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第119話 長い夢からの目覚め
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「え…?」
気付けば私は何も無い灰色の空間にしゃがみ込んでいた。辺りはモヤで包まれ、何も見えない。
「い、今のは…?一体何…?私は死んだはずじゃ…」
無意識に俯いとき、自分の長い髪の毛が目に留まる。その髪色はストロベリーブロンド…今の私の髪の色だ。
「思い出したわ…全部…」
前世の記憶を全て思い出した私はゆっくりと立ち上がった。辺りは灰色のモヤに包まれて何も見えない。
「ここは一体…?」
思わず呟き、辺りを見渡していると遠くの方から足音が近付いて来ている事に気が付いた。何者かがこちらへ向かっているようだ。
足音は段々近くなって来て…ついに私のすぐ傍で止ると話しかけて来た。
「全て思い出したか…?」
「ひょっとして…貴方はオルニアス…?」
「そうだよ。…正解。姿が見えないのに…良く分ったね?」
「ええ、そうよ。だって…ここは私の夢の世界。だから自分で夢を操る事だって出来るもの」
「え?!な、何だっ?!これはっ!!」
オルニアスの焦り声が聞こえる。その声と同時に辺りのモヤが一気に消え去り、目の前には大きな牢屋に閉じ込められたオルニアスの姿が現れた。
「い、いつの間に…っ?!こんな牢屋ぐらい…っ!!」
オルニアスは指先から炎を生み出すと鉄格子に向けた。恐らく炎で鉄格子を溶かすつもりなのだろう。しかし…。
「う、嘘だろうっ!と、溶かせないっ!」
そこで私は言った。
「当然よ。ここは私の夢の世界。そして、貴方は所詮私の夢の中に入り込んだお客様。私の見ている夢なのだから、自由に夢を操れるのは当然でしょう?」
「馬鹿な…っ!俺が夢を操れないなんて…っ!」
オルニアスは鉄格子を握りしめながら悔しそうに私を睨み付ける。
「色々貴方には言いたい事があるけれど…とりあえず逃げさせてもらうわっ!早く目覚めないと私、死んでしまうみたいだからっ!それじゃあねっ!」
私はそれだけ言うと駆けだした。何所へ行けばいいのかなんて分らなかったけど、ここは私の夢の中。きっと願えば何だって叶うはず。
「お願いっ!私っ!早く目が覚めてよーっ!!」
必死で走りながら宙を見て叫んだ。
すると、頭の中でセラフィムの声が聞こえて来た。
『そうだ!ユリアッ!こっちへ向かって走って来いっ!』
「セラフィムッ!!」
私は必死で走り続け…やがて眩しい光に包まれた―。
「ハッ!」
気付けば自分がベッドの上にいる事に気付いた。
「目が覚めたのかっ?!ユリアッ!」
そして眼前には私を覗き込んでいるセラフィムがいた。
「セ、セラフィム…?」
「ああ、そうだ。良かった…目が覚めたんだな?ユリア…」
セラフィムは私の右手をしっかり握りしめていた。それが何だか照れ臭かった。
だから私は照れ隠しにセラフィムに言った。
「う、うん…。お早う…セラフィム」
「お早う。…随分遅い目覚めだけどな」
そしてセラフィムは笑みを浮かべた―。
気付けば私は何も無い灰色の空間にしゃがみ込んでいた。辺りはモヤで包まれ、何も見えない。
「い、今のは…?一体何…?私は死んだはずじゃ…」
無意識に俯いとき、自分の長い髪の毛が目に留まる。その髪色はストロベリーブロンド…今の私の髪の色だ。
「思い出したわ…全部…」
前世の記憶を全て思い出した私はゆっくりと立ち上がった。辺りは灰色のモヤに包まれて何も見えない。
「ここは一体…?」
思わず呟き、辺りを見渡していると遠くの方から足音が近付いて来ている事に気が付いた。何者かがこちらへ向かっているようだ。
足音は段々近くなって来て…ついに私のすぐ傍で止ると話しかけて来た。
「全て思い出したか…?」
「ひょっとして…貴方はオルニアス…?」
「そうだよ。…正解。姿が見えないのに…良く分ったね?」
「ええ、そうよ。だって…ここは私の夢の世界。だから自分で夢を操る事だって出来るもの」
「え?!な、何だっ?!これはっ!!」
オルニアスの焦り声が聞こえる。その声と同時に辺りのモヤが一気に消え去り、目の前には大きな牢屋に閉じ込められたオルニアスの姿が現れた。
「い、いつの間に…っ?!こんな牢屋ぐらい…っ!!」
オルニアスは指先から炎を生み出すと鉄格子に向けた。恐らく炎で鉄格子を溶かすつもりなのだろう。しかし…。
「う、嘘だろうっ!と、溶かせないっ!」
そこで私は言った。
「当然よ。ここは私の夢の世界。そして、貴方は所詮私の夢の中に入り込んだお客様。私の見ている夢なのだから、自由に夢を操れるのは当然でしょう?」
「馬鹿な…っ!俺が夢を操れないなんて…っ!」
オルニアスは鉄格子を握りしめながら悔しそうに私を睨み付ける。
「色々貴方には言いたい事があるけれど…とりあえず逃げさせてもらうわっ!早く目覚めないと私、死んでしまうみたいだからっ!それじゃあねっ!」
私はそれだけ言うと駆けだした。何所へ行けばいいのかなんて分らなかったけど、ここは私の夢の中。きっと願えば何だって叶うはず。
「お願いっ!私っ!早く目が覚めてよーっ!!」
必死で走りながら宙を見て叫んだ。
すると、頭の中でセラフィムの声が聞こえて来た。
『そうだ!ユリアッ!こっちへ向かって走って来いっ!』
「セラフィムッ!!」
私は必死で走り続け…やがて眩しい光に包まれた―。
「ハッ!」
気付けば自分がベッドの上にいる事に気付いた。
「目が覚めたのかっ?!ユリアッ!」
そして眼前には私を覗き込んでいるセラフィムがいた。
「セ、セラフィム…?」
「ああ、そうだ。良かった…目が覚めたんだな?ユリア…」
セラフィムは私の右手をしっかり握りしめていた。それが何だか照れ臭かった。
だから私は照れ隠しにセラフィムに言った。
「う、うん…。お早う…セラフィム」
「お早う。…随分遅い目覚めだけどな」
そしてセラフィムは笑みを浮かべた―。
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