鞭を振り下ろすと、馬車は走り去って行った。
馬車を見送りながらマルコは思った。
(それにしても・・あのグレースという少女は・・・どうも虫が好かない。ヒルダ様とは大違いだ・・・。)
そして不覚にもグレースに睨まれ、鳥肌が立った瞬間を思い出すのだった―。
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