嫌われた令嬢、ヒルダ・フィールズは終止符を打つ

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第1章 13 謹慎処分

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「やった!やりましたね。ヒルダ様っ!」

メイドのカミラは嬉しそうに手を叩くが、ヒルダの顔は暗い。

「ヒルダ様・・・?どうされたのですか・・?」

ヒルダは溜息をつくと悲し気に言った。

「カミラ・・・どうしましょう・・。いくらお見合いするのが嫌だからと言ってお相手のギルバート様に酷い態度ばかり取ってしまったのよ?あの方を・・・酷く傷つけてしまった・・・。本当に申し訳ない事をしてしまったわ。本当は今すぐにでも謝罪をしに行きたい位よ・・。」

半分涙目になって身体を震わせているヒルダにカミラは言った。

「いいえ!駄目です、ヒルダ様。そのような事を申し上げては・・・。仮に謝罪に行かれたとしたら、ギルバート様を勘違いさせてそのまま婚約に迄持って行かれてしまうかもしれませんよっ?!」

「カミラ・・・。」

「よろしいですか?ヒルダ様。もうギルバート様の事は・・忘れるのです。それに今回のお見合いの件で悪評がつけば・・・もうお見合いの話は来ないかもしれないではありませんか?」

カミラの言葉にヒルダは頷いた。

「そ・・・そうよね・・?きっとそうなるに決まってるわよね・・?」

ヒルダはカミラの手を握りしめると言った。

「ええ。絶対そうなるに決まっています。」

2人は手を取り合ったまま微笑んだ。



 そしてその日のうちにラッセル家からお見合いの話は無かったことにして欲しいとすぐに連絡が入って来たのだった—。



「ヒルダッ!お前は何と言う事をしてくれたのだっ?!」

応接室に呼び出されたヒルダは父に叱責されていた。

「ご、ごめんなさい・・っ!」

ヒルダは肩を震わせてビクリとした。

「あ・あなた・・お願いですからそんなにヒルダを責めないで上げて下さい。」

母マーガレットはヒルダを庇うように抱きしめながら言った。今迄一度も父から怒鳴られた事などなかったヒルダはすっかり委縮してしまい、母に縋りつくように震えている。

「よいか?ヒルダ。今回の見合い・・・お前がどのようなふるまいをしてきたかは全て聞かされたぞ?先方の令息はお前に馬鹿にされたとカンカンに怒っているそうだ。これでお前に悪評がたてば・・・二度と見合いの話は入って来ないかもしれないでは無いか?そうなった場合どうするつもりだっ!」

「あなた・・・。何もそんな大袈裟な・・。大体ヒルダはまだ15歳ですよ。お見合いするのは早過ぎだと申し上げたではありませんか・・。可哀そうなヒルダ・・・こんなにふるえているではありませんか・・・。」

 マーガレットはヒルダの金の髪を撫でながら言う。

「お母様・・・。」

ヒルダは涙で濡れた瞳で母を見た。

「いやっ!早過ぎる事は無い!大体私とお前が婚約を結んだ時だって16歳だ。今のヒルダとほとんど年齢が変わらないだろう?決して早過ぎるという事は無いのだ。中には16歳で結婚して、子供を産み育てている令嬢だっているのだぞ?兎に角・・・明後日登校するまではお前は謹慎処分だっ!」

「そ、そんなお父様っ!」

「あなたっ!そんな横暴な・・!」

しかし、父ハリスは妻と娘の意見も聞かず、部屋で控えていた若いフットマンに言った。

「ヒルダを部屋へ連れて行け。」

「かしこまりました。」

フットマンは恭しく返事をすると、ヒルダに近付いて来た。

「失礼致します、ヒルダ様。」

そして軽々とヒルダを肩に担ぎ上げた。

「キャアッ!離してっ!」

「ヒルダッ!あ、あなた!やめさせてっ!」

しかしハリスはチラリと一瞥するとフットマンに言った。

「連れて行け。」

「はい。」

そしてフットマンはヒルダを担ぎ上げたまま歩き始めた。

「ヒルダッ!」

母の声もむなしく、応接室のドアは開け放たれ、フットマンに担ぎ上げられたヒルダが暴れた。

「お、お願いっ!離してっ!」

するとフットマンは言う。

「暴れると・・落ちますよ。」

「・・・。」

ヒルダはそこで抵抗をやめると、フットマンは少しだけ顔に笑みを浮かべると、そのままヒルダの部屋を目指して歩き始めた—。



「良いですか?ヒルダ様。今からこちらのお部屋を外側から鍵を掛けさせて頂きます。鍵は旦那様に渡しますのでご容赦下さい。」

そしてフットマンは部屋を出ると、カチャリと鍵のかかる音が聞こえ、ヒルダは自室に閉じ込められてしまった―。

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